見かけで判断

　メドゥーサの髪のような、蛇みたいに太いドレッドヘアの男性が、バスで二つ前の席に座りました。
　髪を塔のように高くまとめていますが、バランスが悪いのが気になるようで、時折首を振って髪の位置を直しています。
　しばらくして、その人がいるあたりから、ピコ、ピコと電子音が鳴るのに気づきました。
　ゲームでもしているのか。
　周りの人たちも、どこから聞こえるんだ？　と気にしているように見えます。
　どなたですか？　ゲームの音が漏れてますよ。
　誰かにそう言って欲しい。
　自分ではとても言えません。
　あの人かな、と思いながら正面のドレッド男性の方を見ていると、その人の隣りにゲームの画面が見えました。
　クイズのようなものらしく、正解すると赤丸とともに電子音が響きます。
　小学生くらいの男の子。
　ドレッドヘアだからといって、疑った自分を反省。

変わるもの変わらないこと

　今か今かと待ちわびているわけではありませんが、その日がくるのをずっと意識しています。
　消費税率引上げの10月1日。
　何を買っておけばいいのかと。
　気づいてしまいました。
　本の税率も変わることを。
　そのうち買おう、読もうと思っていた本を買う絶好の機会です。
　この際だから、3年分くらいをまとめて買おう。
　そしてしばらく本を買うのをやめよう。
　でも気づくのです。
　10月1日以降も、同じように面白そうな本は出てくるはずで、きっとぼくは同じように買わざるをえないのだと。

面白いのに眠くなる

　映画館に入ると、右隣りの女性がフー、フーと何かを膨らませていました。
　ネックピローでした。
　首の周りで固定し、座ったまま眠れるもの。
　深夜バスじゃないのだから。
　映画はSFですが、派手なシーンがほとんどなく、地味に静かに進行していきます。
　父と子の話になってくると、寝息が聞こえてきました。
　左隣りのサラリーマンです。
　仕事帰りでお疲れ。
　ネックピローをあげたい。

新しいことにチャレンジ

　秋から始まるカルチャーセンターの新規講座。
　興味を引かれるものがあって、何度かホームページを見て考えます。
　講座は、ちょうど夕食の時間帯。
　お腹が空きます。
　10回も続けられるでしょうか。
　そこそこの金額で、途中で嫌になってももったいない。
　そしてまたホームページを見ます。
　あっ、残席わずかだ。
　すぐに申し込みました。
　セールで「残り1点」の掛け声に手が伸びるのと同じ現象。

探しています見つけてください

　「猫ちゃんがいなくなって、迷い猫のチラシを作って配ったんです」
　下川さんが話していました。
　「誰かが可愛いって言って連れて行ってしまったのかしら」
　下川さん、猫飼っていたんだ。
　「犬の散歩について行く子で、近所では有名だったのよ」
　犬？　犬も飼っているのかな？
　「心配で眠れなくなってしまって」
　それは良くないですね。
　あとで、一緒に話していた山形さんに聞きました。
　「あれは下川さんの娘さんの家のことですよ」
　そうなんだ。
　それで眠れなくなってしまうなんて心配。