なかなかアップできずにいましたが、今日は「慌てていても、何となく出来ちゃう乳児の一次救命処置」レッスンです。しかしレッスンとはいっても、手技の細かな習得よりは、「想像力を働かせる」ことを目指したいと思います。何故なら「慌てていても、何となく出来ちゃう」には、出来る限りあらゆる場面を想定し、それに対して物理的にも精神的にも「備えておく」ことが一番だからです。出来る限りあらゆる場面を想定するということは、まさに「想像力を働かせる」こと。このレッスンが、少しでもみなさんの想像力を働かせるきっかけとなり、ご夫婦で、あるいは家族のみんなで話し合う機会を作ることができればと思っています。そして乳児をもつご家族だけではなく、様々な人が「道で出逢った乳児の命を守ることができる」ようになったらいいなと願ってやみません。
レッスンに入る前に、お断りしておくことがあります。このレッスンで参考にした文献とURLを下記に示しますが、以前にご紹介した「
東京女子医科大学NICU」のホームページとは多少異なっている部分があります。(具体的には、胸骨圧迫回数 対 人工呼吸に関して、東京女子医科大学NICUホームページでは5:1となっていますが、ここでは30:2としています)このような違いは、根拠にしているデータや研究結果の違いから生じるものだと思われますが、得られたデータや研究結果に応じて、今後も変わっていく可能性がありますので予めご了承お願いいたします。また改正された時点でお伝えできればと思っております。
<参考文献>
☆BLS : 写真と動画でわかる一次救命処置 学習研究社
☆
日本救急医療財団日本版救急蘇生ガイドライン http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/guideline_BLS.htm
~乳児の一次救命処置~
1)状況の想定をしてみましょう
「赤ちゃんがぐったりとしている!」と気づくときの場面を何パターンか考えてみてください。例えば「昼間、一人で家にいるとき」「夜間、夫と二人のとき」「昼間、外出先で」などです。対応するのが一人なのか二人なのか、あるいは家の中なのか外なのかで、対応方法は異なってきます。
2)ぐったりとしている赤ちゃんを発見したら・・・反応を確かめる
赤ちゃんの足の裏をたたいて、反応があるかどうかを確かめます。
3)赤ちゃんの反応がない!と分かったら・・・大声で助けを求めます
家の中で家族がほかにもいる時には、その場を離れずに家族を大声で呼びます。自分一人で家の中にいる場合には、近所の協力が得られるかどうかを考えてみておいてください。
自分以外に助けがいる場合、自分はただちに赤ちゃんの救命をはじめ、ほかの人に119番通報をお願いします。自分しかいない場合は、119番通報より先に救命処置を2分間行います。
4)気道の確保をします
この時、やわらかいベッドや布団の上に赤ちゃんがいる場合、なるべくすぐ近くの固い床に移動させます。胸骨圧迫(注:心臓マッサージのこと)をする際に、下がやわらかいと効果的に行えません。家の中で、どのような場所でなら安全かつ効果的に救命処置が行えるか、一度点検してみてください。よく行く外出先に関しても同様です。
気道の確保は、赤ちゃんの横に両膝をつき、頭側の手のひらを前頭部(おでこ)にあてて、頭を後屈(後ろにそらせる)させ、足側の手の人差し指と中指で赤ちゃんの顎を上にひきあげます。実際の様子は、
東京女子医科大学NICUのホームページを参考にして下さい。
うまく出来ない場合は、少し厚くたたんだバスタオルを肩~足にかけて入れると自然と頭が後ろにそります。一度赤ちゃんで試してみてください。
5)呼吸の確認をします
資料ではありませんでしたが、この時赤ちゃんの衣類の前をあけるとより呼吸の確認がしやすくなります。(胸骨圧迫の位置を確認することも容易になります)赤ちゃんが前あきの衣服を着ていない場合、手持ちの衣服でどのようにしたら呼吸と胸骨圧迫の位置を確認することが出来るか考えておくといいかもしれません。
呼吸の確認は、赤ちゃんの鼻の近くに耳を近づけ、自分の顔が赤ちゃんの足側を向くようにします。この姿勢で、お腹や胸があがるかどうかを「見て」、耳で呼吸を「聞いて」、肌で「感じて」確認をしてください。普段の赤ちゃんがどのように呼吸をしているのか、確認しておくといいでしょう。
6)呼吸をしていない・・・人工呼吸開始
自分の口で、赤ちゃんの口と鼻を覆い、1秒かけて息を吹き込むことを2回繰り返します。この時、赤ちゃんの胸が軽くあがる程度にします。(深呼吸をして吹き込むのは強すぎます)赤ちゃんの胸があがらない場合は、気道の確保に失敗しているか、赤ちゃんの口と鼻を効果的に覆えていないことが考えられます。その場合はもう一度気道の確保をし、きちんと赤ちゃんの口と鼻が自分の口で覆われているか確認してください。息を吹き込むことはできませんが、赤ちゃんの口と鼻を覆ってみることは普段でもできるので一度試してみるといいでしょう。
救命処置に当たれる人が二人以上いる場合は役割分担を考えておくといいと思います。
7)人工呼吸をしても反応がない・・・胸骨圧迫開始
赤ちゃんの乳首と乳首を結ぶ線上の中心(胸の真ん中になります)を、人差し指と中指の2本で圧迫します。その様子は
東京女子医科大学NICUのホームページを参考にしてください。この時、赤ちゃんの胸の厚みの3分の1程度沈む程度に圧迫してください。また圧迫のたびに、胸が元の位置に戻るように充分に圧迫を解除することが大切です。圧迫の速さは、100回/分になります。普段の赤ちゃんの脈拍を触れて、その速さを確認しておきましょう。圧迫の回数は30回、その後人工呼吸2回を繰り返します。
8)2分間の蘇生(人工呼吸と胸骨圧迫5サイクル)後・・・119番通報します
救命処置にあたれるのが自分一人の場合、ここで初めて119番通報します。この時も可能なかぎり蘇生を続けます。電話の仕方も練習しておくといいでしょう。まず「救急ですか?火事ですか?」ということを聞かれるので、「救急です。」と答えます。その後必要なこと(住所や名前、状況など)は向こうから聞かれるので、それに順次答えてください。慌てていると住所などが頭の中から飛んでしまうこともあるので、分かりやすいところに書いて貼っておくのもひとつの方法です。
9)救急車の到着まで、蘇生を続けます
明らかに反応がもどった、呼吸がもどったという場合をのぞいて、救急隊員にひきつぐまで蘇生を続けます。救命処置にあたれるのが2人以上の場合、途中で人工呼吸と胸骨圧迫の役割を交代するといいでしょう。(約2分間で交代することが望ましいとされています)自覚していなくても、疲れて胸骨圧迫が効果的に行えなくなってきます。