ボリス・ゴドゥノフ
プーシキン25歳時のこの作品は、後のフィルム「イワン雷帝」にも示されているロシアとヨーロッパの対峙関係を確認させるものである。
乳母からの伝え語りを聞いて育ったプーシキンは文学の勉強に没頭し、上の作品は検閲上の問題で上演されるのに40年を要したそうだ。
彼の場合でも、のちの文豪を感化して育てるほど、ロシアは普通の人間の意識水準が高いようだ。
イタリアは今期のオペラ上演でもボリス・ゴドゥノフを最初に置いたほどであった。
原作にも書いてあることは、人民が欲する皇帝は、善と恐怖を与える力との二つをもっていなければならないということだ。善だけでは人民は図に乗り忘恩となることは、洋の東西と古今を問わないことがたしかめられた。
ぼくははっきり言うが、ロシアの恐怖力はぼくを惹く。恐怖力こそ、ぼくに欠けていることを人生がぼくに教える力だからだ。善者こそ、善だけではいけないと、最近ぼくも書いてきている。
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