お父様はなぜ宝塚の願書を(笑)。
★★★★★
【プレシャス!宝塚】
神話の里から来たヒロイン 宝塚月組・咲妃みゆ

2013年5月2日
宝塚歌劇団の月組バウ公演「月雲(つきぐも)の皇子(みこ)−衣通姫(そとおりひめ)伝説より−」は今日2日、兵庫・宝塚バウホールで開幕する(同12日まで)。
古事記、日本書紀に残る伝説をもとに、権力争いからたもとを分かつ兄弟、その美貌の妹「衣通姫」を中心に描く恋愛劇。ヒロインの衣通姫は、4年目の咲妃みゆ。咲妃は神話の里、宮崎の出身で、古代史、歴史に興味があったという。
「出演できたらいいなと思っていたら(ヒロインで)すごく光栄に思ったのと同時に、重みを感じました」。神話が多く残る宮崎で生まれ育ち、学校の図書館にも、多くの歴史書物が置いてあった。今作こそ読んでいなかったが、神話の世界観にはなじみがあった。
今回、主演は珠城りょう。咲妃演じるヒロインと禁断の恋に落ちる兄の皇子を演じる。「珠城さんとは兄妹(役)ですので、魂で通じる部分を出していこうとお話ししています。本当に尊敬できる方なので、全力でついていきたい」。
演じる衣通姫はみこ、所作も重要なポイントだ。
「立ち居振る舞いで、その時代の女性の奥ゆかしさを出さないと。偉大な先輩方の映像を拝見しました。時代背景は違っても、通ずるものはあると思う」と言い、一路真輝がトップだった雪組公演「あかねさす紫の花」で、花總まり演じる額田女王などを見た。
咲妃は4年目で新人公演を含め、ヒロインは3回目。昨年、花組へ移籍した人気スター明日海りお主演の「春の雪」でも、相手役を務めた。2年目だった一昨年、ショーで現トップ龍真咲と組んだこともある。
「龍さんから『最初の段階で抱いた役へのインスピレーションを大事に』と言っていただき、今も忘れず、大事にしています。作品のために、自分に何ができるか。(ヒロインを経験し)舞台は1人では成り立たないという基本を、さらに深く感じました」
舞台、役柄への取り組みの根底には父の教えがある。小学5年からクラシックバレエを習い、宝塚にあこがれた時期もあったが、すぐにあきらめ、中学、高校では合唱部に入っていた。「ごく普通に送っていた」高校生活も、大きな転機が訪れた。大学受験を控えた時期に、目標が定まらずにいた。そんなある日、父からカツを入れられた。
「目の前にバンと(宝塚の)願書を置き『同世代の女の子が、夢に向かってどれだけ必死に頑張っているのかを知るべきだ』と」
咲妃はその後、約2カ月レッスンに専念し、合格。「(合格で)一番動揺していたのは父でした(笑い)」。努力する才能を持った次代のヒロインは、夢に向かって1歩ずつ前進する。【村上久美子】
◆バウ・ロマン「月雲の皇子−衣通姫伝説より−」(作・演出=上田久美子氏)古事記や日本書紀に残る恋愛叙事詩「衣通姫伝説」をもとにしたストーリー。人望のある木梨軽皇子(きなしかるのみこ=珠城)には、皇位継承のライバルである勇猛な弟・穴穂皇子(あなほのみこ=鳳月杏)と、衣通姫と呼ばれた美しい妹(咲妃)がいた。皇子と皇女が禁断の恋に落ち、流刑の地で心中した物語の裏側を描く。
☆咲妃みゆ(さきひ・みゆ)3月16日、宮崎生まれ。10年、月組公演「THE SCARLET PIMPERNEL」で初舞台。月組配属。昨年、「ロミオとジュリエット」で新人公演初ヒロイン、バウ公演「春の雪」でもバウ初ヒロイン。愛称は「みゅん」。
【写真】「月雲の皇子」で衣通姫役を演じる月組・咲妃みゆ(撮影・清水貴仁)
「プレシャス!宝塚」は、日刊スポーツ(大阪発行版)に連載中です。
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【プレシャス!宝塚】
神話の里から来たヒロイン 宝塚月組・咲妃みゆ

2013年5月2日
宝塚歌劇団の月組バウ公演「月雲(つきぐも)の皇子(みこ)−衣通姫(そとおりひめ)伝説より−」は今日2日、兵庫・宝塚バウホールで開幕する(同12日まで)。
古事記、日本書紀に残る伝説をもとに、権力争いからたもとを分かつ兄弟、その美貌の妹「衣通姫」を中心に描く恋愛劇。ヒロインの衣通姫は、4年目の咲妃みゆ。咲妃は神話の里、宮崎の出身で、古代史、歴史に興味があったという。
「出演できたらいいなと思っていたら(ヒロインで)すごく光栄に思ったのと同時に、重みを感じました」。神話が多く残る宮崎で生まれ育ち、学校の図書館にも、多くの歴史書物が置いてあった。今作こそ読んでいなかったが、神話の世界観にはなじみがあった。
今回、主演は珠城りょう。咲妃演じるヒロインと禁断の恋に落ちる兄の皇子を演じる。「珠城さんとは兄妹(役)ですので、魂で通じる部分を出していこうとお話ししています。本当に尊敬できる方なので、全力でついていきたい」。
演じる衣通姫はみこ、所作も重要なポイントだ。
「立ち居振る舞いで、その時代の女性の奥ゆかしさを出さないと。偉大な先輩方の映像を拝見しました。時代背景は違っても、通ずるものはあると思う」と言い、一路真輝がトップだった雪組公演「あかねさす紫の花」で、花總まり演じる額田女王などを見た。
咲妃は4年目で新人公演を含め、ヒロインは3回目。昨年、花組へ移籍した人気スター明日海りお主演の「春の雪」でも、相手役を務めた。2年目だった一昨年、ショーで現トップ龍真咲と組んだこともある。
「龍さんから『最初の段階で抱いた役へのインスピレーションを大事に』と言っていただき、今も忘れず、大事にしています。作品のために、自分に何ができるか。(ヒロインを経験し)舞台は1人では成り立たないという基本を、さらに深く感じました」
舞台、役柄への取り組みの根底には父の教えがある。小学5年からクラシックバレエを習い、宝塚にあこがれた時期もあったが、すぐにあきらめ、中学、高校では合唱部に入っていた。「ごく普通に送っていた」高校生活も、大きな転機が訪れた。大学受験を控えた時期に、目標が定まらずにいた。そんなある日、父からカツを入れられた。
「目の前にバンと(宝塚の)願書を置き『同世代の女の子が、夢に向かってどれだけ必死に頑張っているのかを知るべきだ』と」
咲妃はその後、約2カ月レッスンに専念し、合格。「(合格で)一番動揺していたのは父でした(笑い)」。努力する才能を持った次代のヒロインは、夢に向かって1歩ずつ前進する。【村上久美子】
◆バウ・ロマン「月雲の皇子−衣通姫伝説より−」(作・演出=上田久美子氏)古事記や日本書紀に残る恋愛叙事詩「衣通姫伝説」をもとにしたストーリー。人望のある木梨軽皇子(きなしかるのみこ=珠城)には、皇位継承のライバルである勇猛な弟・穴穂皇子(あなほのみこ=鳳月杏)と、衣通姫と呼ばれた美しい妹(咲妃)がいた。皇子と皇女が禁断の恋に落ち、流刑の地で心中した物語の裏側を描く。
☆咲妃みゆ(さきひ・みゆ)3月16日、宮崎生まれ。10年、月組公演「THE SCARLET PIMPERNEL」で初舞台。月組配属。昨年、「ロミオとジュリエット」で新人公演初ヒロイン、バウ公演「春の雪」でもバウ初ヒロイン。愛称は「みゅん」。
【写真】「月雲の皇子」で衣通姫役を演じる月組・咲妃みゆ(撮影・清水貴仁)
「プレシャス!宝塚」は、日刊スポーツ(大阪発行版)に連載中です。