YouTubeを見ていると、大学受験に関しての塾講師のものを始め、様々なものがある。最近は塾も教えるだけでなく、参考書をその生徒に選びながら、直接指導するのではなく、勉強方法を指導することを主眼に置いたものもあるようです。しかし私の住んでるような地方ではまだそんなシステムの塾は少ないようです。
コロナによる影響からリモートやオンラインの授業形態が工夫される中で、教室で黒板で、講師が独自のテキストを使っての授業という、これまでの予備校スタイルの形態から変化の兆しが伺えます。
塾等の指導方法や情報に関しては、なるほどと思われるものも少なくなく、いまの生徒にはマッチしていると思われることが多く感じます。しかし、実際の塾の現場では語られているとは思いますが、受験勉強の向こうにある大学での勉強学問への言及は少ないように感じます。また、その大学の有名な先生とかの情報も少なく、入試の難易度(偏差値)による進路指導が中心で、長年、進路指導や数学教育に携わってきた者からするといささか寂しい気がする。もっとも、いまの高校の進路指導や数学教育も同じような状況であることも、いろいろな現場からの声を聞くたびに、残念な気もする。
受験に関する教科でも、参考書では、予備校の先生が書いた本などがほとんどで、私の受験生の頃のような本格的な参考書はほとんど紹介されない。今はそういう本がないとも言える。しかし、大学に入ってから受験のような参考書もない中で、大丈夫かなと思ってしまう自分がいる。また、参考書自体のスタイルや書き方も変わってきているように思われます。それはひいては勉強の仕方も変わってきているのかもしれない。
少し前に読んだ本で、買ってからはパラパラめくっていたのですが、ちょっとゆっくり読んでみようかなと思った本があります。
勝手に想像するに、この本の内容は、教育学部の学生向きの講義ノートがベースになっている気がします。系統的になっているし、ゆっくり丁寧に読んでいくと著者の教育的配慮が感じられるし、現場の高校の数学の先生も読んでみると、なるほどと意識を新たの意するところ大と思います。
例えば、微分のところで、dy/dx=f’(x)をdy=f’(x)dxと書き、dx軸、dy軸で傾きf'(x)の直線を表すという記述は、私が学生時代に微積の教科書として当時の京大ではよく使われていた笠原著「微分積分学」(サイエンス社)の記述そのもので、なるほどと思いました。また、高校の数学では曖昧な指数の拡張の記述は高校の数学の教師も気になるところで、それを意識された内容になっているのもありがたいです。もう少しと思うところもありますが。また、正七角形がコンパスと定規で作図できない証明なども新鮮に感じました。いくつかのテーマがこの本では語られていますが、読者の数学的な知識に応じて読み応えのある本だと思います。その意味でも特に高校の数学の先生にとってはいろいろな読み方ができる本だと思います。そういう意味での本としては、珍しいのではないかと感じました。気がついたら、最後まで丁寧に読んでいる自分がいました。もう少し厳密にとか、もう少しと思うところは読者が自ら勉強し直す材料を提供してもらってると考えれば、さらにこの本の価値が増すと思います。著者の見識の高さと教育的な配慮を感じた本でもあります。