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Bad Boys,Good Coach

2009年05月10日 | 特集

現地5/9朝、チャック・デイリー氏が亡くなりました。
享年78歳でした。

チャック・デイリーを知らない方に簡単に説明すると、ピストンズのHCとして80年代後半のバッドボーイズ・ピストンズを創り上げ、1989年と90年に連覇を達成。
そして92年には、初めてNBA選手を派遣することになったバルセロナオリンピックで、初代ドリームチームを率いるHCに選ばれ、見事にオールスター軍団をまとめ上げました。

現在は引退し、ガンとの闘病を公表していました。
今回のプレーオフ中、各チームのHCが同じバッジを着けていたのにお気付きでしょうか?
「CD」という「Chuck Daly」のイニシャルをかたどったバッジを身につけ、チャック・デイリーへの敬意と病状回復への願いを表していたんですね。

真剣勝負の厳しいプレーオフの戦いの中で、どのチームのHCも全員が賛同して同じバッジを着けていた光景は、単なるバスケットという枠を超えた何かを感じさせてくれました。
しかし・・・・その願いも叶わず、デイリーは帰らぬ人となってしまいました。
膵臓ガンだったそうです。。


荒々しいプレイスタイルが売りのバッドボーイズでしたが、それを創り上げた当の本人であるデイリーは、選手の立場に立って物事を考える、いわゆる“Player's Coach”でした。
時には家族のように親身になって接し、選手から大いに慕われました。

問題児として名を馳せたあのデニス・ロッドマンですら、唯一絶大な信頼を寄せたHCでした。
ロッドマンはデイリーを“父親”と慕い、あまりに慕いすぎて、彼の電話番号をタトゥーで入れていたほどだったそうです(!)
まあ、それはどうかと思いますが(笑)、それだけ厚い信頼を寄せていた存在だったということがわかるエピソードです。

バッドボーイズ時代のメンバーは、強烈な個の集まりでした。
アイザイア・トーマス、ジョー・デュマース、デニス・ロッドマン、ビル・レインビア、リック・マホーン、ジョン・サリーなどなど、みな一癖も二癖もある個性派揃い。
ともすれば手に負えなくなっても不思議ではなかった面々が、デイリーの下では見事に1つのチームとして機能しました。
これもやはり、デイリーだからこそ選手も言うことを聞き、見事な団結力を発揮することができたんでしょう。

そしてこの、選手のエゴを抑え、チームとしてまとめ上げる力が、ドリームチームの成功にも繋がっていきます。
今となっては当たり前となったNBA選手によるUSA代表チームですが、当時は全く初めてとなる試みでした。
そうそうたる顔触れのオールスターが集まれば、各チームのエース級がひしめき合い、それぞれのエゴがぶつかり合います。
そんな場で個を没し、スター軍団を“チーム”とする未知の作業に、デイリーは最も適任だったのです。

中心メンバーだったラリー・バードはこう言います。
「チャックは我々を一つにまとめてくれた。誰が一番点を取るかではなく、金メダルを獲るという一点にチームを集中させてくれた。」

チャック・デイリーの愛弟子であり、現在GMとしてピストンズを率いるデュマースは、デイリーをこう評します。
「チャックは、バスケットボール以上に、人を理解していたんだと思う。これは人と人が織り成すビジネスだから。」

デイリー本人の言葉に、彼の想いが集約されます。
「NBAは、プレイヤーのためのリーグなんだ。」


ビデオビデオ


現在のNBAも、ただ自然と今の形になったわけではありません。
先人たちの功績や、先人たちが切り拓いた道があって、今があります。
流れを作ってくれた先人たちに感謝し、敬意を評することが大切ですね。



2連覇を達成したバッドボーイズ・ピストンズを創り上げました



左はデュマース、右はアイザイア



あのロッドマンも唯一、師と仰いだコーチでした



バルセロナオリンピックの
初代ドリームチームHCでもあります



最新のチームUSAともご対面



このプレーオフ、全てのHCがバッジを着用



偉大な人をまたひとり、失いました・・・・


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3 コメント

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CD (crz)
2009-05-10 12:37:39
チャック・デイリー
逝ってしまわれたのですね。
直接は見ていませんが、デトロイトを2連覇した手腕の凄さは本などで知っていました。
デトロイトの伝統的な固いディフェンスは、このデイリーコーチが始まりだったのではないでしょうか。
あのロドマンの人生を変えたコーチですから、彼によって人生が変わったプレイヤーは、デトロイトのプレイヤーのみならず数多いはず。

ご冥福をお祈りします。
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残念です… (メロブロン)
2009-05-10 23:52:08
個人的に、一番好きなHCだっただけに

非常に悲しいです。

ピストンズ、唯一のドリームチームのHCとしてだけでなく、

バスケットボール界全体に、多大な影響を与えた人だったと思います。

以前、ロドマンの自伝を読んで、C.デイリーが彼にとって、親のような存在だった事を知りました。


デイリーのちょっとした生い立ちも、読んだことがありますが、勤勉な方だったようですね。


実績以上に、彼を尊敬してます。


ご冥福をお祈りします。
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すばらしい人でした (アイザイア)
2009-05-11 22:06:12
 お久しぶりの投稿、失礼します。
 メロブロンさん同様、一番好きなHCでした。
 私の一番好きなプレーヤーがアイザイアなのは、デイリーがHCだったからかもしれません。
 個人的には、3ガード・システムが好きでしたね。
 アイザイア、デュマース、ビニー・ジョンソン、の3ガード、見ていてドキドキしました。
 誰がPGで誰がSGでSFなのか?
 
 ドリームチームでも、存在感際立ってましたね。
 アイザイアが、諸事情で漏れたのが残念でしたが。
 デイリーがHCで、楽しめました。
 あんなチーム、もう考えられないですもんね。
 一番好きなプレーヤーが、おそらくアイザイアから変わらないのと同じように、一番好きなHCはデイリーで変わらないと思います。
 ご冥福をお祈りします。
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