地理バカ日誌 ☆*:. 地図の園 .:*☆

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             by まつおか秘密研究所

江戸時代の日本の人口変動

2013-08-31 10:02:30 | 学問

 3か月も間をあけてしまいました。前回記事の直後にパソコンが壊れてしまいまして、それは2週間ほどで修理できたのですが、地図作りに使っていたシステム(なによりデータ・セット)の復旧に時間がかかっていたものですから・・・・まだ完全復旧ではないのですけど。

 今日は歴史的なネタ、江戸時代の日本の人口についてです。
 上記のシステムに頼らずに描ける地図なのですが・・・・

  マップ014
 Map014
図 江戸時代後期(1721~1846年)における国別人口の変化

 この地図は、速水融著(2001)『歴史人口学で見た日本』文春新書(文芸春秋)の63頁の図を改変(階級区分を再編成してカラー化)したものです。

 私はもともと歴史は専門外なのですが、近現代のことを話すために江戸時代くらいまでさかのぼって簡単な説明を加えるようなことはありました。その際に人口については、「(江戸時代は)その前半は政情が安定化して経済が発展したことから人口が急増し、後半は3000万人前後で安定的に推移した」というように、全国で同じような傾向をたどったかのように大雑把な説明しかしてきませんでした。私が参考にしてきた文献を含め多くの文献が地域的差異まで扱っていなかったということに起因するのですが・・・しかしやはり、それでは物足りないなぁ、ということで歴史人口学分野の文献をいくつかあたるうち、速水氏の研究成果を見つけたというしだいです。

 このように国別の地図にしてみると、ずいぶん地域的な差異があったことが解ります。
 全体的には西日本の人口増加が大きいわけですが、同時に関東(江戸周辺)と近畿(京・大阪周辺)では人口減少になっています。江戸時代はこれらの都市が成立・発展した時期でもありますが、周辺から労働力を集めては疫病や劣悪な労働環境下で淘汰してしまう・・・そういう作用を持っていたと考えられるということです。