きれいになりますように

　採れたてのバジルが手に入ったので、夕食はジェノベーゼパスタに決定しました。
　枝からむしり取り、洗ってまな板の上に。
　包丁で細かく、細かくしていきます。
　その間、ずっと強い香りが漂います。
　息をするたびに、鼻と口の中が殺菌されていく気分です。
　部屋も浄化されるでしょう。
　食べれば、胃と腸がきれいになるはずです。
　身体の内と外、お守りください、バジル様。

隠れてはいない

　いつも通る細い路地に、小さなイタリアンの店があります。
　まだ新しくて、店の前に置かれた手書きのボードから察するに、こじんまりした隠れ家的なところのようです。
　先日、やっと入る機会ができました。
　ドアを開けると。
　思っていたより、かなり奥行きがあります。しかも天井が高く開放的。席数も想像していたより多く、お客さんもわりといて、隠れ家的な雰囲気はみじんも感じられません。
　素敵な雰囲気ですが、落胆と混乱と期待が少々。

もう耐えられない

　我慢の限界です。
　包丁が切れません。このままでは手を切ってしまいます。
　研ぐことにしました。
　砥石を、水を満たした桶に入れ、しばらく置きます。
　十分水を含んだら、包丁をあて、ゴシゴシ。
　砥石と包丁の角度が難しいので、馴れないうちは、一定に保つ金具を使っていました。
　いまでは金具を使わなくても、適度な角度をつけることができます。
　シュー
　シュー
　小気味いい音がします。
　シュー
　シュー
　旅人を食らおうとする山姥のイメージが浮かんで困ります。
　もうひとつ困るのは、使ったあとの砥石が、いつまでも乾かないことです。
　じっと我慢です。

おいしい食べ方

　豊作だったとかで、いつもよりたくさん袋に入ったオクラを見つけました。
　家に帰ってビニール袋を開けると、本数が多いだけでなく、どれも大きい。小さいキュウリくらいあります。
　本当にキュウリではないのか。
　
　「オクラって英語だって知ってた？」
　「そうなの！？」

　キュウリはキューカンバー。

　茹でで切って、鰹節とポン酢をかけて食べよう。
　キュウリではなくて、オクラを。

大家さんと雑誌

　書店で、『家主と地主』という雑誌を抱えた人を見かけました。
　ちらりと顔を拝見。
　大家さんなんだ。
　こんな雑誌があることを知りませんでした。この雑誌で、いろんなことを学ぼうとしているのだと思うと、大家さんの苦労を想像します。
　部屋は埋まるだろうか、店子はきちんと家賃を払ってくれるだろうか、事件は起きないだろうか。
　または、うちにベストセラー作家が誕生してはくれまいか。