映画のせかい

私が最近見た映画 ※ネタバレあり

ポセイドン・アドベンチャー #253

2005-03-13 | は行映画
1972年 アメリカ 119分

大晦日の日、荒波に逢いポセイドン号が転覆した。真っ逆さまになり、海水が浸入してくる船内で、生き延びるためにはどこに行けば助かるのか道を選択しなければならない。何が正しいのか、誰が正しいのか。

年越しパーティで賑わっていた船内は突然の事態に騒然とする。船はひっくり返り天井へと落ちていくものもいる。海水から逃れるためには上へ上へと進まねばならない。しかし、船の構造を知る者は少年のみ。スコット牧師(ジーン・ハックマン)は彼の意見に従うが、他の多くの者たちはその場を動こうとしなかった。クリスマスツリーをよじ登って船底を目指して出発したのは10名。先の少年と少女の兄弟、いかにもスコット牧師と対立しそうなロゴ刑事とかつて水商売をしていたその妻、老夫婦、兄を亡くし呆然としている少女、足を負傷した男、船のボーイ、と、バラバラで統一性のない、しかも戦力になりそうにない者ばかりだった。全員を引き上げようとするが、迫り来る海水に猶予はなく、その場にいた者たちは流されてしまう。

配管の中を通ったり、死体の横を通ったり梯子を登ったりロープで引き上げたりしながら上へと登っていく。だんだんと協力体制が整っていくが、スコット牧師の命令口調にロゴ刑事は爆発寸前、そして彼らの目の前を船頭へ向かっていく集団が横切ったとき、あくまでも船尾を目指そうとする牧師と刑事は衝突する。

みんなが行っているからそっちが正しい、とか、識者が言うから正しい、と自分の意見を曲げてしまうことはよくあることだし、パニックの際はなおさらだろう。もし、自分がこの立場になったら(ヤだけど^^;)おそらく長いものに巻かれろで人が多い方に付くだろう。だが、スコット牧師は諦めなかった。途中、足手まといと思われた太ったおばさん(本作でアカデミー賞助演女優賞を取ったシェリー・ウィンタース)が、水に潜る地点で意外な能力を発揮したり、ダメだと思ってた人々が次第にその才能を開花させる。

信じる者は救われる、天は自ら助けるものを助く、など、パニックの中にもどれだけ選択を信じることができるか、がうまく描かれていたと思う。船がひっくり返るという設定も(実際にあり得るかどうかは抜きにして)良く、出口があるわけではなく船底に向かって進むという、最後まで助かるかどうかハラハラさせる展開だった。天井を歩いて進んでいるわけだから欲を言えば、もっとその辺のトリックが映像に現れたらよかったと思うが、それは贅沢というものか。

裸のガンを持つ男のレスリー・ニールセンが船長役で出演。多分自分の映画でパロディにしてると思うけど、そんな映画あったかな。