わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

国産大豆を食べよう、増やそう

2010-01-25 | 農と食をつなぐ…地産地消のすすめ
農と食をつなぐ…地産地消のすすめ 
                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2009.11/12号掲載>

煮豆、豆腐、みそ、しょうゆ…、「大豆」は日本の食文化を支える食品です。
ところが国産大豆の食料自給率はわずか5%。
こんなに大量の大豆生産を外国に頼っていることに、怖ささえ感じてきます。
品質がよく、遺伝子組み換え等の心配のない国産大豆は、おいしくて安全。
毎日食べるものは地元で生産することを目標に、昔は当たり前だった大豆の栽培を拡大していきませんか。

食料自給率を増やすためには――――
●大豆の生産量を増やす
大豆は環境条件による収量の変動が大きく、安定生産が望まれます。
多収品種、病害虫への抵抗性品種、耕種的な湿害回避技術等が求められ、先ごろ長野県野菜花き試験場では機能性に優れる新品種「ななほまれ」(β―コングリニシンを従来の1.8倍含有)も開発されました。

●国産大豆使用の食品を食べる
家庭では国産大豆を選んで大豆を使うメニューを増やし、地元産大豆は地元加工メーカーの協力を仰いだ加工品で安定供給したいものです。

大豆の品種と栽培
国産大豆は品質に優れています。北海道、宮城、秋田の作付面積が大きいですが、収穫量では北海道、佐賀、福岡各県が多くなっています。
長野県の作付面積は全国第20位(平成20年)。その約61%が「ナカセンナリ」で、「タチナガハ」「ギンレイ」「つぶほまれ」「すずろまん」と続きます。 


(左)こうじいらず
 東信地方の在来種。
 淡い黄緑色で甘みがある。別名うぐいす大豆。 

(右)ナカセンナリ
 豆腐、味噌にも向き、やわらか。
県内の作付け面積第一位の品種。

 
遺伝子組み換え大豆や大豆アレルギー
大豆の遺伝子組み換えには、「特定の除草剤で枯れないもの」「特定成分(オレイン酸)を含むもの」があります。
大豆の中に新しくできたタンパク質の検出と、組み込まれた遺伝子を直接検出する方法の検査により、大豆の安全性は一応確認されています。

大豆の栄養と機能性
生きるために必要な3つの必須栄養素の内、たんぱく質40%、脂肪20%が含まれています。
畑の肉といわれるように、豆腐1/3丁で卵1個分のたんぱく質を含有し、必須アミノ酸がバランスよく含まれます。脂肪のリノール酸、大豆イソフラボン、ポリフェノール、食物繊維も豊富です。

育てて食べる……次世代への取り組み
大豆100粒運動 
大豆100粒運動は、SBC放送と辰巳芳子先生との健康をテーマとする出会いから生まれた運動で、今年5周年を迎えました。
大豆は子供でも高齢でも栽培できることから、この運動は小学生を中心に全国に拡がり、今年は県内○○校が参加しています。
大豆を種から栽培し、収穫、給食による消費までの実体験の食育が、食料自給率向上の意識づけにもつながります。


東信地方の今年の参加校は、岸野、田口、中込、佐久東、望月、浅科、水明、千曲、軽井沢東部、軽井沢中部各小学校です。


大豆トラスト 
トラストには「信頼」「信託」という意味があり、“顔の見える安
長野県では飯田、松本などを中心に栽培体験も加えた大豆畑オーナー制の展開もあります。

クボタeプロジェクト 
農機具販売メーカーのクボタ農機株式会社では、農業機械作業によって荒廃地・遊休農地を大豆やそば畑にする活動や、学校の食育などを支援しています。
スローガンは「元氣農業」。企業としての地球環境保全や農業活性化支援で農業の発展を応援しています。


味噌   
「手前みそ」といわれるように、我が家のみそはおいしいもの。食品添加物なしの安全な手作りみそを食べましょう。

味工房小諸すみれ(小諸市)は、地元で採れた農産物をおいしい加工品にして届けたい、という農村女性の思いが形になった加工施設です。
みそ、惣菜、漬物を扱い、市内の直売所やイベントなどで販売しています。

甘くて粘りのある在来種「こうじいらず」を自ら栽培し、こうじの割合を多くして仕込んだみそは、小売パックや樽入り、お歳暮などの贈答用があり、好評です。
〔問い合せ先〕味工房小諸すみれ 電話0267-22-1706

味噌の委託加工
原材料(米、大豆)持ち込みや材料購入で加工もできます。
   


納豆   
地元の大豆を地元で製造した納豆があります。
国産納豆を食べる消費行動によって、生産と消費をバランスよく増やし大豆畑も増やしましょう。

納豆は大豆の栄養を吸収しやすくし、発酵によってさらに高い栄養効果を付加した食品です。
地方で納豆製造業者が減り続ける中で、浅間納豆本舗(御代田町)は、昔ながらの伝統の味を守りながら、県内(上田)産大豆を原料にした納豆も製造しています。 


外食・中食、加工業者の原料ブランドは、消費者が選ぶものを優先し、他のコストダウンを図ります。

納豆も同様に、消費者が国産を求めれば、国産大豆使用の生産は増えていきます。
健康効果の高い納豆こそ、安さばかりを追わずに、国内産のおいしさと安全性で食べたいものです。

昔は、炭で室温を上げて納豆を発酵させたという歴史ある浅間納豆本舗。
地元の大豆生産を増やし、地元加工業者による納豆製造で地産地消の輪が拡がれば理想的。
地元産大豆の消費拡大、食料自給率向上の取り組みを小さなところから始めてみませんか。

(右)赤いラベルと製法を守る定番商品。初代はバイオの先駆者、納豆博士半澤洵氏から技術指導を受けて納豆の開発をしたという。 
(左)上田産ナカセンナリ100%



豆腐   
日常に欠かせない豆腐だから、安全なものを安心して食べたいもの。
そして、作り手が見える手づくりだから、互いの心を通い合わせて食べられます。

直売所で目にするおむすび作業所(小諸市)製造の豆腐。
物言わぬ食品ですが、小規模製造の努力と温かさが自然に伝わってきます。
おむすび作業所は、就労継続支援B型事業所として大豆製品の加工販売や企業からの受注作業をしています。
豆腐などの製造は気遣いが必要な作業のため、利用者1名とともに支援員3名が早朝から力を合わせて取組みます。
豆腐は国産大豆と伊豆大島産のにがりを使ったもめん豆腐。油揚げ、厚揚げ、がんもどきも併せて製造しています。


※販売は、滝原の駅直売所・三岡直売所(小諸市)、(農)佐久産直センター直売所みよた店。

就労継続支援B型事業所とは
障害をもつ方たちが共同作業や交流を通して、社会参加や一般の就労を目指して訓練を計る場所です。
県の認定を受けた施設としての認定基準があり、入所者に合わせた支援員の確保や、発注元企業の開拓と理解、最低賃金の保障などで運営の円滑化が求められます。



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