わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

「イチゴ」を一年中楽しむために

2011-08-07 | 農と食をつなぐ…農産物の加工で豊かな食


農と食をつなぐ…農産物の加工で豊かな食 Part1 
                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2011.6/2号掲載>

イチゴの魅力は、味・香り・色。フレッシュな甘酸っぱさをイチゴミルクやサラダ、ケーキなどのスイーツで食べると、幸せ気分になりますね。
長野県内では品種を変えて一年中栽培されているイチゴ。
地産地消の推進から農業生産・商品加工・販売の三者連携による商品が生まれ、地元産を楽しめる機会が増えています。
そこで、冬イチゴから夏秋イチゴへのリレーの時季にある、それぞれの産地と加工品をご紹介します。
                       

みんな大好きイチゴ
イチゴの人気はその栽培を各地に広め、日本の東と西とで品種競争が繰り広げられてきました。
主要産地は、栃木、静岡、福岡、愛知の各県。
昔は、東の「ダナー」、西の「宝交」と品種を分け、その後は、「とよのか」、「女峰」。そして今は、各県で独自の品種改良が行われ、「とちおとめ」「章姫」を中心に様々な品種が味を競っています。
   
いちごジャムの歴史 
ジャムづくりは砂糖が欠かせないものですから、砂糖が豊富だったイギリスやフランスで発達しました。
野生のイチゴは紀元前からあり、保存食として蜂蜜を使ってジャムが作られていたようです。
国内でのジャム製造は、明治10年に内務省の勧農局(東京)で試売され、信州にもイチゴ、リンゴ、アンズのジャム加工技術として伝わったようです。


大正初期にジャムづくりのためにイチゴのツルとヘタ取りの作業をしていた子どもたち。
報酬には、今でいう地域通過のような、駄菓子屋で使える金札が渡された。(写真:塩川伊一郎評伝より転写)


地域の振興のために…「いちごジャム」開拓の心
小諸市三岡では、明治時代に塩川伊一郎氏の貢献によりモモが栽培され、その加工をする缶詰工場もありました。
塩川氏は、当時、野イチゴを加工して食べる食文化があったことから「いちごジャム」の製造にも着手し、「いちご平」の地名が残っている御牧が原中心にジャム用のイチゴが栽培され、日本にイチゴジャムが普及する元となりました。

   
信州の伝統野菜「御牧いちご」
昭和30年以前に栽培され、ジャムの食文化に大きな役割を果たした存在から、「御牧いちご」として信州の伝統野菜に選定されています。

■明治屋マイジャム誕生から百年
朝採りのフレッシュなイチゴとザラメ糖をマキで炊き上げていた小諸産のイチゴジャムは、「世界のベスト(BEST)を商う」明治屋との提携で、明治44年に明治屋マイジャムの発売にもつながりました。
当時は缶入りだったイチゴジャム。
現在は、“ジャムなのに果実”というジャムのルーツを「M・Yジャム復刻版」として販売し(写真)、当時の味わいにレモンの爽やかさを加えて、信州の自然から生まれたイチゴジャムの歴史を伝えています。




データ活用で多様な栽培を目指す こもろ布引いちご園 (小諸市)
1999(平成11)年、農業近代化事業を目的に、農事組合法人として設立されたこもろ布引いちご園。
農業の安定経営のために、観光農園、苗生産・イチゴ生産販売などの多角経営を行いました。
そして、その事業活動は高く評価され、様々な賞を受賞してきました。
日帰り温泉施設「あぐりの湯」に隣接して建てられたイチゴ園は、1月~6月末までイチゴ狩りで賑わいます。
園内のイチゴの品種は、「紅ほっぺ」「章姫」「アルビオン」。そして、伝統野菜の「御牧イチゴ」も紹介されています。
6月になると、冬イチゴは栽培の終盤になり、ジャム、ドライイチゴなどの加工にも好適なイチゴが販売されます。 
  
衛生的な環境と効率の良い栽培による質の高い安定生産で、ブランド化が求められているイチゴ栽培。
その経営の近代化を図るためには「ITを活用した植物工場」の発想が基盤です。
まず、花芽の管理や養分の調整が大切で、生産工程の設計が求められます。
そこで、天候、観光農園の来客数、イチゴの出蕾(しゅつらい)率などのデータがイチゴの需要や肥培管理の判断に生かされます。
新しい農業経営を目指すこもろ布引いちご園では、栽培ノウハウを提供する生産システム販売事業の展開が、県外、海外ではじまっています。

本年、農事組合法人から株式会社への組織変更で、代表取締役社長に就任した倉本強さん(旧組合長)

■ジャムやドライフルーツに
採りたてのイチゴは、加工品にも利用されています。
完熟のフレッシュジャム(写真下)は、園内売店とあぐりの湯売店で販売。
ドライフルーツは、玉井フルーツ店(上田市)で只今製造中。6月下旬からスーパーマーケットツルヤ(軽井沢店)とArio( アリオ・上田市)で販売予定。 
 

イチゴ狩りは、6月30日まで
栽培棟・育苗棟・発根棟の養液栽培施設が浅間山をバックに並びます。

休日なし。イチゴ狩り受付10:00~15:00(閉園16:00) 




八ヶ岳高原で契約栽培
夏秋イチゴを洋菓子に…
  (川上村)
レタス生産日本一の川上村で、イチゴ栽培を専業とする渡邉彰さんがイチゴ栽培に転換したのは9年前。
現在は、長男の正和さんらと家族経営で仲間を増やし、「農業法人JIM.berry」として
5人の生産者とイチゴの契約栽培をしています。
渡邉さんがこの地域で夏秋イチゴ栽培の先駆者として、栽培・販路を軌道に乗せてきた背景には、様々なご苦労や失敗もありました。そして、失敗にくじけず、道を開拓した先にシャトレーゼとの出合いがありました。
山梨県に本店をもつシャトレーゼは、フランチャイズ店舗を各地に展開する洋和菓子店です。

冷涼な気候の長野県は、夏秋イチゴの生育の適地として、栽培が推奨されています。
南佐久は生産規模が一番大きく、生産者は約20人。その約半数がシャトーレーゼとの契約栽培です。
イチゴはデリケートで、果実に手で触れると傷みの元となります。
イチゴの新鮮さを守るために、収穫適期の実を大小の選別なしで収穫容器に並べて、そのまま出荷しています。


安心安全な原料を地元の契約農家や農場から直接仕入れて、その生産地でお菓子づくりを行うという、素材本位の工場システム「ファームファクトリー」を記したボードと並ぶのは、渡邉彰さん。

信州の推奨品種「サマープリンセス」
長野県南信試験場で育成した長野県オリジナル品種です。
果実の外観形質に優れた四季成り性で、収量や経済性で有利栽培ができます。


夏秋イチゴで地産地消
丸ごとイチゴをふわふわの無添加スポンジで巻いたリッチなロール。契約農場の卵と、八ヶ岳
高原の牛乳をブレンドした北海道産生クリームを使い、国内の自社工場で製造して店舗に直送
されます。まさに生産者の顔の見える地元ならではケーキです。

「夏いちごの旬ロール(仮)」  7月上旬発売予定
ケーキの街佐久市のシャトレーゼ佐久平店で昨年好評だった旬の限定品。
                               

ジャムとは・・・・
果実や野菜を糖でゼリー化するように加熱したもの。通常、糖度40度~65度以上でつくられます。 
カビや劣化を防ぐ保存のためには殺菌と高糖度が必要で、フルーツのフレッシュな風味を残すためには短時間の加熱と低糖度仕上げが望まれます。
    
ジャムの食べ方
ジャムは、パンにつけるだけでなく、ヨーグルト、アイスクリーに添えたり、紅茶に入れてロシアンティーに。フルーツの風味と甘さを料理の隠し味に使うと、深みのある味になります。(カレーやドレッシング、たれなど)
    
ジャム入りボール
たこ焼き器をよく温めておき、ホットケーキの素の種を流し込み、芯にジャムを入れて丸く焼く。


イチゴチーズアイス
アイスクリーム、クリームチーズ、イチゴジャムを混ぜて冷凍庫で冷やす。


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