地理バカ日誌 ☆*:. 地図の園 .:*☆

地理ネタ、地図ネタなど、いろいろ気ままに書いています。

             by まつおか秘密研究所

福岡の平成25年地価公示について

2013-03-29 23:06:03 | 社会・経済

今回も地価公示ネタです。

実は、もともと福岡市内の地価動向を確認する目的で、地価公示データを分析・地図化していました。その分析というのは、今年の地価公示データだけでなく基準地価のデータもあわせてバブル崩壊以降の動向を扱っているのですが・・・・ここでは概略紹介として地図を1つ(今年の分のみ)掲載しておきます。

福岡市内において地価上昇率がとくに高かったのは、①博多駅周辺と②早良区の西新周辺。
①の博多駅エリアは、九州新幹線開業の影響が持続していることや、JR博多シティなど商業施設が好調であることを反映したものと推測されます。一方②の西新周辺については、住宅地としての人気の高さからマンション開発などが活発であることを反映したものと推測されます。

下のマップには、これまで同様の地価公示価格の変動とともに、2010年・2011年に開発された分譲マンションの立地点を描いています。

  マップ005
  Chika12_13fukuoka_s

福岡市では、従来から中央区の大濠公園周辺や、薬院、平尾など西鉄大牟田線沿線の居住地としての人気が高く、分譲マンションが多数開発されてきました。バブル崩壊までの地価高騰期にはマンション立地が郊外へ拡大しましたが、1990年代後半からは地価下落の結果として再び中央区でのマンション開発が活発化して、いわゆる「人口の都心回帰」をもたらしました。

しかし、中央区ではマンション開発適地が得られにくくなっており、人気が高い一方で開発用地を比較的得やすく投資効果が高い西新周辺へも開発の波が及んでいるようです。(西新周辺は中央区に比して地価が低いため、開発の地価変動へのインパクトは相対的に大きくなる=地価上昇率が高くあらわれる、ということでしょう。)


昨日の続き

2013-03-28 23:59:09 | 社会・経済

引き続き、『平成25年地価公示』ネタで・・・

今回は、前回、大阪市の都心をのぞく低地部では地価下落傾向が続いている旨を述べたことと関連して。
前々回にも少し触れましたが、今年の地価公示の結果として全国で最も下落率の高かった高知県において、その地価の評価に地震の際の津波リスクが組み込まれているためとの見方があります。
当然ながら、津波のリスクは大阪にもあり、特に標高の低い低地部ではそのリスクがより高くなるということで・・・

  マップ004
  Chika12_13osaka_elev_s

標高の情報と重ね合わせた地図です。
※ 標高値は国土地理院の基盤地図情報・数値標高モデル(10mメッシュ)に基づいています。

標高5m未満のところを濃い緑(マラカイト・グリーン)で強調表示しました。もちろんこれが直接的に津波リスクの大小関係を表すものではないですが・・・一住民としては、いろいろ考えさせられます。


大阪の平成25年地価公示は・・・

2013-03-27 14:24:01 | 社会・経済

前回ネタの続きです。
※ 前回の地図の凡例に誤りがありましたので、訂正しました。

今回は、私が住んでいる大阪都市圏の地価変動についてです。
全国マップで見たときは、地価上昇があまり目立った感じではなかったですが、もちろん上昇地点はたくさんあります。
そして、上昇地点、下落地点の分布をよく見ると、大阪の都市構造がよくあらわれていると思わされます。

  マップ003
  Chika12_13osaka_s

この地図のスケールでは正確に確認できないでしょうけど、まず大阪市内で地価上昇しているのは梅田周辺です。まもなく「グランフロント大阪」が開業しますが、他にも開発が続いているエリアですね。
その一方で、旧来のビジネス中心である御堂筋沿い(船場)は地価下落が続いています。かつては企業にとってここにオフィスを構えることがステイタスと見なされていましたが、近ごろは企業オフィスが梅田の方へ移転して、空室率が高いビルが増えてきたり、あるいは採算が合わなくなったビルが取り壊されて空地になったりしていますから・・・先日、ビル高度の規制緩和の方針が発表されましたが、今後再活性化の方向へ向かうでしょうか。
御堂筋の西、堀江や西長堀のあたりはマンション開発が活発でもあり、地価上昇となってますね。

それから、大坂城のあるあたりから南へ向かって列状に地価上昇地点が分布することも見逃せません。ここは上町台地にあたります。低平な大坂平野にあっては比較的高燥の地で、従来から居住地としての人気も高く、富裕層の比率が高いエリアでもあります。

大阪の都市圏で富裕層の居住比率が高いエリアは、上に挙げた他は北の方、千里丘陵から神戸にかけてに偏っていますが、そうしたエリアでも地価は下げ止まり、あるいは上昇となっていますね。

それに対して、低地部は(私はこっちのエリアの住民ですが)、もともと工業地域であり工場労働者などの居住比率が高い地域ですが、製造業不況から失業率が上昇するなど経済的衰退の傾向が強く、新たな開発の投資が入りにくい状況となっており、ほとんどの地点で地価下落が続いています。


『平成25年地価公示』が発表されて

2013-03-26 00:54:12 | 社会・経済

いきなりですが、ブログ始めました。
前々から新規に始めようとは思っていたのですが、仕事に関連して下の地図を作ったので、今日から。
開設の趣旨などは、おいおい気の向くままに書いて行きたいと思います。

で、今日のテーマは何かというと・・・
先週、平成25年分の地価公示価格が発表されましたけど、国土数値情報のデータも同時に提供開始されていましたので、それを統計地図に。

  マップ001
  Chika12_13japan_s

今年調査の標準地(調査地点)のうち、去年も調査対象となっていた地点(24865点)を抽出し、去年の公示価格との間の変化率を求め、地価上昇地点を赤系の色、下落地点を青系の色、変動なしの地点を黄色で表しています。
調査地点の密度が高い地域は、地図上で点が重なってしまう・・・どの色(変化率)の点が上に描かれるのかで図の印象が変わってしまうのが難点です。

パッと見て、東京周辺と名古屋周辺で黄色・赤系の点が集まっているのが目立ちますね。
リーマンショック以降、全国的に地価下落傾向でしたので、地価上昇に転じること(赤系)はもちろん、下げ止まり(黄色)になることも大きな変化と見ることができます。

それから、この地図ではかなり見づらいかとは思いますが、東北地方の太平洋岸は震災の影響による下落の反動、復興の進展を反映してか、上昇地点が多くなっています。東北地方でも青森や秋田、岩手の内陸の下落率の大きさ(濃い青の点が多い)とは対照的となりました。

北関東の下落率の大きさ―南関東とのコントラストも目立ちます。

四国地方も、下落率が大きい地点が目立ちます。とくに高知は平均の下落率が全国で最大だったとか。愛媛に比べると、香川や徳島も濃い青の点が多いです。

次は、三大都市圏を含む地域をちょっと拡大表示した地図。

  マップ002
  Chika12_13toukai_s

東京圏は東京都よりも神奈川県の方が地価上昇傾向が目につきます。名古屋圏で上昇率が高いのは、刈谷市、知立市、安城市のあたりですね。一方、大阪圏は、東京や名古屋に比べると上昇の勢いはちょっと弱い感じでしょうか。

なお、今年の地価公示の発表にともなう新聞記事などを見ていると、「アベノミクス効果で・・」などとしているものが多いようですけど、この地価公示は1月1日時点で調査していますし、さらには実際に調査するのはその1~2カ月前であるはずですので、安倍政権との関係がどれくらいあるのかについては慎重に見るべきだと思います。

次回以降、いくつか地域別に見てみたいと思います。