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ケニチのブログ

ケニチが日々のことを綴っています

下野竜也+PAC管=伊福部昭「シンフォニア タプカーラ」他

2024-10-19 | 音楽 - 伊福部昭
 昼すぎ,兵庫県立芸術文化センターで行なわれた,下野竜也指揮+同センター管弦楽団の定期演奏会を聴いた.めあてのタプカーラは,整然としたアンサンブルが快適な演奏だが,打楽器群の騒音を徹底して避けた抑制的なサウンドで,伊福部の力強い作風に水を差したのが残念.曲中,アレグロは急ぎ足に駆け抜け,逆に緩徐部では,むやみに聴き入ってスローダウンしていくなど,どこか独り善がりの感じも.また,ところどころで出る作為的なアーティキュレーションは,取って付けたようで趣味が悪く,彼らはこの曲にあまり共感していないんじゃないか,と思わせる内容だった.

 近年,聴き手に若い世代を取り込むことを諦めたかに見えるクラシック界だが,今日の会場も,このユース・オーケストラにはおよそ似つかわしくない,老齢の客層である.


兵庫芸術文化センター管弦楽団 第154回定期演奏会
【出演者】マリオ・ブルネロ (チェロ),下野竜也 (指揮),兵庫芸術文化センター管弦楽団
【日時】2024.10.19 15:00-
【場所】兵庫県立芸術文化センター 大ホール
【曲目】
■ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
■ナレク・グレゴリオス: ハヴン・ハヴン (ソロアンコール)
■ショスタコーヴィチ: 弦楽四重奏のための2つの小品より エレジー
■伊福部昭: シンフォニア・タプカーラ

舘野泉&日本フィル=伊福部昭「協奏風交響曲」他

2024-10-16 | 音楽 - 伊福部昭
 先日買ったCDを聴いた.舘野泉のピアノ,大友直人指揮+日本フィルハーモニー交響楽団による,伊福部昭・協奏風交響曲ほか.

 ソロ,オーケストラともに,難曲を前に多少こなれない感じはあるが,整然かつ伊福部らしい力強さの演奏.初めて聴くこの曲,焼失を免れたパート譜から復元されたものの,作曲者が蘇演をいったん拒んだという.確かに,のちの「タプカーラ」などとモチーフが共通していて,今となっては独自性を保っていないし,何より,民族色の濃い楽想がためらいなく高まっていく様は,聴き手にどうしても戦時の狂気を連想させるのである.録音は鮮明で,各プレイヤーを間近から捉えているが,音像がいくぶん平面的で,奥行きに欠く.


伊福部 昭の芸術5
舘野泉 (ピアノ),
大友直人 (指揮),日本フィルハーモニー交響楽団,
King Record,KICC 179

井上道義+神奈川フィル=伊福部昭「日本狂詩曲」他

2024-07-20 | 音楽 - 伊福部昭
 昼すぎ,横浜みなとみらいホールで行なわれた,井上道義指揮+神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会を聴いた.めあての伊福部二題は,遅めのテンポを採り,大編成のオーケストラならではの迫力はもちろん,息の長いフレージングや,弱奏部でのニュアンスにも事欠かない,じっくりとした持ち味の演奏.神奈川フィルは,個々のプレイヤーの技術こそ安定しているものの,まったく親切でないミッキーの棒のもと,珍しいレパートリーへの不慣れもあって,アンサンブルとしては散漫さが目立った.「オスティナータ」での華音は,整然かつ生き生きとしたソロ.


神奈川フィルハーモニー管弦楽団 みなとみらいシリーズ定期演奏会 第397回
【出演者】松田華音 (ピアノ),井上道義 (指揮),神奈川フィルハーモニー管弦楽団
【日時】2024.7.20 14:00-
【場所】横浜みなとみらいホール 大ホール
【曲目】
■シャブリエ: 狂詩曲「スペイン」
■ドビュッシー: 夜想曲
■伊福部昭: ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ
■ 〃 : 日本狂詩曲

井上道義+新日本フィル=伊福部昭「シンフォニア タプカーラ」他

2024-05-05 | 音楽 - 伊福部昭
 夜,東京国際フォーラムで行なわれた,井上道義指揮+新日本フィルハーモニー交響楽団による演奏会をAと聴いた.両ナンバーとも,整然かつ伊福部ならではの力強さと,息の長い旋律の魅力を十分に持ち合わせた演奏.新日本フィルは,ブラスセクションに大小のミスは出るが,まったく親切でないミッキーの指揮のもと,主体的に音楽を進めていく活気のアンサンブル.また,広すぎる会場に向かって,むやみに力んだりせず,強弱やニュアンスの変化で,たえず聴き手を引き付けていたのは良かった.


ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024 - 315
【出演者】山根一仁 (ヴァイオリン),井上道義 (指揮),新日本フィルハーモニー交響楽団
【日時】2024.5.5 21:00-
【場所】東京国際フォーラム ホールA
【曲目】
■伊福部昭: ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲
■ 〃 : シンフォニア・タプカーラ

ウォン+日本フィル=外山雄三「まつら」他

2023-12-09 | 音楽 - 伊福部昭
 昼すぎ,サントリーホールで行なわれた,K.ウォン指揮+日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会をSと聴いた.全プログラムとも,遅めのテンポを採り,細部のニュアンスやパート間のバランスに傾注する,じっくりとした演奏で,カーチュン率いる日フィルは技術的に充実.また,金管・打楽器群の迫力あるシーンも多いこれらのナンバーを,美しいまでの整然さのなかに聴かせていたのが,印象に残る.


日本フィルハーモニー交響楽団 第756回 東京定期演奏会
【出演者】池上英樹 (マリンバ),カーチュン・ウォン (指揮),日本フィルハーモニー交響楽団
【日時】2023.12.9 14:00-
【場所】サントリーホール
【曲目】
■外山雄三: 交響詩《まつら》
■伊福部昭: オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》
■ハーライン: 星に願いを (ソロアンコール)
■ショスタコーヴィチ: 交響曲第5番 ニ短調 op.47