数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

大正デモクラシー

2022-06-02 18:25:09 | 日記
 アインシュタインが来日して、今年で100年になるというので、当時の模様を紹介した本を以前紹介しましたが、100年前といえば、1922年で大正11年のことです。1970年代を高校、大学で過ごした私の世代と違う世代の人では、その時代へのイメージや精神的な距離感も違うと思います。今の高校生大学生の50年前は私の高校大学時代に相当し、今の若者は私の高校大学時代をどう思うか。同じ時間軸では計れないものを感じてしまう自分ですが、どうでしょうか。

 私の高校大学時代から見た大正時代は、今から50年前の私の高校大学時代より、はるかかなたのように感じます。もちろん、大正時代は私はまだこの世に生を受けていないので、そう感じるかもしれませんが、文化的な格差や政治的な格差もその後の50年とは明らかに違うように感じます。

 失われた30年と言われて、今から30年前にバブルが弾けて、その後の低成長時代の日本のGDPも伸び悩み、アメリカはGDPも2倍になる状況で、防衛費1%とでも30年前の2倍になるが、日本は1%では30年前と変わらないので、2%にするという話も出ている。

 今回のロシアとウクライナの戦争ともいうべき状況に対して、高校大学生はどう感じるのか。50年前の我々の頃にはベトナム戦争があり、沖縄返還があり、赤軍派の事件もあり、それに遡って学生運動もあった。学生運動の収束点として赤軍派の事件や浅間山荘事件を捉えることには、当事者意識として違和感を覚えますが、今だから、そんな時代を振り返ってみることも大事かなと思います。

 アインシュタインが来日した時の日本は、まさに大正ロマンの時代とも言える中で、受験生時代に勉強した日本の近代史の知識を確認しながら、最近読んだのが、
です。文庫本といえども、500ページを越えるもので、読み応えのある本です。政治史に偏らず、文化史的視点も多くあり、大正ロマンを理解する上では助かる本です。元々は、1970年代に書かれた本でしたが、文庫本に変えての出版であるので、書かれた当時の時代は、私の高校大学時代であり、その当時の自分の目線も意識しながら読んで行きました。毎日少しずつ読み進めるうちに、この本を読むのが日課のようになり、気がつけば常に手元に置いているという状況でした。スペイン風邪が流行したのもこの時期で、日露戦争後から大正末期までの日本の歴史を振り返ると、今の日本と類似する状況を感じてしまうこともあります。歴史を学ぶ意義は、現状をどう認識して、未来をどう見据えるか、そんなことを意識しながら読むとまた面白さも感じられます。そう感じた、本でした。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。