デュトワ+サイトウキネン=ストラヴィンスキー「春の祭典」他

　夜，松本文化会館にて行なわれた，C.デュトワ指揮+サイトウ・キネン・オーケストラによる演奏会を聴いた．めあてのストラヴィンスキーは，やや遅めのテンポを採り，各セクションを十分に鳴らした，のびやかさと迫力の同居する演奏．デュトワ率いるサイトウキネンは，序盤でソロパートなどに僅かなミスが出たほかは，終始高い技術に安定し，かつ互いによく聴き合った丁寧なアンサンブルで，この曲の持ち味であるオーケストレーションの大きなうねりを，むやみな誇張としてでなく，あくまで率直に引き出していた．使用楽譜は，オーソドックスな1967年版と思われるが，「ロンド」で民謡テーマへの装飾音，および終曲のティンパニに打撃の追加あり．

　客席で開演を待ちながら気付いたことに，一切の場内放送を欠く非日本的(？)スタイル．来場者らの穏やかなお喋りと，ステージ上の音出し以外に，余計な騒音のないさっぱりした時間が心地よい．


セイジ・オザワ 松本フェスティバル　オーケストラ コンサート
【出演者】宮田まゆみ (笙)，シャルル・デュトワ (指揮)，サイトウ・キネン・オーケストラ
【日時】2022.8.26　19:00-
【場所】キッセイ文化ホール
【曲目】
■武満徹: セレモニアル ― An Autumn Ode ―
■ドビュッシー: 管弦楽のための《映像》
■ストラヴィンスキー: 春の祭典