カーラー＆ボーンマス響=ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」他

　先日買ったCDを聴いた．I.カーラーのヴァイオリン，P.インキネン指揮+ボーンマス交響楽団による，ブラームス・ヴァイオリン協奏曲ほか．

　両ナンバーとも，遅めのテンポを採り，譜面を正確かつ細部まで念入りに再現した演奏．カーラーのヴァイオリンは，やや粗い瞬間もあるものの，力強く安定した技術とボウイングで，まるで一筆書きのような，迷いのなさである．インキネン率いるボーンマス響が，騒音を避けた整然のアンサンブルで，これに寄り添う．ただし，音楽の造形にしみじみ聴き入るあまり，横の流れが疎かになる場面も．また，ところどころで譜読みのミスが放置されているのは残念．録音は鮮明だが，音像全体が遠く，いくぶんぼんやりした感じ．


BRAHMS・SCHUMANN: Violin Concertos
Ilya Kaler (violin)，
Bournemouth Symphony Orchestra，
Naxos Rights International，8.570321