街の辻で百人殺して来い 殺人鬼転じて勝者となる【K's EYE】

　ハイチのベルリブ首相によると、
　今回の大地震の死者が２０万人以上確認されたそうですね…。

　これには、まだがれきの下に埋まっている死者などは含まれておらず、
　今後さらに多くの死者が確認されれば、
　２２万人以上の死者・行方不明者を出した、
　２００４年のスマトラ沖地震以上の被害になるかもしれませんね。。

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【今日のちょっといい話】

◇街の辻で百人殺して来い　殺人鬼転じて勝者となる

　釈尊が生存中、拘薩羅（コーサラ）国の、ある外道の弟子に、
　才知、弁舌、体力ともに優れたオークツマラという美青年がいた。

　彼の師の妻は、その魅力にひかれ、
　あろうことか夫の不在を計って切ない恋慕の情を訴え、密通を迫った。
　物堅い彼は、断固その誘惑を拒み、彼女の不倫をいさめる。

　さすが女の身の恥ずかしさ口惜しさに打ちしおれ、
　すごすごと彼女はその場を立ち去ったが、
　やがて狂わんばかりの愛恋は激しい憎悪となって、恐ろしい復讐を企む。

　たまたま夫の帰宅を見計らい、自ら着衣を引き裂き、
　下半身あらわな姿で床の上に打ち倒れたまま、
　不在中オークツマラに不倫の恋を強いられ、
　こんな辱めを受けたと涙ながらに訴える。

　愕然とした夫は、激しい嫉妬の念から、
　平凡な一時的な復讐よりも自滅に仕向け、
　永遠の苦痛をなめさせてやろうと考えた。

　そこでさりげなく彼を呼んで、こう命じる。
「おまえはもう、ワシのすべての教えを習得した。
　後はただ一つ、この剣で街の辻に立って百人を殺し、
　一人一人より一本の指を切り取って、首飾りとするがよい。
　さすれば、おまえの悟りの道は完備するであろう」
　と一口の剣を渡した。

　意外な残忍な行為を強いられ、一時躊躇（ちゅうちょ）したが、
　師命に背くは道にあらずと、彼は逆らうことができなかった。

　憤然と意を決した彼は街頭に立ち、
　阿修羅のごとく道行く老少男女を問わず殺害し、それらの指を切ってつなぎ、
　見る見るうちに紅に染まった鬘（かずら・首や身体の飾り）を作りあげ、
　ついに九十九人までになる。

　この噂はたちまち四方に伝わり、
　誰言うとなく彼をオークツマラ（指鬘・しまん）と呼んだ。

　そして彼は、狂気のごとくあと一人を狙っていた時、
　百人目に現れたのがなんと”生みの母”と”釈尊”であった。
　誰からともなく我が子の振る舞いを聞いて母は、驚いてやってきたのである。

　彼にはもう、だれかれの見さかいもなかったが、
　釈尊めがけて猛然と襲いかかった。

　ところがどうしたことか、一歩も前進できない。
　彼は焦って鋭く叫ぶ。
「沙門（しゃもん）よ、止まれ！」

　釈尊は、静かに応じられる。
「我は止まれり。止まらざるは汝なり」
　奇異な答えに、彼は大いに驚いてワケを尋ねる。

「そなたは邪教にだまされて、みだりに人命を奪おうと焦っている。
　だから少しも身も心も安らかになれぬのだ。

　私を見よ。
　生死を超えてなんら煩うところがない。
　惑える者よ。
　早く悪夢より覚めて無上道に入れ」

　釈尊の尊容と無上の威徳に接して、さしもの悪魔外道も慟哭し、
　たちまち敬虔（けいけん）な仏弟子となっている。

「わが弟子の中、法を聞いて早く悟ること、指鬘のように優れた者はなし」
　と釈尊は言われたという。


【編集後記】

　先週の新型インフルエンザによる学年・学級閉鎖は、
　前の週よりさらに３割減って、全国で１５９６施設だったそうですね。

　患者数も減少傾向のようですが、
　流行はまだ続いていますので、油断なく対策をしていきたいですね。