先日買った本を読み終えた.窪薗晴夫・著『通じない日本語』.
歴史的にも複数の源流を持ち,たえず混血と分裂を続けてきた日本語という言語の多様さを,世代や地域の差によってどれほど「通じない」ものであるかという視点で語る.このごろ新出した若者ことばや発音・イントネーションの話題,外国語との比較など,その内容はキャッチーかつ豊富であるが,著者の関心はもっぱら単語一つ一つの分析へ向いており,文法あるいは言い回しといった,日本語の運用面への言及が少ないのは残念.とくに,この十年か二十年ほどで急速に起こっている日本語表現の「曖昧化」は,ことば自体の誤用というよりは,それを操る精神性の問題であり,このことはそろそろ一つの研究テーマとして,体系立てて点検・批評されるべき時機を迎えていると僕は感じるのだ.
窪薗晴夫: 通じない日本語 世代差・地域差からみる言葉の不思議
平凡社,2017,
ISBN978-4-582-85861-7
歴史的にも複数の源流を持ち,たえず混血と分裂を続けてきた日本語という言語の多様さを,世代や地域の差によってどれほど「通じない」ものであるかという視点で語る.このごろ新出した若者ことばや発音・イントネーションの話題,外国語との比較など,その内容はキャッチーかつ豊富であるが,著者の関心はもっぱら単語一つ一つの分析へ向いており,文法あるいは言い回しといった,日本語の運用面への言及が少ないのは残念.とくに,この十年か二十年ほどで急速に起こっている日本語表現の「曖昧化」は,ことば自体の誤用というよりは,それを操る精神性の問題であり,このことはそろそろ一つの研究テーマとして,体系立てて点検・批評されるべき時機を迎えていると僕は感じるのだ.
窪薗晴夫: 通じない日本語 世代差・地域差からみる言葉の不思議
平凡社,2017,
ISBN978-4-582-85861-7