NBA INS 'N' OUTS

かんたん解説 NBAなんでもとーく

KG to LA??

2007年06月26日 | 移籍・トレード

ドラフト当日まで噂はどんどん出てきますと言ったばかりですが、早速とんでもなくデカイやつがやってきました。
前回KGとマリオンを絡めた三角トレードの話をしましたが、ここからさらにスケールを大きくした四角トレード話が出てきました。
これです。

<ウルブズ⇒レイカーズ>
 ケビン・ガーネット
 マルコ・ヤリッチ

<レイカーズ⇒ペイサーズ>
 ラマール・オドム
 クワミ・ブラウン
 アンドリュー・バイナム
 ドラフト19位指名権

<ペイサーズ⇒セルティックス>
 ジャーメイン・オニール

<セルティックス⇒ウルブズ>
 アル・ジェファーソン
 ジェラルド・グリーン
 セバスチャン・テルフェア
 セオ・ラトリフ
 ドラフト5位指名権

もしこれが実現すると、それぞれのチームのラインナップはこう変わります。

<レイカーズ>
PG:マルコ・ヤリッチ
SG:コービー・ブライアント
SF:ルーク・ウォルトン
PF:ケビン・ガーネット
 C:クリス・ミーム

ジャーメイン獲りに失敗したレイカーズは、コービーを納得させるために何か大きな補強をしなければなりません。
それがKGなら文句ナシといったところでしょう。
レイカーズも、KGならバイナムをあきらめる踏ん切りがつくかもしれません。

<ペイサーズ>
PG:ジャマール・ティンズリー
SG:マイク・ダンリービー
SF:ラマール・オドム/ダニー・グランジャー
PF:トロイ・マーフィー/アイク・ディオグ/クワミ・ブラウン
 C:アンドリュー・バイナム/ジェフ・フォスター

小粒ですが、選手層は厚くなりそうです。
大黒柱のジャーメインを失ったら、誰を中心にどういうチームを作るのかというチームのアイデンティティ作りが必要になってきそうです。
19位指名権ではガードを補強できるでしょう。

<セルティックス>
PG:デロンテ・ウェスト
SG:ポール・ピアース
SF:ウォーリー・ザービアック
PF:ジャーメイン・オニール
 C:ケンドリック・パーキンス

アル・ジェファーソンがいたPFが、ジャーメインに変わっただけです。
先日のマリオンのパターンと一緒ですが、こちらの方が戦力的に上でしょう。
少なくともプレーオフには出られるようになるでしょう。

<ウルブズ>
PG:ランディ・フォイ/セバスチャン・テルフェア
SG:リッキー・デイビス/ジェラルド・グリーン
SF:ジェフ・グリーン or コーリー・ブリューワー(ドラフト5位指名)
PF:アル・ジェファーソン
 C:ジョアキム・ノア or スペンサー・ホウズ(ドラフト7位指名)

KGが去り、リッキーDは今年が契約最終年。
世代交代は急速に進んで、ウルブズは若手の宝庫となるでしょう。
数年後に非常に強力なチームができる可能性は十分です。

ただし・・・・このトレードはまだ、あるチームが難色を示しているそうです。
それはKGを失うウルブズでもなく、ジャーメインを失うペイサーズでもありません。
じゃあ、やっぱりまたレイカーズがバイナムを手放したくないとか言ってるのか?
違います。
セルティックスがジェファーソンを出したくないと言っているそうです。

はぁ~??
一番ありえないトコきましたね。
他のチームがKGやらジャーメインやら、大黒柱を手放してもいいって言ってんのに、セルティックスが若手を出したくないとダダをこねてるんです。
しかも自分とこはジャーメインをいただいて、か?
ゼイタク、というかワガママですねぇ~
ま、こういうチームがいるからトレードっていうのは難しいんです。
全てが思い通りにいくとは限りません。

で、その解決策として浮上しているのが、先ほどの条件からジェファーソンを外して、レイカーズ⇒ペイサーズに行く予定だったクワミをウルブズへ送るという案です。
これでもトレード成立のためのサラリーバランスは取れる(不思議ですが)ので、成り立つことは成り立ちます。
しかし、KGを出すウルブズが、ジェファーソンさえ取れないというのは、到底納得できる条件だとは思えません。
セルティックスがイイ子にして素直に話を聞かないと、この壮大なトレード全体がポシャってしまうということになります。


さて、話は変わりまして、もう一つの噂はどうなっているのでしょう?
サンズがTOP10内のドラフト指名権を手に入れるのではないか?という噂と、マリオンのトレード話です。
もしセルティックスが上の四角トレード話を進めているとすると、サンズが狙っていたドラフト5位指名権はウルブズに取られてしまいます。
とすると、サンズは狙いを変えなければいけません。

今サンズが狙っているのは、3位のホークスの指名権か8位のボブキャッツの指名権ではないか?と言う話が出ています。
まずホークスと取り引きするとしたら、こういうパターンが考えられます。

<ホークス>             <サンズ>
 マービン・ウィリアムズ   ⇔    ショーン・マリオン
 ジョシュ・チルドレス          マーカス・バンクス
 ティロン・ルー
 ロレンゼン・ライト
 ドラフト3位指名権

これが成立すると、ラインナップはこうなります。

<サンズ>
PG:スティーブ・ナッシュ/リアンドロ・バルボサ/ティロン・ルー
SG:ラジャ・ベル/ジョシュ・チルドレス
SF:ボリス・ディオウ/マービン・ウィリアムズ
PF:ジョアキム・ノア or イ・ジャンリャン(ドラフト3位で指名)
 C:アマレ・スターダマイアー/ロレンゼン・ライト

マービンは2年前のドラフト2位指名、チルドレスは3年前のドラフト6位指名の若手です。
今年の3位指名と合わせれば、マリオン1人で3人のロッタリーピック選手が手に入ることになります。
これを将来への投資と考えれば悪くない取り引きですが、来季の優勝からはやはり遠のくことになります。

<ホークス>
PG:マーカス・バンクスエイシー・ロウ(ドラフト11位で指名)
SG:ジョー・ジョンソン
SF:ジョシュ・スミス
PF:ショーン・マリオン
 C:ザザ・パチューリア

ホークスは、そもそもSFが余っていましたので、マービンとチルドレスを放出することで、SF渋滞が解消されることになります。
そしてマリオンで、空席だった先発PFにオールスター選手を入れることができます。
問題のPGには、まだもう一つのロッタリーピックである11位指名権が残っているので、バンクスと合わせて一応穴を埋めることはできます。
そのPGの働き次第ですが、このメンバーなら来季プレーオフに行けそうですね。

もう一つの可能性であるボブキャッツとの取り引きは、こんな感じです。

<ボブキャッツ>           <サンズ>
 ジェラルド・ウォーレス   ⇔    ショーン・マリオン
 (サイン&トレード)
 ドラフト8位指名権

なんかさっきのに比べると寂しいですね。
でもサンズにとっては、一番の目的は果たしているんです。
そもそもサンズがマリオンの放出を検討しているのは、ラグジュアリータックスがかからないようにチームのペイロール(年俸総額)を減らしたいからです。
決してマリオンのプレーに問題があるわけではありません。

ちょっと難しい話をすると、サラリーキャップをオーバーするチーム同士がトレードを行う場合、交換する選手同士の年俸合計がほぼ釣り合っていないとトレードは成立しません。
ホークスが相手の場合はこれが当てはまるので、マリオンの高額年俸(年15mil)と釣り合うように、ホークスが出す選手は複数に増えていきます。
サンズの一番の目的はペイロールを減らすことなのですが、トレードをしても代わりにだいたい同じぐらいのサラリーは受け取らなくてはなりません。
それでも、ただマリオンをキープしておくよりかは節約することができるので、トレードはする意味はあります。

ボブキャッツとトレードすると都合の良いメリットとは、ボブキャッツがサラリーキャップを下回る数少ないチームだからです。
サラリーキャップを下回っている場合、年俸合計が釣り合っていなくてもトレードを成立させることができます。
節約が上手なチームに対する、リーグからのご褒美みたいなものでしょうか。
なので、ボブキャッツは無理にマリオンと同じ年俸合計になるよう交換相手をかき集めなくてもいいんです。
さっきのようなトレードが可能なのは、そういう理由です。

で、これがなぜサンズにとって都合がいいのかと言うと、チームのペイロールが大幅に減らせるので、問題が一気に解決できるからです。
今夏FAになるジェラルド・ウォーレスには、新たな契約を結んでサイン&トレードを行うことが可能です。
例えば年俸8milでジェラウォーと契約した場合、マリオンの年俸(15mil)-ジェラウォーの年俸(8mil)=差額の7mil分をサンズのサラリーキャップから取り除くことができます。
これは他のどのトレードをするよりも減額幅が大きいので、サンズにとっては一番の目的を果たすことになるというわけです。

ラインナップはこうです。

<サンズ>
PG:スティーブ・ナッシュ/リアンドロ・バルボサ
SG:ラジャ・ベル
SF:ジェラルド・ウォーレス/ボリス・ディオウ
PF:ジョアキム・ノア or ブランダン・ライト(ドラフト8位で指名)
 C:アマレ・スターダマイアー

ジェラウォーは過小評価されていますが、身体能力抜群でちょうどマリオンのようなプレーができますので、彼の後釜としては最も相応しい人材かもしれません。
それがマリオンの半額で買えるのなら、お買い得と言えるでしょう。

ただ問題は、ホークスの3位指名権なら好きな選手を選べますが、ボブキャッツの8位指名権だと欲しい選手が取られてしまう可能性が出てきてしまうことです。
サンズが欲しい“動けるビッグマン”は、この順位まで残っているかどうかわかりません。
獲りたい選手が残っていればトレードは実行されるが、そうでなければドラフト当日の様子を見て中止という流れも起こりえます。

おっと、ボブキャッツを忘れてました。
ボブキャッツは倹約に倹約を重ね、ペイロールをリーグ最少に抑えてきましたので、マリオンを入れたとしてもまだ大物FAを獲得するだけの余裕があります。
例えば、今夏FAになるビンス・カーターやラシャード・ルイスあたりを獲得できたとすると、ラインナップはこうなってきます。

<ボブキャッツ>
PG:レイモンド・フェルトン/ブレビン・ナイト
SG:ビンス・カーター or ラシャード・ルイス
SF:アダム・モリソン/ウォルター・ヘルマン
PF:ショーン・マリオン/ショーン・メイ
 C:エメカ・オカフォー/プリモ・ブレゼッチ

オールスター選手が2人もラインナップに入ってきたら、プレーオフが見えてきますね。
ボブキャッツがいつまでも弱いと思っていたら大間違いでしょう。


・・・・また長くなってしまいました。
僕がトレードとドラフトが大好物だという理由が、イヤというほど伝わっていることと思います。
ちょっとこみ入った話や難しい内容が多かったので、疑問・質問はご遠慮なくどうぞ。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (umako)
2007-06-27 14:39:58
毎回楽しみに見させていただいてます。

質問なんですが、
マリオンはリバウンドを取るためPFでプレイするのでしょうか?
それとも、ミスマッチを避けるためSFでプレイするのでしょうか?

これまではスモールラインナップでPFでしたが、
他のチームだとまともな仕事ができないんじゃないでしょうか?
返信する
umakoさんへ (manu)
2007-06-27 16:05:11
コメントありがとうございます!
質問ごもっともです。

マリオンのポジションは本来SFですので、本当はそこで使ってあげられるチームに行くのがベストです。
ただインサイドの弱いイースタンのチームに行くのならば、PFでもいけると見られています。
ウェスタンに比べると全体的に高さがなく、たとえ高さがあってもアウトサイドから器用にジャンプシュートを決めるタイプのPFだったりします。
ローポストからゴリゴリパワーで押してくるタイプのPFがいっぱいいるなら厳しいですが、イースタンにそういうタイプはあまりいません。
ミドルレンジから器用にジャンパーを決めるタイプを守るなら、高さよりも機動力が重視されますから、マリオンでも十分対処できるはずです。

それと近年はサンズの成功によって、ラン&ガンを取り入れようとするチームが増えてきました。
ウォリアーズなんかはわかりやすい例ですが、イースタンでもウィザーズとかラプターズとかマジックとかがそうですね。
ネッツもキッドが来てからそうですし、ホークスやシクサーズ、セルティックスなんかも若手を増やして走ろうとしてますね。
以前はラン&ガンは、点数は取れるけど勝てない戦法でした。
でも、このスタイルでも勝てるということをサンズが証明してからは、取り入れるチームがどんどん増えてきています。
現在のルールもそれを後押ししています。

マリオンは、そういう“走りたい”チームにとって格好の選手です。
プレーオフで善戦したウォリアーズがジャズに勝てなかったのは、リバウンドがあまりにも取れなかったからです。
ああいうチームにマリオンのような走って跳べてリバウンドが取れる選手がいたら、おそらく勝っていたでしょう。
なので、イースタンでランニングゲームを目指そうとしてるチームなら、“ラン&ガン用PF”としてマリオンを欲しがると思いますね。
ナッシュのパスを受けられないので得点は若干減るかもしれませんが、リバウンドは変わらないと思います。
返信する