週刊さくだいら特集 料理を楽しむ Part
2006年9/14号掲載
高齢化時代の中で誰もが望むものは、最期までいきいき矍鑠(かくしゃく)と生きられること。
認知症や寝たきりを防ぎ、心身ともに健康で自立した日常生活をするために
私たちに出来ること、それは病気や老化の予防と、老化のスピードを遅らせ
る食生活への努力です。
加齢(老い)と食生活
100歳過ぎても健康で暮らす人の共通点は、「運動をしている」「家族と
同じ食事を食べられる」「視力の維持」とがあります。
これらを健全に続けられなくなるのが、体の老化で、その原因は、遺伝的な
もの、細胞の老化、ホルモン分泌の低下、肥満が挙げられます。
遺伝的なもの意外は、毎日の生活でアンチエイジング(抗加齢)できるもの。
様々な機能の衰えを防ぐ運動や食生活を毎日繰り返すことで、健全ないを手
に入れましょう。
【日常食】
運動量が減るために食が細くなり、噛む力も衰えます。一度にたくさん食べ
られないので、食品を選び、食べやすい調理で効率よく栄養をとるように
しましょう。
味覚を育てる離乳食とは違い、味の好みが確立していますから、味にメリハ
リをつけたり、家族と同じものを食べやすくする工夫で食欲を促し、楽しく
食事ができるような思いやりを。
楽しく食べよう――――人の命を支えているのは食べること
■噛むことは全身運動
噛むことは、運動量の少なくなった高齢者が毎日続けるひとつの運動。
食事は栄養の摂取のためだけでなく、噛む運動による全身への好影響が生ま
れます。
【認知症の予防】脳の血流量が増え、脳細胞の活性化につながります。
家族との楽しい食事も同様。
【消化機能の向上】食べ物が細かくなるだけでなく、唾液の分泌による消化
酵素の働きで、消化吸収力がアップ。
【虫歯・歯周病予防】唾液には殺菌作用などがあり、よく噛むことで唾液が
分泌し、口腔の鍛錬にも。
【筋力増強】噛む力(咀嚼力)が増し、背筋力まで強化。
【視力維持】目を支えている筋肉が鍛えられ、視力の低下の防止に。
【肥満防止】満腹中枢の刺激になり、過食の防止に。
【免疫力】唾液の中の成分が、免疫力アップに。
【丈夫な骨】腰椎のカルシウム量が増えるケースも。
■長寿の食事
長寿で知られる沖縄では、食べ物のことを「ヌチグスイ(命の薬)」と
言います。長寿食としての代表は、豆腐、豚肉、モズク、ゴーヤー等など。
脂を上手に取り除く調理や野菜やフルーツのビタミンを組み合わせた
料理は、まさに「医食同源」、命を支える薬です。
沖縄に学ぶことは、栄養バランスのよい食事と、運動(踊り)、ストレス
をためないおおらかさ。これらは、老化の元となる活性酸素を抑える“
抗酸化物質”の働きの強化にもつながります。
【抗酸化物質】
ビタミンC、 ビタミンE、 β(ベータ)カロテン、イソフラボン(大豆、
大豆製品)、アントシアニン(ブルーベリー、赤ワイン)、リコピン(トマト、
スイカ等)、カテキン(茶、赤ワイン)、アスタキサンチン(サケ、エビ、
タイ等)、ケルセチン(ブロッコリー、玉ネギ、リンゴ等)
カレー
家族のカレーと一緒に途中まで煮込み、野菜がやわらかくなったら
別鍋で煮汁に牛乳とゆでたマカロニを入れてカレー風味で煮込みます。
焼 肉
しゃぶしゃぶ用の肉で棒状に切ってゆでたジャガイモを芯に巻き、
家族の焼肉と一緒に焼きます。ひき肉とおろしレンコン(長芋)を練
った団子や、くし切りのカボチャ、玉ネギも。
和風スパゲティ
パスタを短く切ってゆでておき、和風だしをとったスープで細かく切
った鶏肉と野菜を煮込み、しょうゆ味をつけてパスタを加え、水溶き
片栗粉でとろみをつけます。
天ぷら
エビやミツバを細かく切ってかき揚げに。カボチャやサツモイモも細
切りで食べやすく小さめにして揚げます。サクサクは食べにくいので、
薄味にした天つゆに浸せるように。
病気になっても心は健康でいたい
寿命を左右するものは、免疫機能と生活習慣病、そして食べる機能です。
病気や転倒によるケガの予防が第一ですが、万が一、介護が必要な状態に
なっても、残された機能を把握し、活用する努力をしましょう。
どんな時でもポジティブに捉えて、心は健康でいることが大切です。
【介護食】
日本人の死因の多くは、ガン・脳卒中・心疾患・肺炎ですが、高齢者になる
ほど、誤嚥(ごえん)性肺炎が多くなります。嚥下(飲み込み)障害により、
食べ物や唾液を気管に飲み込み引き起こす炎症で、嚥下障害は脱水や低栄養
の原因にもなります。
命の源となる食事ですから、誤嚥を防ぐことが大切です。
とろみをつける……液体をまとまりやすくして、のどへゆっくり移動する
ように。片栗粉や寒天などのとろみは加熱が必要ですが、
市販のとろみ調整食品はそのまま混ぜて使えます。
脱水 汗や尿などの排泄物などで一日に失われる水分は、高齢者で1500
㏄とか。
脱水すると、発熱、脱力感、血液濃縮、皮膚の乾燥から意識障害、
生命の危機までも。
低栄養 嚥下障害があると、思うように栄養が摂れません。栄養不足だけで
なく、免疫力が低下し、褥瘡(じょくそう=床ずれ)や感染症からさら
に症状が悪化。
食べやすい介護食 飲み込みの状態をよく知り、調理や材料を選びます。食べることを楽しめるように、温度のメリハリ、目先や食感を変える工夫も。
【蒸し物】 茶碗蒸し、かぶら蒸し、ごま豆腐、白身魚の蒸し物、山芋蒸し、
プリン
【プルプル食】 フルーツゼリー、ババロア、ムース、杏仁豆腐、ブラマン
ジェ、コンソメかん
【ネバネバ食】 とろろ、ひきわり納豆、ゆでオクラ刻み
【どろどろ食】 かゆ、クリームスープ、シチュー、フルーツネクター(バナ
ナ、リンゴ等)
【まろやか食】 アイスクリーム、ヨーグルト
今年は豊作です! たっぷり買って、栄養源に
「ジャガイモ」はやさしさの味昔は主食として食べられていたイモ類。体にやさしく、弱った体の栄養源と
しては申し分ありません。
たっぷり蒸したりゆでて、マッシュポテトやスープで冷凍保存。ポテトサラ
ダ、タラコを混ぜたタラモポテトの堅さから、スープでのばしたポタージュ
まで、幅広い調理ができます。
栄養 ビタミクCとカリウムが豊富。免疫力を高め、胃腸の粘膜を守り、整腸、
便秘予防の効果も。血圧を安定させ、生活習慣病の予防・治療にも効果
大。
ポテトスープ
①玉ネギ(小1/2玉)の薄切りをバター(20g)で炒め、3、4cm角
に切ったジャガイモ(200g)を加えてさらに炒める。
②①にご飯(1/4カップ)、ブイオンスープ(3カップ)を入れてやわら
かくなるまで煮て裏ごしする。
③②に生クリーム(50㏄)を加えて、塩コショウで味を調える。
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もくじ
かんたんクッキングEX
かんたんクッキング
ブログ}春夏秋冬いつもそよ風
2006年9/14号掲載
高齢化時代の中で誰もが望むものは、最期までいきいき矍鑠(かくしゃく)と生きられること。
認知症や寝たきりを防ぎ、心身ともに健康で自立した日常生活をするために
私たちに出来ること、それは病気や老化の予防と、老化のスピードを遅らせ
る食生活への努力です。
加齢(老い)と食生活
100歳過ぎても健康で暮らす人の共通点は、「運動をしている」「家族と
同じ食事を食べられる」「視力の維持」とがあります。
これらを健全に続けられなくなるのが、体の老化で、その原因は、遺伝的な
もの、細胞の老化、ホルモン分泌の低下、肥満が挙げられます。
遺伝的なもの意外は、毎日の生活でアンチエイジング(抗加齢)できるもの。
様々な機能の衰えを防ぐ運動や食生活を毎日繰り返すことで、健全ないを手
に入れましょう。
【日常食】
運動量が減るために食が細くなり、噛む力も衰えます。一度にたくさん食べ
られないので、食品を選び、食べやすい調理で効率よく栄養をとるように
しましょう。
味覚を育てる離乳食とは違い、味の好みが確立していますから、味にメリハ
リをつけたり、家族と同じものを食べやすくする工夫で食欲を促し、楽しく
食事ができるような思いやりを。
楽しく食べよう――――人の命を支えているのは食べること
■噛むことは全身運動
噛むことは、運動量の少なくなった高齢者が毎日続けるひとつの運動。
食事は栄養の摂取のためだけでなく、噛む運動による全身への好影響が生ま
れます。
【認知症の予防】脳の血流量が増え、脳細胞の活性化につながります。
家族との楽しい食事も同様。
【消化機能の向上】食べ物が細かくなるだけでなく、唾液の分泌による消化
酵素の働きで、消化吸収力がアップ。
【虫歯・歯周病予防】唾液には殺菌作用などがあり、よく噛むことで唾液が
分泌し、口腔の鍛錬にも。
【筋力増強】噛む力(咀嚼力)が増し、背筋力まで強化。
【視力維持】目を支えている筋肉が鍛えられ、視力の低下の防止に。
【肥満防止】満腹中枢の刺激になり、過食の防止に。
【免疫力】唾液の中の成分が、免疫力アップに。
【丈夫な骨】腰椎のカルシウム量が増えるケースも。
■長寿の食事
長寿で知られる沖縄では、食べ物のことを「ヌチグスイ(命の薬)」と
言います。長寿食としての代表は、豆腐、豚肉、モズク、ゴーヤー等など。
脂を上手に取り除く調理や野菜やフルーツのビタミンを組み合わせた
料理は、まさに「医食同源」、命を支える薬です。
沖縄に学ぶことは、栄養バランスのよい食事と、運動(踊り)、ストレス
をためないおおらかさ。これらは、老化の元となる活性酸素を抑える“
抗酸化物質”の働きの強化にもつながります。
【抗酸化物質】
ビタミンC、 ビタミンE、 β(ベータ)カロテン、イソフラボン(大豆、
大豆製品)、アントシアニン(ブルーベリー、赤ワイン)、リコピン(トマト、
スイカ等)、カテキン(茶、赤ワイン)、アスタキサンチン(サケ、エビ、
タイ等)、ケルセチン(ブロッコリー、玉ネギ、リンゴ等)
カレー
家族のカレーと一緒に途中まで煮込み、野菜がやわらかくなったら
別鍋で煮汁に牛乳とゆでたマカロニを入れてカレー風味で煮込みます。
焼 肉
しゃぶしゃぶ用の肉で棒状に切ってゆでたジャガイモを芯に巻き、
家族の焼肉と一緒に焼きます。ひき肉とおろしレンコン(長芋)を練
った団子や、くし切りのカボチャ、玉ネギも。
和風スパゲティ
パスタを短く切ってゆでておき、和風だしをとったスープで細かく切
った鶏肉と野菜を煮込み、しょうゆ味をつけてパスタを加え、水溶き
片栗粉でとろみをつけます。
天ぷら
エビやミツバを細かく切ってかき揚げに。カボチャやサツモイモも細
切りで食べやすく小さめにして揚げます。サクサクは食べにくいので、
薄味にした天つゆに浸せるように。
病気になっても心は健康でいたい
寿命を左右するものは、免疫機能と生活習慣病、そして食べる機能です。
病気や転倒によるケガの予防が第一ですが、万が一、介護が必要な状態に
なっても、残された機能を把握し、活用する努力をしましょう。
どんな時でもポジティブに捉えて、心は健康でいることが大切です。
【介護食】
日本人の死因の多くは、ガン・脳卒中・心疾患・肺炎ですが、高齢者になる
ほど、誤嚥(ごえん)性肺炎が多くなります。嚥下(飲み込み)障害により、
食べ物や唾液を気管に飲み込み引き起こす炎症で、嚥下障害は脱水や低栄養
の原因にもなります。
命の源となる食事ですから、誤嚥を防ぐことが大切です。
とろみをつける……液体をまとまりやすくして、のどへゆっくり移動する
ように。片栗粉や寒天などのとろみは加熱が必要ですが、
市販のとろみ調整食品はそのまま混ぜて使えます。
脱水 汗や尿などの排泄物などで一日に失われる水分は、高齢者で1500
㏄とか。
脱水すると、発熱、脱力感、血液濃縮、皮膚の乾燥から意識障害、
生命の危機までも。
低栄養 嚥下障害があると、思うように栄養が摂れません。栄養不足だけで
なく、免疫力が低下し、褥瘡(じょくそう=床ずれ)や感染症からさら
に症状が悪化。
食べやすい介護食 飲み込みの状態をよく知り、調理や材料を選びます。食べることを楽しめるように、温度のメリハリ、目先や食感を変える工夫も。
【蒸し物】 茶碗蒸し、かぶら蒸し、ごま豆腐、白身魚の蒸し物、山芋蒸し、
プリン
【プルプル食】 フルーツゼリー、ババロア、ムース、杏仁豆腐、ブラマン
ジェ、コンソメかん
【ネバネバ食】 とろろ、ひきわり納豆、ゆでオクラ刻み
【どろどろ食】 かゆ、クリームスープ、シチュー、フルーツネクター(バナ
ナ、リンゴ等)
【まろやか食】 アイスクリーム、ヨーグルト
今年は豊作です! たっぷり買って、栄養源に
「ジャガイモ」はやさしさの味昔は主食として食べられていたイモ類。体にやさしく、弱った体の栄養源と
しては申し分ありません。
たっぷり蒸したりゆでて、マッシュポテトやスープで冷凍保存。ポテトサラ
ダ、タラコを混ぜたタラモポテトの堅さから、スープでのばしたポタージュ
まで、幅広い調理ができます。
栄養 ビタミクCとカリウムが豊富。免疫力を高め、胃腸の粘膜を守り、整腸、
便秘予防の効果も。血圧を安定させ、生活習慣病の予防・治療にも効果
大。
ポテトスープ
①玉ネギ(小1/2玉)の薄切りをバター(20g)で炒め、3、4cm角
に切ったジャガイモ(200g)を加えてさらに炒める。
②①にご飯(1/4カップ)、ブイオンスープ(3カップ)を入れてやわら
かくなるまで煮て裏ごしする。
③②に生クリーム(50㏄)を加えて、塩コショウで味を調える。
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もくじ
かんたんクッキングEX
かんたんクッキング
ブログ}春夏秋冬いつもそよ風