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星くず雑記

日々の出来事は煌めく星くずのように…

令和7年3月銀座博品館劇場 OSK『ドラキュラ』

2025年06月08日 10時14分50秒 | OSK・宝塚(OG含む)


年度末業務&転勤で繁忙のため、更新が遅くなりました…
『三銃士』に続き、観劇しました。

この作品は、娘役スター恋羽みうさんの退団公演でもあり、
結果的には、将来を嘱望された男役スター悠浦あやとさんの最後の公演になってしまいました。
(次の『春のおどり』休演後、復帰されることなく退団)
ということで、OSKファン的にはちょっと切ない思い入れのある作品です。

内容自体は、OSKの厳しい衣装事情もなんのその、
効果的な群舞(コロス)と、4人のメインキャストで、
見事に19世紀末ロンドンと中世東欧の雰囲気を醸し出しています。

(以下ネタバレあり)




【あらすじ】
(第1幕)
19世紀末ロンドンでは素性不明のデザイナー:ヴラド(椿りょう)が人気を博す。
若手歴史学者のジョン(壱弥ゆう)は、婚約者ミーナ(唯城ありす)のための
ウェディングドレスを依頼する。
ミーナを見たヴラドは一目で彼女を気に入り、とっておきのドレスを提供する。
同じ頃、ロンドンでは不可解な死亡・行方不明事件が相次いでいた。
ジョンとミーナの結婚式で、ヴラドはミーナを連れ去る。
ミーナはジョンを守るため、彼への愛を否定する。

(第2幕)
中世のルーマニア(ワラキア)、ドラキュラ公ヴラドは、聖職者たちから冷遇されており
彼の妻エリザベートは、異教徒との戦いにおいて神聖ローマ帝国に尽くす夫を擁護する。
しかし、ヴラドの敗死の誤報によって、エリザベートは身投げする。
帰還したヴラドに対し、自殺はキリスト教の禁忌であるため、聖職者たちは騒ぎ立てる。
ヴラドはガブリエル(白藤麗華)と契約し、エリザベートを求めて彷徨う。

再び19世紀末、ジョンはヴラドの正体に気付き、ルーマニアに到着する。
謎の少年(白藤麗華、二役)の誘いで城に到着する。
ミーナもまた、自分にうり二つのエリザベートの肖像画に困惑する。
ミーナはついにヴラドを選ぶが、心が充足したヴラドはミーナの持つ剣を自らに立てて自害する。
ミーナはジョンと城を逃れる。
そして大天使ガブリエルによりヴラドの魂は救済された。


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基本的には、初演のままだと思いました。

改めて、ミーナの為人が分かりづらい脚本です。
彼女の性格はジョンのセリフだけで説明され、第1幕でそれを発揮する場がありません。
また、基本的に、本心ではジョンを愛しているが、
彼を守るため、またヴラドの心を救済するため、偽りを述べていると思うのですが、
これも発揮する場が無く、なんとも心の揺れ動きが分かりづらいです。

余談ですが、凄い返り血を浴びたであろうミーナは、
ジョンとどうやってイギリスまで帰ったのかな…
(どこかでドレスを買い直して、長い船・鉄道の旅と想像します)
二人のその後に幸あれと願うばかりです。

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椿りょうさんは、ソフトな雰囲気とのギャップが
おどろおどろしいドラキュラの世界観にぴったり。
声がかすれるほどの大熱演でした。

唯城ありすさんは、ヒロイン役者ですね。
容姿も声もとにかく可憐で素敵。
(彼女のせいじゃないんですが)エリザベートとしての髪型は中世っぽいと良かったです。
劇中の肖像画は、あのエリザベート(オーストリア皇后エリーザベト)のようでした(美しい

壱弥ゆうさんは、ヒロインを奪われ、
そして奪還する複雑な役どころに加え、狂言回しとしての役割もあるので
ジョンの人柄の良さが、非常に重要だったと思います。
温かみのある雰囲気で好演されていました。

そして白藤麗華さんは、終始謎めいた存在で、
最後に正体が明確になる、この物語のカギとなる役どころ。
貴婦人としても、少年としても、そして悪魔or天使としても
演技の幅が広く、世界観を作るのに大きく貢献されていました。

モブ役では、蘭ちさとさん、鼓珀ひびきさんが印象に残りました。
(ワルも似合いますね…)

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ヴラドのドレスコレクションは、初演の方がギリギリ19世紀末にもありそうで
今回はいまいち現代っぽく残念でした。
(映像で見比べてないので、同一のままだったらスミマセン)

キリスト教の解釈について、ちょっと難がありますが、
ファンタジーとしては非常に面白く、
演出の工夫で世界観を作り上げている点でも、佳作だと思います。

ところで、先週の『三銃士』に比べると上演時間が結構短く、
チケット代は同じでした。
ちょっと工夫してもらえないかな、という感じです。
(損した、とまでは全く思っていませんが…)

今回も文科省の事業の一環で、子供無料だったようです。
ぜひ、本物の舞台芸術に触れてもらいたいですね。


祝満員御礼!

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