わが家の食育…「お家で作ろう! 食べよう!」

家族の健康づくりは、わが家で作る食事から…。信濃毎日新聞発行「週刊さくだいら」「週刊いいだ」特集掲載をまとめます。

「地元で育てたブドウのワインを飲もう」

2013-11-07 | 農と食をつなぐ…信州の農地と自然を守るた

農と食をつなぐ…信州の農地と自然を守るために Part2                 

                 信濃毎日新聞社「週刊さくだいら」
                  <2013.10/31号掲載>

緯度や標高、土壌などの気候・風土が地域ごとに変化し、作物も個性豊かな長野県。
近年、品質のよいブドウの産地として評価が高く、個性ある醸造家による小規模ワイナリーも増えています。
ブドウの収穫が終わり、今年のワインの発酵が静かに進んでいます。
ワインに親しむ環境が身近にありながら、楽しまないのは勿体無い…。そこで、日本のワインの今、そして、顔の見える場所でブドウを生産する人々と地元のワインづくりを紹介します。           

紀元前から飲まれていたワイン。ブドウ果汁100%で、その糖分の発酵によるシンプルなお酒なので、原料のブドウと醸造技術がワインの質を決めます。
“生命の樹”といわれるブドウのアロマ(果実香)と、醸しが織り成すブーケ(熟成香)が、ワインの奥深さと個性を生み出します。

ワインの魅力
ワインづくりの歴史は古く、ビールとともに親しまれてきましたが、作りやすいビールは日常のものになり、ワインは高級感をイメージする酒になりました。
ワインの魅力は、自然に委ねた「醸し」の妙技。
条件によって変わる発酵の奥深さをブドウの味が表現し、さらに、料理の組み合わせで変化し合う味わいが、新鮮な感動を呼び起こします。

日本のワイン
明治政府の欧化政策や、荒廃地の農業振興のために北海道や兵庫、山梨など全国各地で栽培が拡大したブドウ。
高温多湿の日本では、欧州系のワイン専用品種の栽培は困難を極めたようです。
日本で初めてのワイン醸造所は山梨県勝沼町(現甲州市)にできた当時のワインは、甲州種・ヤマブドウ・エビズルを原料にしたようです。
ブドウの栽培から品種交配を軸に栽培技術は進歩。
川上善兵衛の育種による「マスカット・ベリーA」の誕生以降、ワイン用のブドウは品種の個性を生かしながら品種交配が続けられています。

信州のワイン
冷涼な信州は、アメリカ種の生食用ブドウのワインが多いという特徴がありましたが、気候の変化や品種交配、醸造技術の向上により、欧州種のブドウ栽培が増えてきました。
世界と並ぶ品種の栽培は、ワインを世界レベルに導く道。飲む人を描きながら醸されるワインは、世界に広がる日本料理のように、多彩な表情で飲む人を魅了する味に育つに違いありません。
観光県でもある信州のブドウ園の発展は、景観の美しさと農地を守る観点からも、自然と人を守ることにつながります。
信州の醸造家は世界品質を目指し、日本で本物のワインを造る夢の実現に向かっています。

地元のオリジナル品種ワイン用ブドウ
「浅間メルロー」「信濃リースリング」
1973(昭和48)年のマンズワイン小諸ワイナリー設立時から、ワイン用ブドウを契約栽培している大里加工ぶどう部会(小諸市)。
今年も収穫を終え、丹精込めたブドウをワインづくりの工程へと送り出しました。
ワイナリー周辺にある園地のブドウは、オリジナルワインとして醸造され、最高級ランクは国内外のコンクールで様々な賞を受賞しています。

品種改良と栽培技術
当初、冷涼な長野県向きの品種「善光寺」を栽培していましたが、後に国産プレミアムワイン醸造のために「シャルドネ」「メルロー」に加え、品種交配によるオリジナル品種「信濃リースリング」「浅間メルロー」「シャルドネ・ドゥ・コライユ」に更新。
ワイナリー、生産者、全農長野、JA佐久浅間が一体となって、品質分析をしながら高品質ブドウづくりの栽培技術を磨いています。                                     

                           大里加工ぶどう部会の正副会長

品質主義宣言と「ソラリス」
2001(平成13)年から同ワイナリーで醸造している「ソラリス」シリーズは、フランスの最高級ワインと並ぶ品質を目指したこだわりのワインです。
地元の園地で収穫後、すぐに破砕し、高度な醸造技術で熟成。
フレッシュな原料をベースに、赤ワインは小さな果梗までも手作業で取り除き、雑味のないワイン作り、白ワインはブドウの持つ香りを最大限に引き出す技術で、きめ細かなワインが醸造されます。

収穫前には糖度検査などで品質を調査

「マンズ・レインカット」で品質向上
マンズワイン独自に開発した垣根仕立ての「マンズ・レインカット栽培」は、雨よけの被覆で裂果防ぎ、糖度を上げる効果もあります。
剪定や葉摘み、手摘みで腐敗果や未熟果を除く収穫など、徹底した高品質ブドウ栽培が世界の銘醸ワインを目指す原点になっています。




地元で生まれたワインを愉しむ
おいしい料理と…
地元で育ち、地元で醸造したワインを飲める…こんな贅沢はワイナリーのある環境に住んでいるこそかなう特権。
ワインと一緒にワインに合う料理(マリアージュ)を楽しめるのが、季節の料理店・山野草(小諸市)です。
おすすめは、マンズワイン「浅間メルロー」。                               酸味や渋みが強くなく、コクのある浅間メルロー種は、芳醇な甘みで口当たりとバランスがよいので、どんな料理にも合わせやすいワインです。
赤ワインの初心者にも好適。             

                                                                                                                      
                                       山野草おすすめ料理「海鮮カルパッチョ」のおいしさも引き立てます。

自家用や贈答に
「浅間メルロー」は、スーパーマーケットツルヤでも販売しています。(今年は一部店舗取扱いなし)
地元で契約栽培している生産者の顔が見えるワインが、風土を味で伝えます。
                                                                                 ★マンズワイン小諸ワイナリーのレストラン「ラ・コモーロ」、売店でも提供・販売しています。

「信州ワイン(『NAGANO WINE』)」を世界へ
信州ワインバレー構想

自然豊かな信州は、山、川、農地すべての景観が人を癒し、農作物にも恵まれています。
ブドウ栽培の適地としてしても評価され、長野県では農政・商工・観光の連携で「信州ワイン」を育てる「信州ワインバレー構想」の取り組みを始めました。
ワインはブドウの個性がワインの性格と酒質を決定します。
同じ園地でも長期に影響を受ける気象条件の違い(クリマ)が、アロマや酸味・アルコールなどのバランスを左右して、ワインの個性を変えます。
そのため、南北に長い長野県は、地域ごとの適応品種と、醸造の規模や技術の変化で、個性豊かな高品質のワインを楽しめるのです。
ミニワイナリーがブドウの生産、加工、観光までを提供する六次産業化も魅力的。
長野県産のワインと地域の文化を結びつけ、フランスのような地域に根ざしたワイン文化の発展につなぎましょう。 

 

野生の品種を栽培 「ヤマブドウ」
自生するヤマブドウを自家用の果実酒にする食文化は古くからあります。
今ではワイン用ブドウとして品種交配された「ヤマ・ソービニオン」「小公子」などによるワインが販売されています。
自然観察インストラクターの依田隆文さん(佐久市協和)は、子どもの頃から親しんだヤマブドウの味わいを次世代にもつなぎたいと、標高1000mの望月高原に自生する在来種のヤマブドウを同じ環境で栽培しています。

雌木と、花粉を提供するだけの雄木を混植。
収穫量を安定させるために剪定や葉摘みの手を添えますが、あとは自然に任せて生育を見守ります。
小さな実に種が4粒もあり、果汁の割合は60%という希少果汁。
1998(平成10)年から増やして、現在は60アールの広さで栽培。
酸味が強く濃厚な、ヤマブドウ本来の味を後世に伝える貴重な存在です。

株式会社古屋酒造店(佐久市塚原)で加工したワイン。
「山葡萄SAKU RUBY」は、同市内酒店で販売。
同市望月地域の駒月ブランドの一つ「駒月」は同地域限定販売。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   もくじ

かんたんクッキングEX

かんたんクッキング 

ブログ春夏秋冬いつもそよ風

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする