コロナが厳しさを増す直前、
1月頭に夜の部を観劇してきました。
昨2021年は、楽しみにしていたOSKはじめ
観劇機会が全滅してしまったので、本当にうれしかったです。
【岩戸の景清】
そもそも、スター役者の顔見せ的演目で、
一応ストーリーはあるものの、深い中身がありません。
松也以下、例年なら浅草で公演しているような
若手どころが勢揃いしており、華やかでした。
【義経千本桜 川連法眼館の場 】
良かった。素晴らしかった。
親子の情愛、君臣の絆、
男性演者ならではのダイナミックな振付に早変わり。
観劇歴や老若男女を問わず
『みんなが観たい歌舞伎』そのものでした。
当代の市川猿之助は40代半ばであり、
容姿や体力と技術の釣り合いでは、
一つのピークに到達した感じ。
今の活躍が見逃せません。
静御前役の雀右衛門も、とても良かった。
綺麗だしセリフも明朗。
しかし、名実ともにビッグネームになった
猿之助の相手役は、もっと格上の
そして若々しくふっくらと優しげな
『美貌の』ヒロイン役者こそ相応しいのでは?
(※例えば、海老蔵主演のときは、玉三郎が演じていたように…)
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そう、中村福助のことを思い出しました。
福助は歌右衛門襲名が内定した矢先、
脳出血で倒れ、以来、完全復帰は叶いません。
どうしても坂東玉三郎という稀代の名女形と比べられ
また福助自身があまり映像作品に出てないこともあり
影が少し薄いのですが…
全盛期は、十分に「美貌の女方」でしたし
印象深い美しい舞姿が、私の記憶にいくつも残っています。
(ちなみに、私は親子共演時にユニークな回答をし、
福助そっくりに成長した中村児太郎に大注目しています)
思えば、中村勘三郎、坂東三津五郎が早世し、
福助も長期離脱せざるを得ない状況と言うのは、
歌舞伎界に取ってかなり厳しい。
かつての若手スターで現在の中堅どころ
(猿之助や尾上菊之助、松本幸四郎、市川海老蔵ら)
が40代になり円熟期を迎えている一方、
70代の老境に入った玉三郎や仁左衛門らとの
中間の世代のスター役者たちが
ごっそり抜けてしまっているんですね。
今更気づいてしまい、寂寥に耐えません。
芸の伝承と言う意味では、色々と厳しい。
さらにコロナで、歌舞伎に限らず生の舞台芸術は
公演の継続そのものが非常に厳しい。
現代でも興業が成立する「伝統芸能」として
踏ん張ってほしい所です。