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※症例は患者様の同医済み.

何もわかっていなかった末期がんの患者さんの心のケア

2012-12-13 00:00:42 | がんと免疫
 2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなる時代になりました。身近な病気とは言え告知された人間はたいへんなショックを受けると思います。
 そんな中、職場で「末期がんの患者さんへの心のケア~」という研修報告会がありました。
 研修で得た知識で患者さんに対応するのがほんとうに「心のケア」になるのかという疑問があり違和感を感じてました。

 末期がんの患者さんは自分たちが未だ経験したことのないところにおられます。同じ病気で励ます医療スタッフもいますが、末期癌を経験したことのあるスタッフは存在しません。そこへ医療スタッフがアドバイスできることなど何もありません。もちろん不安を取り除くことなどできません。

 しかし研修報告を聞くにつれて、徐々に自分の考えが浅はかだということに気づいてきました。

 これは数多くの末期がんの患者さんをみてきた医療現場のスタッフがどうすれば不安や恐怖を和らげることができるのかを何もわからないところから模索し得たものです。人生経験も医療現場での経験も未熟なスタッフがどう対応すべきかを教えてくれる貴重なバイブルだと思いました。

 がんだけでなく死に向かってカウントダウンされた患者さんを見てきました。自分の意志とは関係なく「死」に向かって歩かなければなりません。これは想像を絶する状況で、患者さんの心境は尋常ではありません。歩き続けている患者さんの横で何を言えばいいのか、どう接すればいいのかわかりませんでした。

 研修報告を聞いていなかったら患者さんの気持ちもわからず何を言っていたか、また今までそういう患者さんに自分が何を言っていたか、身の縮まる思いでした。

ケアの方法論としては、どうもっていけば患者さんの不安を癒せるかというテクニック的なものでなく、ずっしり背中にしょった「心の重荷」を少しずつおろしてあげるというか手伝うだけのことでした。しかしこれがたいへん難しいのです。

 報告内容で、末期になると多くの患者さんは「温泉に入りたい」と言われるようです。これは精神的なものでなく、抗ガン剤の副作用として体温が下がるというのを聞いたことがあります。実際、鍼よりお灸を好まれます。これは病気と薬物の副作用により身体の機能は著しく低下し、東洋医学でいう「虚証」という状態です。このような場合、「補法」を行なうのですが、補法のつもりでやっても「虚」が甚だしい場合は、ドーゼオーバー「過剰」となります。例えば軽くマッサージをしたつもりでも、そのあと患者さんはぐったりきてしまいます。これは灸にしても同様です。末期患者さんの状態は日々変化しているので、脈状を見ながら慎重に行なう必要があります。
 治療的なことは表題と関係ないのでやめますが、余命2~3ヶ月になるとセカンドオピニオンや保険外治療を探し試みられるということで、鍼灸は代替医療としてその範疇に包含されます。鍼灸師も知っておくべきことと思うので次回、まとめて書くことにします。

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