数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

桜満開

2023-03-31 09:25:18 | 日記
 久しぶりの投稿となりましたが,教え子の東大入試の結果は残念な結果になり,私学の方へ進むことになりました.点数的にもかなり惜しいものだったと思います.

 長く進学指導に携わって来て,最後の教え子が,第1志望に合格できなかったことに対して,自分の至らなさを痛感しています.結果論として,いろいろ反省はありますが,合格がすべてではなく,入学してからの生き方そのものが,その後の人生を左右するので,第1志望ではない大学であっても,そこで,如何に勉強するかを次に考えて,精進して欲しいと思っています.
 
 書斎のホワイトボードには,生徒に示した命題の証明が今も消さずに残っています.中国剰余定理を使って,オイラー関数の性質を証明するものです.高校生には少し無理ですが,順を追って説明することで得られるものも大きいと思います.

 整数の分野は高校1年生の範囲ですが,証明等を考えると高3になって再度復習する中で,いろいろ学べるところが多くなると思われます.

 それに引き換え,データの分析は同じ高校1年生で学びますが,数学とは思えなく,情報の教科書に移行すべきと思います.いつまで数学の教科書に載っているのか.次回の改定ではなくなることを期待したいものです.そのかわり,行列の復活に期待したいものです.

 明日から新年度になり,人事異動等も行われますが,最近は知った人の名前も少なくなり,全く他人事(ひとごと)のように感じるようになって来ました.

 とはいえ,風の便りに,教え子たちの活躍を耳にすることもあり,ほっとするのもこの頃です.博士号の学位をとった話など,その後の努力を想像することで,ある種,教師としての喜びを静かに感じています.

 また,静かに書斎で本を読む機会も増えて,いろいろなテーマについて違った見方の本を読むことで,新鮮な気持ちになることも多くなりました.

 東京裁判についての本を以前にも読んだことがありますが,この本は,客観的な論評を読む気持ちで読めた気分になり,納得できる気持ちになりました.特に,文官として一人絞首刑になった,広田弘毅については,これまでもある種英雄的な筆致の本しか読んでいなくて,少し冷静な目で見ることができるようになったことが挙げられます.また,多くの政治家等の言質も偏った見方からこの裁判を見るというか,そういう見方の本からの知識を根拠にしていることも,伺い知れる点で面白く読めました.これを読んだあと,城山三郎の「落日燃ゆ」を読んでいますが,少し冷静に読めるのもこの本のおかげであると思っています.


結果待ち

2023-03-02 09:11:04 | 日記
 昨日は,多くの高校でも卒業式が行われ,それを伝えるSNSなどを見ると,以前とは違った雰囲気に,かつて勤務していた高校のその様子に少し驚きました.
 当時も制服はなく,その為,男子は大学への入学式と兼ねて,スーツ姿が殆どでした.それは今も変わらない様子でしたが,あれから15年もたち,最期に担任した生徒達もすでに30歳を越えました.
 女子の卒業式の服装は当時は,9割以上が袴姿でした.その後,袴はお金がかかるという理由で,おそらく禁止になったのでしょう.当時は民族衣装で参加した生徒もいたり,おじいさんの紋付き袴姿で出席した生徒もいたり,それは華やかな時代でもありました.
 そんな卒業式も,進学先も決まっていない,国公立志望の受験生がたくさんいる高校では,発表待ちの中での息抜きの1日というのが卒業式でした.
 一方で,前期試験が終わってから,後期試験が迫ってくる中で,合否の発表に対する不安で落ち着かなく,なかなか後期対策の勉強がはかどらないのが,ほとんどの受験生でした.
 この2年ほど,私の教えていた受験生も,早稲田には合格して,後は東大の発表を待つばかりの状況です.
 早稲田の数学では,直前にも勉強した問題の類題が出題され,確実に解けて数学で合格点が確保できたようです.もっとも,英語が難化して,不安に思っていたようですが,難化した科目は,それで配点が下がったようなものだからその影響は,合否には少ないのではとアドバイスしました.
 もっとも,理科などでは選択科目,たとえば,物理と生物で科目間の難易度が得点差に表れる場合に,その大学がどう対応するかは,多くの大学では前もって明示されていないのが現状です.そこが共通テストとは大きく違うところの一つです.また,受験後もそのことが発表されることはありません.
 高校で受験生に指導する際も,なかなか難しいところですが,受験生に送付される受験結果などから推測することができます.
 例えば,京大では各科目の得点が知らされるので,出来具合からも,得点修正が行われていないことがわかります.一方,名古屋大学では,各科目の得点は公開されなく,総合点のみですが,過去に医学部医学科に合格した生徒は,物理が全くできなくて,不合格を覚悟していたものの,合格でしたが,総合点を見て,物理に得点修正が加えられていないと考えられない得点だったようです.
 このように結果的には合否に大きく左右する選択科目間の難易度の問題はあまり表ざって,議論がありませんが,現実には直接合否に直結する問題でもあり,もっとクローズアップされてもいいかと考えます.私学の医学部等では得点調整を行っているところも知ってはいますが,今後も引き続いていく問題でしょうね.まあ,京大などは前年易しかったも科目が翌年は難しくなったりと,ある意味わかりやすいのですが,名古屋大学や東大はどうなんでしょうかね.
 大学入試に関して,他にもいろいろ分からないというか,極秘なことも多いのですが,私の経験からもいろいろ考えられます.例えば,
①入試問題の出題者の選定や作問の時期
②入試問題の作成者や入試委員の選定に関して,自分の子供との関係.例えば,第3親等までを関係者も持つ場合は,その任務から外すとか.
③記述式の採点をどう行うか.何人で採点するか.
④採点者は受験生の学部または学科等をどう配分して採点するか.これらは採点のブレを抑えるためと,合否に影響が少なくするための工夫ですが.
 さて,私の受験生も実際の東大を受験して,それを報告してくれましたが,文系の数学は易しかったものの,理系の数学は難しくなったとまわりの受験生の声でした.理科の物理や生物も難化したようで,意外と国語,英語で得点差がつくような今年の東大の理系の入試問題でした.
 数学に関しては,確率はどの大学も文理共通になる傾向があるかもしれません.整数に関しては,整数だけでなく,多項式と関連して来ると今後も考えられます.互除法やGCDも多項式での話でもあり,高校の教員もそのことは意識したいです.計算機代数では,多項式の話から互除法やGCDの話も展開されますので.以下の本は,高校生に教えるときに教える側が予備知識として持っていたい内容が多く含まれていて,読みやすいのが特徴です.