失われていく大切なもの

　今日は少し遠いところまで買い物に行きます。
　歩きます。
　この時期は乾燥しているので、水分補給が大事です。
　体に水分が足りていないと、あれやこれや、いろんなことの不調につながります。
　途中のコンビニでお茶を買います。
　そんなに飲まないから、小さいサイズでいいかな。
　少量で美味しくて安いものを。
　一番小さく見えたペットボトルは、ずっしりと重い。
　なんと500ミリリットルもあります。
　最近のお茶は、小さいのに量が多い。
　部活帰りの高校生じゃないのだから、こんなに飲めないよ。
　買い物を済ませ、家に戻ってくると、お茶はあらかた飲んでしまいました。
　乾燥恐ろしや。

今年も流行の恐れ

　インフルエンザの予防接種を受けようと、夕方、近所の病院へ行きました。
　ところが、受付でワクチンがないと言われました。
　入荷も未定だと言います。
　しかたがない、ほかの病院を当たってみるか。
　帰ろうとすると「ちょっと待っていてください」
　受付の人に声をかけられ、待合室の椅子に座りました。
　しばらくして「先生が大丈夫ですって」と、看護師さんが問診票を持ってきました。
　診察室に入ると、
　「予約していた人が急にキャンセルしちゃってね」と先生。
　あ、なんかすごくいいタイミングで来たみたいです。

コスパの王様

　雨です。
　傘を開くと、かすかに中棒が曲がっていることに気づきました。
　この前の強風で、痛めつけられたためでしょう。
　曲がってはいるけれど、しっかりしています。
　何年も前に、1000円で買ったものです。
　なんとコスパがいいのでしょう。
　どこで買ったのだろう。
　覚えていないのが惜しい。
　雨をまったく弾かなくなっているので、ときどき撥水スプレーをかけてあげます。
　スプレー代が、本体価格をすでに上回っています。
　なんだか、このまま20年くらい使い続けそうな気がしてきました。
　お洒落な紳士な高級な傘を持ってみたい。
　そんな希望は叶わないのかもしれません。

今日はとても疲れているので

　デパートの紳士服売り場の隅で、肌年齢測定をしていました。
　そのすぐ横では、男性用化粧品を売っています。
　『疲れてみせない明るい肌』とか『オヤジとおじさんの違いは肌』とか、男のスキンケアのコマーシャルをよく見かけます。
　でも測定してもらってショックを受けるのは嫌だな。
　そう思う人が多いのか、誰も測定していません。
　「疲労度チェックをしますよ」
　声をかけられ、えっ？　疲労度？　それは知りたい。
　肌年齢測定の隣りに座り、両手を機械に触れ、90秒目を閉じます。
　疲労の総合判定は『良好』。
　なんだ疲れていないのか。
　自律神経機能年齢は。
　実年齢よりマイナス18歳です。
　驚きです。
　ストレスを軽減するチョコを食べているからでしょうか。

成績が悪いと生活が厳しい

　最終レースが終わった頃、JRA近くのバス停から、数人の男性がバスに乗ってきました。
　ぼくの隣りにおじいさんが座りました。
　おじいさんは、ショルダーバッグの中から束になった馬券を取り出しました。
　一枚一枚眺めています。
　それらをバッグにしまうと、今度は、細長く折った新聞を取り出しました。
　しばらく見ていましたが、新聞もバッグにしまいました。
　馬券が取り出されました。
　今度は、さっきより丁寧に一枚一枚見ています。
　きっと外れ馬券だと思います。
　でも、何かとても大事なことが書かれているかのようです。
　それとも、ああ、こんなにすってしまった。
　そう思っているのかもしれません。