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“Free David Lee!!”

2007年01月30日 | 特集

デビッド・リーという選手をご存知だろうか?
ニックスでNBA2年目を迎える206cmで左利きのPFで、白人の割には運動能力が高く、特にリバウンドで強さを発揮。
攻撃でもよく走り、ハッスルプレーでXファクター的活躍をする。
チームに1人は置いておきたい勝つために必要なタイプの選手である。

で、何でそのリーを取り上げるのかというと、彼がその活躍度に見合ったプレーイングタイムを得ていないからだ。
今季もリーは主に控えとしてベンチから出場している。
しかし、その限られた出場時間の中であげた数字は目を見張る。

●出場時間:46試合(うち先発は12試合)
●平均出場時間:30.6分
●平均得点:11.2点
●FG成功率:61.1%(リーグ2位)
●平均リバウンド:10.8本(リーグ7位)
●平均オフェンスリバウンド:3.6本(リーグ4位)
●トータルオフェンスリバウンド:167本(リーグ2位)

普通「1試合平均○○」というカテゴリーで上位に来るには、より長く出場できた方が有利に決まっている。
それはイコール先発することが条件と言ってもいい。
そのスタッツで、チームの上位どころかリーグの上位に入っているというのは、‘相当スゴイこと’なのである。

じゃあなぜ先発になれないのだろうか?

「よっぽどチームの層が厚いんだろう」
いや、リーがいるのはあのインサイドの弱いニックスだ。
「まだ2年目だから経験を重視したんだろう」
いやいや、先発PFは同じ2年目のチェニング・フライだ。
「先発になるとあんま活躍できないとか?」
先発試合は平均12.7点、11.7リバウンド、FG64.4%の好成績だ。
「じゃあ勝つ気があんまないんでしょ」
アイザイア・トーマスHCは今季の成績に進退を賭けている。

理由がまるでわからない。

トーマスによる説明はこうだ。
「彼はよくやってるね。彼が今の場所(控え)でうまくやってるってことは、彼は今正しい場所にいるってことなんだよ。なのに、うまくいかないかもしれないリスクを負って他の場所に移すっていうのかい?まあ今のところはうまくいってるように見える。つまり私が彼を正しいスポットに据えたってことなんじゃないかな。」

ハァ?この人は何を言うているのだろう。

リーは先発でも控えでもまったく変わらぬ良い結果を残している。
先発時は出場時間が増えた分だけそのまま数字も上がっている。
つまり控えでも先発でもリーは活躍できるということで、控えがベストスポットであるという理由にはなっていない。
それにリスクに言及しているが、リスクはポジションを変える時、例えばPFからSFやCへという変更の時に生まれるものであり、この場合には当てはまらない。
さらに最後は自画自賛まで飛び出す始末・・・。

ますます謎は深まるばかりだ。

ある評論家はこう分析する。
「問題はトーマスのプライドとエゴだ。彼は自分が投資したチェニング・フライ(1巡目9位で指名。リーは30位)とジャレッド・ジェフリーズ(今オフ長期契約で獲得したFA。SFとして先発)を良く見せたいんだよ。もしどちらか、あるいは両方をベンチスタートにしてしまうと、(GMとして投資した)自分の立場が悪くなってしまう。だから(先発を)変えないんだ。」

今季チームとして“大きな進歩”がなければ、トーマスは引責辞任しなければならない。
これほど勝たなければいけない立場に立たされているHCはいない。
そんな立場にありながら、まだ自分のプライドやエゴにこだわるのか?
なりふり構わずベストのラインナップで勝ちにいくべきではないのか?

リーを解放(free)するためにはまず、トーマスを解放(let go)する必要がありそうだ。


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