北翔海莉25周年公演に行ってきました。
2018年の『蘭』での共演のご縁で、
俳優の藤山扇治郎さんとご結婚。
お二人には長男:美治ちゃんが2020年にご誕生になってます。
…で、この藤山扇治郎氏は、藤山寛美さんの孫であり、
松竹新喜劇の重要な俳優さんです。
ただ、近年は松竹新喜劇も芳しくない中、
出自や話題性で申し分ない美治ちゃんの
将来に期待がかかるところ。
北翔海莉自身も、実力派とは言え
個人事務所であり、松竹・東宝系ミュージカルは
すでに宝塚OGで大混雑しているので、
違う路線、すなわち「和」で頑張っている所。
このような中、ご自身のメモリアルとして
松竹新喜劇ゆかりの演目を、
松竹ゆかりの国立文楽劇場や浅草公会堂で演じ
息子さんのお披露目の場も作るという
絶妙なバランスのもとに企画された(と思われる)公演です。
加えて、「今の」彼女の集客力とかも含め
ファンや出演者の方も含めた「内輪向け」の公演でした。
さて第1部『先づ健康』。
いやー、元トップが高齢者役って、
北翔海莉以外には出来ないよなあ、と言う
彼女のセンスが炸裂。
扇治郎さんは次男役ですが、
ジャケットがどうもサイズが大きすぎる。
もしかしたら藤山寛美ゆかりの衣装かも知れませんね。
美治ちゃんは場面は短いながら、等身大の子供役。
第2幕は和物ショー。
幕開きが、「清く、正しく、美しく」で始まる
あの初舞台口上でお馴染みの曲。
北翔海莉のソプラノを初めて聴いたかも知れない…
凄く良かったし、宝塚では口上の間はピアノ演奏なので
フルバージョンの歌としても初めて聴きました。
『JAZZYな妖精たち』のピクシー役で、高い裏声だったことはありました。
ほんの一節だけでしたが。
次に扇治郎さんにより、北翔実父(海自OB )が
合格発表の一日を振り返った『いちばん長い日』
の朗読。お馴染みのエピソードなんですが、
初めて聞くキーワードもあり、興味深かったです。
最近指摘されつつありますが、合格発表が4月だと
必然的に大学や高校の入学手続き・費用がかかり
クラス編成や学用品準備などで、学校側にも迷惑がかかります。
宝塚音楽学校の入試スケジュールも改革が必要な時期に来ていると思います。
そして、宝塚時代の和物メドレー
新人公演の『飛鳥夕映え』や、バウ単独初主演『想夫恋』
から『風の次郎吉』『桜花に舞え』、さらに『蘭』まで、思い出が蘇ります。
宝塚OGや松竹新喜劇系の俳優さんも
みなさん日舞の素養があるので、一緒に踊り、華やかでした。
バウWS初主演『恋天狗』は和物なのに無かった気がします。
退団後の『ふたり阿国』も。
また2014年当時、公演ラインアップ(公演予定)で
当て書きの「大江戸夜飛翔」の文字を見たたとき、いよいよ退団かと思ったのですが、
まさかの星組トップ就任で、本当に驚き、嬉しかったです…
美治ちゃんの日舞「桃太郎」は独りで踊りきれず、
傍らの扇治郎さんは冷や汗(途中から一緒に踊る)。
扇治郎さんと美治ちゃんの「パパとあそぼう」は
微笑ましいものの、美治ちゃんの動きはフリーダム。
私は歌舞伎も観ますので、その子役達と比較すると
お目見えは時期尚早だったと思いました。
ただ、「内輪向け」とは言え、
舞台出演が、楽しく、やり甲斐あるものだと
幼いなりに幸せな記憶として残って欲しいです。
ペンライト禁止タイムになり、
再登場の北翔海莉による、棒術の演舞。
ライトセーバーみたいで格好良かったです。
北翔・扇治郎夫妻で「深川マンボ」を踊ると
風莉じんの歌で共演の皆様「お祭りマンボ」
『蘭』から「大阪ラプソディ」のフィナーレで幕。
宝塚時代からずっとそうですが
北翔海莉は口元が「ありがとうございました」
とはっきり言っているのが分かります。
幕が開いて、ご挨拶。
美治ちゃんがフリーダムに動いても、
母北翔海莉は動ぜず、父扇治郎が冷や汗。
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ところで、宝塚OGのセカンドキャリアは
長年の大きな課題です。
特定の方を指すわけではありませんが、
退団後、年々ファンが減っていく中で
元スターが宝塚時代の栄光を引きずり続け、
「落ち目」になっていくのは、残念な姿です。
また宝塚時代の若々しいイメージを引きずり
年齢相応では無い姿(言動、ファッション)も痛々しいです。
取り巻きの「ファン」も、疑似恋愛的にチヤホヤするにもかかわらず
OGジェンヌの人生にまで責任を持たないので
お花畑を作り出してはいけないと思います。
永遠に若く美しく大人気のスター、等あり得ないのですから…
潔く芸能活動から距離を置き、スター時代のイメージを大切にするのも、
また一つのセカンドキャリアの有り様だと思います。
その点、北翔海莉は「身の丈」「持ち味」や
扇治郎さんを含めた「周りの状況」を理解しながらも
公私共に充実し、実に楽しそうに活動していて、
安心して観ていられます。
コロナ禍で、副業として?
美容サロン経営・エステティシャンも始めましたしね。
もともと多趣味で努力家の方なので
ご本人の興味関心と実益が両立できてるんだろうなと思います。
今回は冒頭から何度も書いたとおり「内輪向け」で、
共演の方々も含め、実力があるものの
上手く肩の力を抜いていて、程よく楽しかったです。
北翔海莉さんが、今後も手堅く、楽しみながら
「天職」である舞台人として活躍なさることを
期待しています。