都電荒川線で比較的近年まで活躍が見られ、荒川車庫に隣接する都電おもいで広場に保存車が存在することで少数派の割に馴染み深い向きも多いと思われる都電の7500形ですが、今回紹介する板橋区交通公園にも都営バスのBU04と共に、7508号車が静態保存されています。
東武東上線の大山駅から歩いて約12分、団地と住宅に囲まれた公園の一角に同車は鎮座しています。1962年、都電の廃止に向けて計画が進む中登場した7500形は20両が製造され、この後の新型車は荒川線単独に移行してから1990年に登場する8500形まで途絶えることになり、かつて都内各地に路線を展開していた都電時代の最後の新型車両になりました。7508号車は1986年まで活躍しており、ワンマン化改造を受けている為ドア部分のステップを埋め込み、バックミラー設置を行っています。
行先方向幕は前後で異なっており、保存場所への入口側は荒川車庫行きで反対側は早稲田行きの表示でした。幕の手入れなどは一応されているようです。なお、板橋区内の都電の路線は、巣鴨車庫から志村橋に至る41系統志村線が存在しましたが、この7500形は新造時は渋谷区の青山車庫に配置され、同車庫が廃止されると7501〜7510号車は荒川車庫へ、7511〜7520号車は江東区の柳島車庫へそれぞれ転出しており、板橋区内を走行した実績はありませんでした。
木製の床と青モケットの座席が懐かしい車内。当然ですが冷房など無く首振り扇風機のみの設置です。よく見たら、一台は持ち去りにでも遭ったのか欠損していました・・・。片方の運転席仕切り部には本棚が設置され、図書室のようにも扱われています。
改造された運転席周り。中央付近にワンマン⇔ツーマンの切り替えや放送装置の設定を行うためのスイッチがあります。鍵付きで管理している為か、公園の保存車にしては幾分か部分が残されていますね。
定期的な手入れは行なわれていますが、車体には錆びが目立ち一部窓が破損した様子も見受けられたので、そろそろ再整備を期待したいですね・・・。