恋せよ乙女～雨音偏～

　　いくらたくさん逢っても

　　気まづくわかれる日があつたら、

　　つまんないち゛やないの。

　　お逢ひするのはいちどきりでいいのよ。

　　何十度お逢ひしても

　　人間のすることはみな同じだもの。

　　いちどきりでいいのよ。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～　めぐりあひ　室生犀星　～


なんだかこころが重たい。


まるおさんの全体重を雨一滴にして、わたしの心のふちに知らないうちに浸み込んだみたいな。


おもぐるしさ。





深緑の古都。

日本庭園のある小料理店。

座敷と襖の一室。窓の硝子の向こうは松影。

向かい合って懐石料理。




わたしはご機嫌でお料理をよばれていたのよ。




さっきまでそんな話してなかったじゃない。





思いつめていたのね。まるおさん。
ちゃんとつきあいたいって。





おいしい料理も好き綺麗な景色も好き、美しいものも好き、キラキラ光るものも、大好き。



でもまるおさんは重たい。


どうしたら好きになれるかしら、この重たさ。