『猫の時間』 柄刀 一 (光文社文庫)
ガチガチの密室ミステリを書かれる印象の強い柄刀先生ですが、愛猫家さんでも知られていまして、この文庫を待ってましたー♪
柄刀先生だし光文社だし、と猫ミステリを想像したアナタ、それはちょっと忘れましょう。いや、ミステリっぽい要素はもちろんあるんですが。
ただただ猫が愛おしい、そんな短編集です(どんなだ)
つまり、お猫様と下僕の物語(笑)
柄刀先生がどれだけお猫様を大事に思ってらっしゃるか、分かりますよー。
ミステリだと大概、猫って不吉の象徴だったり痩せ細ってるとか痛めつけられるとか猫好きにとっては気が塞ぐ描かれ方してたり、はたまた犬や人間を見下して傲岸不遜な猫ペースの探偵モノだったり(主に海外モノで)、なんとゆーか、猫はガジェットっぽいことが多いんですよね。
でも!
有栖川先生の作家アリスシリーズもそうですが、この柄刀先生もまた猫に向ける眼差しが優しくて……。猫好きにはもう、猫あるあるを通り越してうんうん分かるよ分かりますよその気持ち!と正座したくなりましたw
繰り返しますが、ミステリ、それもガチガチのトリックだのロジックだののミステリ短編集じゃないです。
猫小説です。(言い切ったよ)(…大丈夫か?)
登場する猫さんたちは、出会った人間に邪険にされることも捨てられることもなく、ひたすら大事に宝物のようにお世話されて、猫さんたちも人間を信用して頼ってくれる、良い関係を築いています。
猫好きにとって、これほどやさしく幸せな猫小説はそうそうないです。
もちろん、柄刀先生はミステリ作家さんなので、ミステリの手法も取り入れられていまして、ネタばらしは避けたいですが……そうですねえ、トリックでもロジックでもない、殺人事件なんて起こらないストーリーとくれば、残るミステリ的展開は……?というのがヒントかな(苦笑)
伏線伏線www
わたし、ここまで丁寧に繊細に、ウチの猫ズのお世話してないような気がする……。
それくらいの肌理細やかさです。
老いて旅立つ、そのシーンも、涙するけれど読むのがつらいとは思わなかったですし。
真摯に猫と向き合って一緒に暮らした人たちの、猫との理想的な関係の物語に、うらやましさすら感じました。
猫自身は何も意図しなくても、そばに居るだけでハッと気づかされたり教えられたりすることがあります。
わたし達人間の心がどれくらいオープンになっているか、ということだと思う。
自分に都合のいい解釈をしてたとしても、自分を信頼してくれるこの猫を裏切らないで、同じ命として対等にいれば、大きく間違えることもないはず。
そう思います。
さあ、猫好きさんは読みましょう!
思わずAmazonポチッちゃいましたけど・・・
愉しんでくだそるといいんですけど☆
猫は正義です☆キリッ