mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【夏より秋へ】その九

2014-05-26 16:49:31 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
下町の浪華役者のうはさなど人来てすればうぐひすの啼く


春の雨ばらの芽に降りニコライへ明神の鳩遊びにぞ来る


病ゆゑ身のおとろへて見る夢と白さの似たる木蓮の花


罌粟咲きぬさびしき白と火の色とならべてわれを悲しくぞする


百合の花青みて咲けばわが心ほのかに染みぬものの哀れに


わが子等の青芝走りたづねよる兎の目にも夏の匂ひぬ


わが皐月今年児のため縫ひおろす白き衣のここちよきかな


白き砂海にすべりて入る如き夜の遠方の山ほととぎす


いなづまの幾筋の火をはるかにも見下す山の夜のほととぎす


ほととぎす谷の青葉のくらきをば覗きてありぬ冷き岩に

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