会社に各種控除のための書類を出す季節になりました。師走が近いのですね。昔は年末調整が第2ボーナスという感じで楽しみでしたが、最近は年調が逆に引かれているので給与明細を見るのが鬱になります。配偶者控除がなくなったこととも関係あるのでしょうか。また、例年であれば保険会社から郵送されてきた証明書を書類に添付のうえ提出して、はい終わりなのですが、ここ最近生命保険会社の記事や本をよく目にするようになりました。それで少し勉強してみようかと思ったのです。今週の日経ビジネスも第2特集は「日生が共済に敗れる日」と題して、日本生命の凋落と埼玉県民共済の躍進を詳しくレポートしています。
ちょっと前の週刊ダイヤモンドでも、山崎元さんが連載コラムで人的リスクについて論考されていました。いつも愛読しているブログは、著名人の書き手のものとしては珍しく双方向生が成立していて出色ですが、特にこのエントリーはコメント欄もコンテンツとして有益です。これを読んで結構考えさせられるものがありました。まあ、今までいかに考えてこなかったかということなのですが・・・。山崎さんご推奨のベストセラー『医療保険は入ってはいけない!』もつい買ってしまいました。もう3刷りですか、売れてるんですね。著者の内藤眞弓さんは日生で13年営業職員をしていた経歴の持ち主です。
この本のいっていることは、
①公的医療保障を使い切って貯蓄した方が合理的
②自前の医療保障ポートフォリオを構築することが肝要
大きく上記の2点だと思うのですが、実際に保険を売ってきた方なので、説得力がありますね。
①については、日本の公的保険は優れていて、たいがいのことはカバーできるというのです。(世界でも有数という我が国の公的保険制度がどこまでこの状態で存続するのかという問題はありますが)実際の負担は医療費の3割で、1ヶ月あたりの自己負担金が所定の限度額を超えた場合は、後日払い戻される「高額療養費制度」というのもある。これはもし医療費が単月で100万円かかっても自己負担は8万円足らずで済む場合もある(本人の所得によっても異なる)というものです。実際にかかる費用を民間保険でさえカバーしきれないのだから、その分貯金しておいた方がいいわよというわけです。保険会社の利益率はべらぼうに高いので、「貯蓄性の高い」と喧伝されるような保険に入るのは愚の骨頂だと。著者は掛け捨てのガン保険には入っているそうです。
②について、著者は「保険に入っとけば万事安心」というのが幻想だと指摘します。それよりも、
●貯蓄(自家保険)
●健康管理(予防医療)・・・信頼できる主治医、医療知識、健診
●人的ネットワーク・・・知人・友人・ご近所さん
●公的医療保障・・・健康保険、労災など
●勤務先の福利厚生・・・見舞金、差額ベッド補助
●民間医療保険
というような自分の医療ポートフォリオを作成することが大事で、そうすると自ずから民間の医療保険がその中のワンノブゼムに過ぎないことがわかってきます。考えてみれば、結構な額の健康保険料が毎月の給与と賞与から既に天引きされていますし、高額な医療保険に加入して、暴飲暴食煙草三昧では本末転倒です。いざとなって頼れるのは友人だったり、自分のコミュニケーション能力かもしれない。
著者は、「人は保険に入ると思考停止状態になる」と書いていますが、同じような話を以前訊いたことがあります。(リスクマネジメントセミナーに出た同僚の話なので、又聞きのため不確かなところがあるかもしれません)日産のゴーンさんが、ある時、カントリーリスクに関する保険を全部解約しろという指令を出したそうです。その代わりスタッフに「200億円を自由に使って良いから、備えとして必要なものを考えろ」と命じたそうです。結果的に、保険を全く使わないわけではありませんが、かなりの無駄が省けたそうです。ゴーンさんの意図はコストカットよりも、社員の「保険に入れば万事解決する」という幻想を戒め、リスク要因の棚卸しをしたうえで、知恵を絞ることの重要性を説いたのだと思います。これは、個人が人的リスクのマネジメントをする場合にも全く同様でしょう。
というわけで、私も保険の見直しを考えていますが、その前に自分の保険史というものを振り返ってみようと思います。これはまた長くなりそうなので、次回に送りバントします。
ちょっと前の週刊ダイヤモンドでも、山崎元さんが連載コラムで人的リスクについて論考されていました。いつも愛読しているブログは、著名人の書き手のものとしては珍しく双方向生が成立していて出色ですが、特にこのエントリーはコメント欄もコンテンツとして有益です。これを読んで結構考えさせられるものがありました。まあ、今までいかに考えてこなかったかということなのですが・・・。山崎さんご推奨のベストセラー『医療保険は入ってはいけない!』もつい買ってしまいました。もう3刷りですか、売れてるんですね。著者の内藤眞弓さんは日生で13年営業職員をしていた経歴の持ち主です。
この本のいっていることは、
①公的医療保障を使い切って貯蓄した方が合理的
②自前の医療保障ポートフォリオを構築することが肝要
大きく上記の2点だと思うのですが、実際に保険を売ってきた方なので、説得力がありますね。
①については、日本の公的保険は優れていて、たいがいのことはカバーできるというのです。(世界でも有数という我が国の公的保険制度がどこまでこの状態で存続するのかという問題はありますが)実際の負担は医療費の3割で、1ヶ月あたりの自己負担金が所定の限度額を超えた場合は、後日払い戻される「高額療養費制度」というのもある。これはもし医療費が単月で100万円かかっても自己負担は8万円足らずで済む場合もある(本人の所得によっても異なる)というものです。実際にかかる費用を民間保険でさえカバーしきれないのだから、その分貯金しておいた方がいいわよというわけです。保険会社の利益率はべらぼうに高いので、「貯蓄性の高い」と喧伝されるような保険に入るのは愚の骨頂だと。著者は掛け捨てのガン保険には入っているそうです。
②について、著者は「保険に入っとけば万事安心」というのが幻想だと指摘します。それよりも、
●貯蓄(自家保険)
●健康管理(予防医療)・・・信頼できる主治医、医療知識、健診
●人的ネットワーク・・・知人・友人・ご近所さん
●公的医療保障・・・健康保険、労災など
●勤務先の福利厚生・・・見舞金、差額ベッド補助
●民間医療保険
というような自分の医療ポートフォリオを作成することが大事で、そうすると自ずから民間の医療保険がその中のワンノブゼムに過ぎないことがわかってきます。考えてみれば、結構な額の健康保険料が毎月の給与と賞与から既に天引きされていますし、高額な医療保険に加入して、暴飲暴食煙草三昧では本末転倒です。いざとなって頼れるのは友人だったり、自分のコミュニケーション能力かもしれない。
著者は、「人は保険に入ると思考停止状態になる」と書いていますが、同じような話を以前訊いたことがあります。(リスクマネジメントセミナーに出た同僚の話なので、又聞きのため不確かなところがあるかもしれません)日産のゴーンさんが、ある時、カントリーリスクに関する保険を全部解約しろという指令を出したそうです。その代わりスタッフに「200億円を自由に使って良いから、備えとして必要なものを考えろ」と命じたそうです。結果的に、保険を全く使わないわけではありませんが、かなりの無駄が省けたそうです。ゴーンさんの意図はコストカットよりも、社員の「保険に入れば万事解決する」という幻想を戒め、リスク要因の棚卸しをしたうえで、知恵を絞ることの重要性を説いたのだと思います。これは、個人が人的リスクのマネジメントをする場合にも全く同様でしょう。
というわけで、私も保険の見直しを考えていますが、その前に自分の保険史というものを振り返ってみようと思います。これはまた長くなりそうなので、次回に送りバントします。
これまで入っていなかった者として、紹介されている本は興味あります。
私も勉強中なのですが、この本は、食品添加物の元営業マンが著者のベストセラー「食品の裏側」同様、ある種インサイダーの手によるものですが、冷静な視点で書かれているため、業界にとっては耳の痛い話の割には、あまり叩かれていないようです。