学校の社会科(地理)では「正しい(距離と)方位を知るための地図」として正距方位図法の世界地図が紹介されます。教科書や地図帳などで実際に目にするのは、マップ010のような“東京中心に描かれた”ものですね。
マップ010
でもって、東京からみるとホノルルやブエノスアイレスがほぼ真東にある・・・というようなことが試験でよく問われるわけ(と言うよりは、試験対策としてよく取り上げられると言うべき?)ですね。
なぜよく問われるかというと、だいたい日本人は小さいころからメルカトル図法の地図(日本付近の経線を基準に投影したもの)に描かれた情報にもとづいて世界観をつくり上げられがちで、そうすると“日本の真東はアメリカ合衆国”というようなイメージを持ってしまう(勘違いしてしまう)・・・ということが背景にあると考えられます。このメルカトル図法の地図については、またいずれ取り上げてみたいと思います。
では、今回とりあげる「勘違い」は何かと言うと・・・
正距方位図法の地図というのは、“投影の基準点(図の中心)からの距離と方位が正しく表わされる”という性質をもつことは、教科書などでも記載されているし、また学校の授業でも担当の先生はそう説明するのでしょうけど、
たとえばマップ010のように東京中心に投影されたものは、あくまで“東京にある投影の基準点からの”距離と方位が正しく表されるにすぎないのであって、東京以外の場所からの距離や方位については説明力を持たない・・・ということが認識されにくくなっている気がします。
回りくどい言い方をしましたが、端的に言うとマップ010によって「日本から見た方位や距離」が表されていると受け取っている人が多い、ということです。
これについては・・・かつて大学受験予備校で地理の講師をした経験がありますが、ある模試の問題がこの誤解に起因して正解できなかった受講生がとても多く、解説に苦心した思い出があります。また、一部の参考書などでも、たとえばアメリカやアルゼンチンの方位をこの地図にもとづいて説明するのに「日本から見た~」と表記してしまっているのを目にしたこともあります。
「日本から~」の表現が100%の誤りであると言えるかは難しいところですが、日本は国土が細長いですから、両端で比べると、このような世界各地との間の方位関係もずいぶん変わることは事実です。
マップ011 : 札幌を中心に投影
マップ012 : 那覇を中心に投影
那覇から見ると、ブエノスアイレスはオーストラリアのシドニーとほぼ同じ方向になります。
教科書には複数の地図を載せる紙面の余裕は無いでしょうし、“東京中心”で代表させるのには合理性があるわけですけど・・・
いずれ続きを書きます。
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