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野平一郎=ベートーヴェン「悲愴ソナタ」他

2017-01-09 | 音楽 - ベートーヴェン
 先日買ったCDを聴いた.野平一郎のピアノによる,ベートーヴェン・ピアノソナタ第4番&第8番「悲愴」ほか.

 両ナンバーとも,やや遅めのテンポで,正確かつシンプルに譜面を再現した模範的演奏.強弱やフレージング,リズム処理,楽譜の校訂の問題にいたるまで,作曲家らしい分析的な判断が光るのも野平ならでは.その方向性としては,ベートーヴェンの意図をとことん追究する原典主義というよりは,曲全体の整合性を優先する客観的な視線である.かといって(もしくはだからこそ),そこから出てくる音楽にストイックな感じはなく,横の流れを大切にしたレガートや自由な息遣いもある.残念なのは,弱奏部に,本当にごくたまにであるが,弾き損じのような打鍵が聴かれることである.録音は鮮明で,ホールの残響を美しく含んだ優秀なもの.
 なお,ブックレットに掲げられた岡村氏のエッセーは,無関係の世間話を延々綴っただけの,悪文の典型例.


ベートーヴェン: ピアノソナタ第4、8番「悲愴」
野平一郎 (ピアノ),
ナミ・レコード,WWCC-7387
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