OSK日本歌劇団『春のおどり』
6月14日の初日(11時開演、15時30分開演の2回)を見ました。
(以下ネタばれあり)
【第1幕】日舞レビュー『翔 ~Fly High~』
(花)恒例チョンパからの幕開きは、江戸時代の街並み。
芸者や職人たちが歌い踊る中、満を持して「翼のアニイ」が登場。
ややシックですが粋で情緒ある感じが、私は好みです。
(鳥)『白鳥の湖』を日本風にした感じの場面。
鳥たち&翼さんの舞台上での衣装チェンジも見どころ。
魔女である朝香さんの凄みが、若いトップスターを覆い尽くす迫力の素晴らしさ。
ただし、役名「魔女」は日本的ではないので、「妖術遣い」とか別の名称が良かったのではと思います。
(風)風のように次々と和楽器を持った踊り手たちが登場。
翼さんが下駄ップ(下駄のタップ、さすがに下駄の歯は長くない)をしながら、
パーカッションをまとめていきます。
客席の参加度合いも程よく(特徴的な五連符の拍手)、
手持ちサイズの和楽器を使う演出が非常に新鮮で、
若々しくエネルギッシュな場面になっており良かったです。
(月)三組の平安貴公子・淑女のしっとりした場面。
一応「花鳥風月」の中の「月」の位置づけですが、全体の繋がりの中で唐突な印象。
(翔)かつら無し(洋髪)に着物での総踊り。パンフレットにもある通り、
本来のOSK日舞レビューっぽいのは、「花」よりこちら。明るく〆。
一つ一つの場面は素敵なのに、全体が45分でやや短いのと、
場面ごとのつながりが悪く、一貫性が見えにくいのが残念です。
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【第2幕】洋舞レビュー「The Legendary!」
幕開けはスパニッシュ風。OSKの伝統の一つなので大切にして欲しい舞踊の一つ。
ただ、特に男役の衣装が中途半端で違和感があります。
(着回しが多いのは仕方が無いにしても)黒系の衣装をベースにした方が、
オレンジ色スパニッシュの翼さんが際立つのではないでしょうか。
続く翼・千咲メインの場面、天輝・唯城メインの場面は、
良くも悪くも「いつものOSK」味があって、安心して観ていられます。
ラテンの場面は、知颯さんのソロ歌唱は初かな?
赤黒の衣装なんですが、娘役さんの胸元の金の飾りが白ジャケットで中途半端に隠れるため
上位娘役さんの中には蜘蛛みたいに見えてしまう方もあり、気になりました。
(着回しが多いのは仕方が無いにしても)組み合わせについて、工夫いただきたい。
スター以外の若手にもソロ又は少人数の場面が多く、OSKらしくて良かったです。
中盤の「伝説の一夜」として桐生・城月メインの場面。
城月さんが後ろからハグしに行くところが、
「私の男…!」というセリフが聞こえてきそうで、特にドラマチックでした。
(このところゴルゴ13の読みすぎかもしれません…)
淡いピンク衣装の「Sakura伝説」は、
新トップ翼さんを劇団全体で包み込む温かみがありました。
新入団生紹介からのラインダンスはもちろん良かったのだけど、
ほんのわずかしか使わない「101」の装置が必要か疑問(その分、お衣装に予算を…)。
また一緒にラインダンスしないなら、役名「ロケットボーイ」もどうかと思います。
(空良さんが足上げると期待してしまったではないか…「プレゼンテーター」の方が適)
翼・千咲のデュエット「桜」は、
同期らしいフレンドリーなデュエット。
男役&娘役ペアが、「恋人」「夫婦」だけでなく
こんな風に「親友」「戦友」「ライバル」など色々なパターンで
できるのはOSKの強み。でも根底にあるのは「信頼」や「尊敬」ですね。
終盤は黒燕尾×白ドレスからのパレードで、シンプルかつ華麗に〆。
パレードの桜乃さんの髪飾りが可愛い。
こちらも一つ一つの場面は良いし、「伝説」のテーマに沿って
奇抜すぎる場面は無く、また懐メロもあり、
肩の力を抜いて観られるレビューだけど、70分はちょっと長くて……
日舞レビューとのバランスが悪かったなあ、と思います。
(洋舞を一曲短くして、日舞の方で一曲(ソロか少人数歌唱)欲しかったなあ…)
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いつものことながら、羽那さんはお顔も動作も表情豊かで、
オペラグラスなしでも情感が伝わってきました。
…そう比較的前方なので油断し、オペラグラス忘れてしまいました。
(松竹座のレンタル復活していただきたいです)
間違いがあると失礼なため、今回は印象に残った方へのコメントは割愛します。
また、東京でも観劇します。
久々に大阪観光する時間があったので、
四天王寺の「河藤」さんの割氷を買いました。
寒天ゼリーに薄い砂糖の衣の和菓子です。
似たような和菓子は数多在りますが、ダントツでこちらのが美味しいです。
初日11時の回は先斗町から舞妓さんが華を添えていました。
(劇場入口の立て看板にも記載あり)
ところで(プライベートなのでお名前は出しませんが)
近くの席に宝塚歌劇団の下級生さんが複数名いらっしゃいました。
OSKと宝塚は似て非なるものであり、それぞれの伝統・型を大切にする一方
相互に学び取る風通しの良さや柔軟性もあって欲しいです。
頑張ってください!