映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

太陽を盗んだ男 #256

2005-03-15 | た行映画
1979年 日本 147分

沢田研二主演。高校の理科の教師がプルトニウムから原子爆弾を作ることに成功。爆弾を持つ男としての恍惚と苦悩の日々が始まる。

またしても問題作。70年代の日本映画はこういうパワーのある作品が目立つ。最初に主人公の乗った修学旅行のバスをジャックした犯人が「天皇陛下に会わせろ」と要求するのだが、それを横目に見ていた主人公は自分が何かを要求できる立場になっても何を要求したいいかわからない。バスジャック犯のようなメッセージがないのである。そんな彼が夢中になった爆弾作り。高校教師は、一個人で物凄い発明をしながら、その後どうしていいかわからないとラジオのDJに相談する。一方、ほぼ完全犯罪で尻尾を見せない犯人に手を焼く警察だが、逆探知ぎりぎりの時間まで話をすることが、「犯人は私と話したがっている。それが奴の弱点だ」と、会話から地道な捜査を続ける。要求した5億円はデパートの屋上からばら撒き、DJは犯人の車に乗り込み実況中継する。

・・・
実はわたしも主人公が何を考えていたのか、見終わった後もさっぱりわからない。数々の奇行、緻密のようで穴だらけのような犯行、感情移入できそうなできなさそうな・・・。でもじゃあ、私だったらどうするか?と聞かれたら、・・・・・。やっぱり何を要求したらいいのかわかんねー。でも自分は凄いものを持っている。やっぱりグランドの塀でも登って発散させるかも。で、誰か、自分の周りの人じゃなく、ちょっと巨大な力を持つ人に伝えるかも。うーむ、やっぱり主人公と同じだー。

それと当時の光景が印象的だ。ノリでローリングストーンズを要求しようと答えるDJ。プロ野球を最後まで見せろと言う主人公のTVには江夏が投げ、王が打っている。高校の校庭の木にぶら下げたロープでターザンのように叫ぶ(実はこのシーンが最後に意味を持つことになる)プルトニウムを盗むシーンではインベーダーゲームの音楽が流れてる。

それからなんと言っても強烈なラスト!菅原文太があれだけ撃たれながら不死身の反撃を見せるが、生き残った犯人の表情と爆弾の行方・・・。忘れがたいシーンとなった。不条理で荒廃的な雰囲気は痛烈だった。パワーが全編を通じてみなぎってる、そんな感じです。