この頃のわが衰へを美くしと見るすべ時にうち忘れつつ
水色とみどりと紅の三つの色ほのかに残る心なりけり
折ふしは他界を覗き折ふしは紅友染となれるたましひ
花かをり鼠ことこともの噛める春の夜明のなまめかしけれ
文書けながなが書けと促しぬうすくれなゐのわが桜草
やはらかきアカシヤの葉の思はるる小雨の日かな東京にして
金銀の虫の啼くごと音を立つるオペラ通りの秋の夜の靴
行く春の夜明に近き庭を吹く風は樺茶のつばさなるらん
紅鷺の三つ四つ立ちて水草の葉にしら雲のうつる夕ぐれ
皿に剥く林檎の色とアカシヤの若葉の色と似てかなしけれ
水色とみどりと紅の三つの色ほのかに残る心なりけり
折ふしは他界を覗き折ふしは紅友染となれるたましひ
花かをり鼠ことこともの噛める春の夜明のなまめかしけれ
文書けながなが書けと促しぬうすくれなゐのわが桜草
やはらかきアカシヤの葉の思はるる小雨の日かな東京にして
金銀の虫の啼くごと音を立つるオペラ通りの秋の夜の靴
行く春の夜明に近き庭を吹く風は樺茶のつばさなるらん
紅鷺の三つ四つ立ちて水草の葉にしら雲のうつる夕ぐれ
皿に剥く林檎の色とアカシヤの若葉の色と似てかなしけれ