地理バカ日誌 ☆*:. 地図の園 .:*☆

地理ネタ、地図ネタなど、いろいろ気ままに書いています。

             by まつおか秘密研究所

続々・センター試験「地理A」やってみた・・・

2015-12-12 19:23:36 | うんちく・小ネタ
 今日は、2015年・大学入試センター試験(本試験)の「地理A」の第3問、東アジアに関する問いを。

  

 問1.図1と図2のア~エについて述べたものとして適当でないものは?

  

 素直に考えると、④ですかね。
 ここで出てくる「大河」とは長江のことでしょうけど、その「下流域」の長江デルタ(三角州)は堆積地形ですので、「侵食平野」に該当しません。

 ほかの①の「大山脈」はヒマラヤ山脈。これはユーラシアプレートにインドのプレートが衝突して形成されたものですので、適正。
 ②の「中国最大の高原」はチベット高原。世界最大でもあります。
 ③の「大河」は長江で「盆地」は四川盆地ですね。


 問2.下の図3の4つの雨温図が、ウランバートル、北京、ソウル、東京のいずれのものかを判別する問題(実際はソウルのものだけ判れば良い)。

  

 これも素直に考えて、まずとくに冬の気温に注目して、一番低下するのは①、これは最も緯度が高いウランバートルのものと考えるのが順当。内陸にあり大陸性気候、乾燥気候で降水量が少ない。
 ②と③は冬の気温が同程度だけれど、降水量は③が特に少ない。これは大陸内に位置する北京でしょう。
 残った②と④は? 冬の気温から④が東京だと見当はつくでしょうが、もうちょっと根拠が欲しいかな・・・降水量を見ると、②は7月と8月がとびぬけて多いですね。これは梅雨や台風の影響ですが、日本(東京)における梅雨の影響はやはり6月が一番大きい。それに対し、韓国の梅雨は日本から梅雨前線が北上してから、つまり7月以降にずれるわけです。また台風の影響は、進路が小笠原気団の周囲を通ることが多いため、日本列島が小笠原気団に覆われる8月ころに韓国では台風がやってくる頻度が高くなります。ということで、やはり②がソウル。


 問3.図1のA~Dの地域でみられる主要な農牧業についての説明、不適当なのは③かな。

 C地域は華北平原にあたりますが、ここは冬小麦が中心。あとはトウモロコシでしょう。コメは、全く作ってないってことはないでしょうが、「多く生産される」にはあたらない。


 問4.図1のK~Mの(少数民族)自治区、つまり順にシンチャンウイグル自治区、チベット自治区、コワンシーチョワン族自治区の説明として、カ~クのどれがあてはまるかという問題。

 「カ」は、「中国の少数民族の中では最も人口が多く」という部分だけでコワンシーチョワン族と思いましたが・・・なんでだろう? なんでそんな情報が記憶にあったのか・・・
 「キ」は、「独自の発展を遂げた仏教」というのがチベット仏教のことですね。「ヤク」の遊牧からも、これがチベットのことだとわかるでしょうか。
 「ク」の「アラビア文字をもとにした」というのはウイグル語のことですね。よってシンチャンウイグルのことだとわかる。知り合いのウイグル人は、漢語は少ししか話さなかったですが、奥さんがロシア系で、ロシア語の方が上手かったような・・・
 ということで、正解の組み合わせは⑥。


 問5.韓国、中国、日本の食事の様子についての問題。これは間違えちゃいけない問題ですね。しかし、また著作権の問題で写真が1枚見られないですが、どんな写真を使ったのか・・・

 正解は③。これ、解らないんじゃあ、大学入学はやめておいた方が良いよというレベル。


 問6.表1の①~④が韓国、中国、日本、ホンコンのいずれにあたるかを考える問題。

  

 たぶん、受験生の多くはこういう問題が苦手ですよね。大学生でもだけど。そもそも表(行列)を読めない人も多い。
 まず注目するのは2つの変数の最大値。
 「世界全体の輸出額に占める割合」は10.5(%)、これ、1国で世界の10分の1以上を占めているのだから、たいへんなものです。で、この値は中国のものですね。2014年だと12.3%になっています。最近は成長の鈍化が指摘されていますが、「世界の工場」とまで言われるようになりましたが、その意味を解っていれば容易にこれが中国だと見分けられるでしょう。
 「GDPに対する比」の最大値は174.0、つまり輸出額がGDPの1.7倍あるということ。こんなふうになるのは、中継貿易の寄与が大きいからです。中継貿易は輸入したものをそのまま輸出しますので、基本的に収入(GDPにつながるもの)はその手数料にあたる部分のみです。よって、中継貿易の性格をもつ輸出の輸出全体に占める割合が高くなると、こんなふうなことが生じます。選択肢のなかで中継貿易が盛んなのはホンコンですね。

 ということで、残る②と③が韓国と日本ということになりますが、「~輸出額に占める割合」の大きさから②が日本と見当はつきます。また日本は国内マーケットが大きいですから、GDP比は小さくなる傾向ですね。
 よって、正解は③。


 問7.図1中のP~Sの国土開発事業の説明で不適当なものを選ぶ問題。

 P、「西気東輸事業」なんていう言葉は、正直初めて聞きました。 習ってない、新しい事業ですし・・・パイプラインを建設してるというのは聞いたことありましたけど。 西域は天然ガスを産出しますから、それを東部の大消費地へ輸送する(あるいはさらに港から輸出する)というのは想像しやすいですね。

 Q、青海チベット鉄道のことですかね。 これも習った記憶はないですが、中国政府によるチベット支配強化の意図も見え隠れする感じですが、東部に比して遅れた西部の開発のためという文脈に乗せるのはわかりやすい。

 R、「南水北調事業」というのも私の世代では習ってないですが、耳にしたことはあるような・・・水が不足しがちな北部へ比較的豊かな南から巨大水路で引水するという趣旨ですね。「工業用の」なんて限定的に言うのが怪しい

 S、台湾の高鐵のことですね。「海外から多くの技術」というのは、とくに日本の新幹線(JR)がそれにあたります。車両は、メカ部分のことは解りませんが、シートなど内装は日本の新幹線そっくりでした。
 ということで、答えはRの③。
コメント
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