豊中市ブログ「マチカネくんのとよなか草子」マチカネくんと魅力文化創造課職員が、豊中のさまざまな魅力を紹介していきます!

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NPO法人とよなか・歴史と文化の会主催の「豊中まち案内人・養成講座」が始まりました。

2012年08月30日 | とよなかInfo

豊中まち案内人・養成講座。何だか気になるネーミングです。

この講座は、豊中の魅力を多くの人に伝える観光ボランティアガイドを養成しようと、NPO法人とよなか・歴史と文化の会が企画した11回もの連続講座で、8月25日(土)に第1回目が開催されました。

第1回目の講座のテーマは、「豊中市の魅力」と「豊中の歴史概要講座」。

私、都市活力創造室の加藤が、地域教育振興室の服部とともに講師役を務めましたので、この機会に1回目の講座の様子をご紹介します。

 

とよなか・歴史と文化の会は、「豊中市内に所在する文化遺産の保存・活用を通じて、豊かな地域文化の再生を実現し、ひいては歴史と文化によるまちづくりに寄与すること」を目的とするNPOです。

こうした高い志を掲げてまちづくりに貢献してこられているだけに、この一連の講座にも工夫と楽しさが随所に盛り込まれています。11回からなるプログラムは下表のとおりで、豊中市の歴史や地域の様子・観光ボランティアガイドの心がけなどを学ぶこととあわせて、まち歩きで実践的なトレーニングを体験できるという、すぐれもの講座です。

 

 

午前10時、開講のオリエンテーションでは、主催者の意図や学ぶうえでのポイント等が説明されました。山田廣次代表理事(写真下)は語ります。「この講座は、とよなか・歴史と文化の会が、自分たちのこれまでの経験を活かして企画し、自律的に運営していこうとするものです。知識と学びを深めるだけでなく、せっかくのこの機会を活かし、観光ボランティアガイドへと歩みだすチャンスと捉えてほしい。」

そんな意気込みに応えて、参加者24人のまなざしにも熱いものが感じられました。

 

続いては、教育委員会・文化財保護チームの服部から、約1時間を充てて、豊中の歴史概要講座。

現在のように建て込んでいないために地勢がよく見てとれる明治期の仮製地形図を用い、豊中市域の地理的特徴を説明のうえ、発掘の成果をもとに豊中の歴史を概観しました(写真下)。

明治18年の地図からは、丘陵、平野、河川、ため池、街道、集落といった豊中の地形上のささまざまを改めてなぞることができました。また、服部・庄内がかつて遠浅の海であったこと、それは穂積遺跡の調査で、地表下2メートル以深から大量の貝化石やサメの歯、ウニの化石などが出土したことからも裏付けられていることなどをはじめ、文化財の発掘を専門とする職員ならではの興味深いさまざまなトピックスを紹介しました。

 

講座最後の1時間弱、豊中の魅力について、都市活力創造室の加藤が出番を仰せつかりました。

あの華麗なる阪神間モダニズムの時代とも符号する、本市の黎明期と生い立ちの一端をご紹介しました。豊中駅、岡町駅周辺をはじめとする、郊外住宅地としての当時の本市の姿を検証していくことによって、現代の豊中の魅力を高められる大切なヒントを見出すこともできるのではないでしょうか。

 また、ミニ・ワークショップとして、ご参加の皆さんに、用意した30色から、豊中のイメージだとお感じの1色を選んでいただいたところ・・・その結果です。もっとも多かったのが、深めの黄緑色で11人、続いて、明るい黄緑色・2人、ミントグリーン・2人、ビリジアン(濃い緑)・1人、水色・1人、桃色・1人、明るいオレンジ色・1人といったところです。

深めの黄緑色については、落ち着いたまち・緑豊かな環境をイメージされたとのこと。また、ピンク色を選ばれた方は、豊中に明るいイメージを感じておいでだとのことでした。

さて、12時をまわって閉講の後、同会の会員お二方にご活躍のご様子をうかがいました。

観光ボランティアガイドとしてのありようや、その楽しさ、工夫などを語ってくださった河合孝子理事(写真下)。近年、知識獲得型の講座はとても人気があるそうですが、他方、自らボランティアとして担い手になっていくということに対しては少しお寒い状況なのだそうです。そんな中、この講座に参加の方々に大きな期待を寄せながら、個性豊かな観光ボランティアガイドが育ってほしいと願っておられます。

 

同会ではさまざまに事業が展開されていますが、第二日曜日におもちゃづくりを通して原田しろあと館の魅力を発信しておられる坂口彰理事(写真下左)にもお話をうかがうことができました。多いときには保護者も含めて20人あまりが参加されるそうです。この会場・旧羽室邸は、国登録文化財(写真下右。玄関口・緑青(ろくしょう)の文化庁プレート)だけあって、室内調度や造作にも見応えがあります。おもちゃづくりに楽しく集う子どもたちに、昭和12年(1937)築の邸宅はその魅力をそっと語りかけていることでしょう。 

 

講座が終わって人影も途絶え、緑陰にたたずむ羽室邸。アブラゼミ、ツクツクボウシのかしましい鳴き声がふりそそいでいました。(写真下。会場の洋室に続くテラスはひっそりと涼やかに)

 

 最後にオマケとして、旧羽室邸の魅力のツボをひとつ紹介しましょう。「美は細部に宿る」といいますが、このお屋敷をご観覧の折には、ちょっとしたところに凝らされた意匠の数々も楽しんでいただけることでしょう。

 

 今回は邸内外に見られる唐草あるいは草花(そうか)文様のいくつかを。

 

 まずは、食堂のガス灯(写真下)。この建物が造られた時代からすると、19世紀末から20世紀初頭に欧州をはじめ一世を風靡したアール・ヌーヴォーの影響も多少はあるのでしょうが、ゴシックの植物文様のようでもあり、波頭紋が和の趣も感じます。また、装飾であるとともにガスの通る管を補強するという、「用の美」的な意匠にも見えてきます。

 

 次に、三島由紀夫の戯曲の舞台セットにでてきそうな2階書斎のシャンデリア(写真下。残念ながら建物保存上、普段は立入りできません)。これを眺めるにつけ思い起こされるのは、教科書にもよく出てくる15世紀フランドル派のヤン・ファン・エイクの筆になる「アルノルフィーニ夫妻像」。

この油彩パネル画に描かれたシャンデリアと同じような凄みを、なぜだか、しろあと館のシャンデリアにも感じてしまいます。

「アルノルフィーニ夫妻像」については、ロンドンの「ナショナルギャラリー」のホームページ参照。

http://www.nationalgallery.org.uk/paintings/jan-van-eyck-the-arnolfini-portrait

  

 そして、最後は玄関脇・奧の雨樋(あまどい)に施された、そこはかとなき葛(かずら)文様。誰の目にも触れないようなところにさえ、銅の薄板につる草が丁寧に打ち出されています。 

 

 それでは最後に、原田しろあと館・旧羽室邸や、NPO法人とよなか・歴史と文化の会のサイトをご案内します。

 皆さまのご来場・ご参加をお待ちしています。

 

○原田城跡・旧羽室家住宅パンフレット

http://www.city.toyonaka.osaka.jp/top/__filemst__/7598/haradajyouatokyuuhamurokejyuutaku.pdf

 

○NPO法人とよなか・歴史と文化の会

http://www5.ocn.ne.jp/~thc0117/index.html

 

○原田城跡・旧羽室家住宅イベント一覧

http://www.city.toyonaka.osaka.jp/top/jinken_gakushu/bunkazai/gyoji_gakusyu/haradajyouibennto.html