ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

世論をミスリードさせる筋違いの批判

2008年02月12日 | 偏向マスコミ
 在日米軍の兵士による14歳の少女暴行事件が起きた。またかと思うと同時に、政府や沖縄の側が米軍に対し苦言を呈し、抗議をし、綱紀粛正を求めたのは当然であってこれを支持するのは言うまでもない。しかしながら、以下のような故意に世論をミスリードさせようとする世論には賛同できない。以下、沖縄タイムスの記事から、特に今回の事件をアジッてると思われる箇所を一部抜粋。



訓練された兵士が、また牙をむいた。
おびえる子どもたち。
大人たちは、痛憤に声を震わせた。
少女一人の尊厳も守れない安全保障とは何か。
米軍との共存を強いられる住民らは、不安や恐怖をあらためて呼び起こされた。
基地・軍隊を許さない女たちの会共同代表で強姦救援センター・沖縄(レイコ)代表の高里鈴代さんは「安心できるはずの場所から言葉巧みに誘い出されて、少女は被害に遭った。すごく悪質で絶対に許されない。犯人が巧みなのであって、彼女に一切落ち度はない」と訴えた。
高教組の松田寛委員長は「ただ、憤るばかりだ。基地ある限り犯罪が消えないのなら、基地をなくすしかない。これまでと同じような県の申し入れだけでは、県民は許せないだろう」と強い調子で話した。
沖教組の大浜敏夫委員長は「子どもを預かる教員として満身の怒りがこみ上げてくる」と声を震わせた。「米軍基地受け入れを容認する国や県の責任も問われる。再び県民が、米軍基地をなくすため具体的に行動を起こすしかない」と語気を強めた。
県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、「子どもを対象にこのような犯罪を起こし、地域の安全を奪う米軍基地の存在は許せない」と話した。



 もちろん、このようなことは今回が初めてではない。基地と共存する沖縄の人たちの心労は察するに余りあるものだ。当然米軍や国に対して不満も溜まる。当たり前である。しかし、「米軍基地の問題」と、「兵士のしでかした犯罪」とは、全く別の次元の問題である。これらを一緒くたにして批判することは問題の本質を見失うことになりかねない。

 たとえば、警察が不祥事をしでかした場合、それがすぐさま「警察は不要」という結論になるとしたら、それは正当なものなのか。日本国内で一番犯罪を犯す外国人は中国人だが、それをもって「中国人は今すぐ日本から出て行け」ということになるのか。
 沖縄タイムスのような主張は、平和主義でも何でもなくただの排外主義でしかない。いや、むしろこの手の批判は、少女をダシにして在日米軍排除という彼らのイデオロギーを達成しようとしているようにすら見える。

 私はこう推測している。すなわち、10日にあった岩国市市長選挙で、基地容認派の福田氏が当選し、基地縮小派の井原氏は敗退した。これによって在日米軍再編が進展することは間違いない。岩国市市長選勝利によって、国にいわば「追い風」が吹き始めていたのを、日米安保反対派はこの事件をもって在日米軍自体を批判することによって在日米軍再編に楔を打ち込もうとしている、と。
 
 しかもこの事件を大々的に報じることによって、日米安保反対派は岩国市の敗退という「失態」によるダメージまでも最小限に抑え、世論を「反米軍」に誘導することによって日本とアメリカ共同の安全保障政策を後退させる。こう考えると、少女暴行と、在日米軍の是非をごちゃ混ぜにして論じる意味を見出せる。

 少女への暴行は許せないが、そのことと在日米軍の是非は別次元の問題である。

 次に、この記事の構成についであるが、普段左翼はしきりに「加害者の人権」を謳っているはずだが、今回の沖縄タイムスの報道からは、その姿勢が微塵も感じられない。
 あえて言うが、このアメリカ兵はまだ「容疑者」であって、犯罪の嫌疑がかけられている状態にすぎない。ということは、無罪が推定されているのだ。推定無罪とは、普段沖縄タイムスのような「人権派」が好き好んで用いるフレーズである。これがもし、在日朝鮮人による犯罪だったらどうだろうか。彼らは同じように煽り立てるだろうか?
 
 もはや言い飽きたが、彼らの言う「人権」なんて、所詮彼らにとって都合のいい対象にしか保障されないのだ。要するに、彼らの手にかかれば、特定のバイアスによって、人権も自由自在に大きくなったり小さくなったりするのだ。

 余談だが、沖縄県ではいわゆる全国紙(読売、朝日、毎日、日経、産経)のシェアはほとんどなく(産経は皆無)、ほぼ全てのシェアが、この沖縄タイムスと琉球新報によって占められている。今回、このような一方的かつ偏った憎悪を煽るような報道にしか触れられない沖縄の人たちが、ある意味可哀そうだと思った。この沖縄タイムスの記事は、もはや報道ではなくただの「アジビラ」だし、「洗脳」の域に達していると思う。