聞かせて

森　多美子さんの作品です。
涼しげなパナマ帽を頭にのせ、Ｔシャツ姿の逞しい青年がギターを爪弾いています。
美しいメロディーが彼の右の指から生まれて、背後の空間へと流れていきます。
曲目はバラードでしょうか、ソウルでしょうか、それとも明るいジャスでしょうか？
思わず「もう１曲聞かせて下さい」と声をかけたくなります。

早春

宮本喜美子さんの作品です。
早春の草原、といっても背後の山や、馬が草を食んでいる場所の傾斜から察するところ、山の中腹あたりでしょうか？
暖かい日差しを浴びながら親子の馬が食事をしています。
仔馬はまだお乳が欲しいのでしょう、母親はその為にも沢山草を食べなければなりませんが、天気も良くその時間は充分にあります。
宮本さんの動物を見る眼差しはいつも優しく、その優しい眼差しが作品から感じられます。

夏の子供

杉田靖子さんの作品です。
今回、杉田さんは作品展の案内はがきを飾った空を舞うスノーボードを描いた４点の小品＜翔ぶ＞と、大全紙に描いた＜夏の子供＞を出品されました。
どちらの作品も動きのある題材で、その瞬間をとらえるのは大変難しいと思われますが、暑い夏の草むらの中を虫を追って嬉々と駆け回るお子さん（少年、少女）が表情豊かにとらえられていて、幼い日の自分の記憶が重なり、懐かしい気分にさせられました。

ポピュレーション

水谷美也子さんの作品＜ポピュレーション＞
ポピュレーションとは何ぞや？と辞書を紐解いてみたところ、個体群、集合、集団、人口、母集団・・・と出ていました。
この絵には中心にＦＲＢ議長のジャネット・イエレンが、その右上には日本の麻生財務大臣が描かれています。
多分世界金融会議開催時の記念撮影なのでしょう。
水谷さんの人物描写は特徴をよく捉え、淡い色遣いと配色が醸し出す独特の雰囲気に何時も感心させられます。

運命

堀　英夫さんの力作です。
堀さんは我が絵画教室では巨匠と呼ばれています。
その制作過程は我々と異なり、テーブルに置いた題材をスケッチしたり、写真を参考にして描いたりという方法は取りません。
全て頭の中にあるイメージを作品にしてゆくのです。
この絵も知人を描いていたところ、その知人本人から「この絵は堀さんの自画像ですか？」と聞かれて「まあ、そうです」と答えたとか・・・
その後、教室で「ベートーベン？」と聞かれて「それでもいいよ！」と答えて題名は「運命」になりました。
堀さんの絵は毎週どんどん変化してゆきます。
その力強く自由な作風から巨匠と呼ばれるのは誠にふさわしいと思われます。