ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

二大政党制の条件

2007年07月28日 | その他
 明日は参議院選挙の投票日です。大方の予想は民主が参院第一党へ躍進とのことです。そこで再び「二大政党制」という政治制度が注目されています。
 
 二大政党制と言えば、アメリカやカナダ、イギリスなどが有名です。法学書院刊『現代政治学』によれば、二大政党制(二党制)とは、「二つの大きな政党が絶対多数議席を目指して競合し、そのうちの一方が実際に過半数議席の獲得に成功して、単独政権を組織する。そして、政権交代の現実的可能性が」存在するものと定義されています。そうならば、日本の場合、自民党と公明党の連立政党対民主党といった様相ですから、厳密な意味の二大政党制ではないのかも知れません。とは言うものの、二大政党制が叫ばれて久しいので、ここで自分なりの二大政党制のための条件を考えてみたいと思います。

 まず、二大政党制である以上、互いに政権を担えるだけの国政運営能力が必要なのは当たり前ですが、加えて、資本主義vs共産主義みたいな極端なイデオロギー対立は論外としても、イデオロギー的距離は比較的小さいことが望ましいでしょう。つまり、必然的に社民党、共産党などは論外ということになります。

 そして、何よりも重要なことであると考えるのは、安全保障政策についてです。国家の三要素は主権・国民・領土から成りますが、これを守り、後世へ遺していくことが国家の最大の任務です。そしてそれを実際に行っていくのが、安全保障政策であると思います。つまり、二大政党間で安全保障政策に「ブレ」があっては国家の死活問題に関わるのです。
 アメリカの共和党と民主党の間でも、国家安全保障に関しては、基本的な違いはありませんし、それはイギリスの労働党と保守党においても同様であると言えるでしょう。

 ところが、日本の場合はどうでしょうか。上記の各国における政党では、安全保障政策の「各論」で違いはあっても、国家は軍事力を以って守るという「総論」では違いはないにも関わらず、日本の場合、安全保障政策の大前提となる総論でさえも、各党で足並みは揃いません。それどころか、安全保障問題になると、9条がどうのだのと、途端に神学論争になってしまうのですから、何とも心許ない限りです。しかも、つい最近まで「非武装中立対日米安保」などという不毛な対立が続いたのですから。

 さらに、国政を担う政治家があまりに安全保障問題に疎いのも問題です。選挙においては古くから、「安全保障や憲法は票にならない」と言われてきたためというのもあるのでしょうが、これらは国家の根幹に関わる問題なのですから、為政者が無知であるのは到底許されるものではありません。安全保障と言えば、まず第一に軍事なのに、それを知らずして「シビリアンコントロール」とは笑止千万ですし、戦前の「軍事アレルギー」故にこれに無知でいることのほうが、どれだけ危険なことか。

 自民党と民主党とでは、安全保障についての価値観の共有は、お世辞にもしているとは言いがたいでしょう。安全保障政策とは、直接に国家を有事の際に防衛するということだけでなく、同盟国の支援もその支柱のうちの一つです。例えば、民主党のマニフェストにある「イラク復興支援からの自衛隊即時撤退」は、代案もなしにただ撤退させるということらしいので、安全保障政策上全く評価できない愚策です。

 二大政党制では、国家安全保障政策の各論で互いの政策を競うことは望ましいですが、総論は共有する。これができなければ、亡国の政治体制以外の何ものでもないと思うので、少なくとも私は、安心して政権を任せることができるとは思えません。社会保障も日々の生活も、国家あってはじめて成り立つものなのですから。

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