今朝は良く晴れて
気持ちの良いお天気に
なりました。
1809年、ユダヤ人の大富豪の銀行家の息子として
生まれたメンデルスゾーン。
その音楽は軽快で繊細で
華美で幸せに満ち溢れている
と思っていましたが、
オラトリオ「パウルス」に
出合い、考えが一変しました。
祖父のモ―ゼスは貧しい
ユダヤ人居住区に生まれ、
苦学の末に偉大な哲学者と
して名を残した人物です。
父アダムスはパリでの銀行員
としての経験をもとに
メンデルスゾーン銀行を設立
ドイツ有数の大銀行となり
富と名声を確立しました。
そんなアダムスが子供にした最大の決断はキリスト教
への改宗でした。
ナポレオン戦争後の欧州は
ユダヤ人に対する差別が
拡大していたのです。
彼自身は成長するにつれ
祖父の偉大な教えに共感するようになっていきます。
ユダヤ人のドイツへの同化と
改宗は私達には到底理解
出来ない複雑な問題です。
凄いのはユダヤ人として
無数の差別や迫害を
受けたのに違いないのに
音楽の中に品格が
欠けることが無いのです。
ユダヤ人問題に対しても
音楽的評価に対しても
一切反論することが
無かった彼ですが、
オラトリオ3曲の中で本音を吐露したのでしょうか。
1836年「パウルス」作曲。
パウロはユダヤ教から
キリスト教へ改宗した人物。
更に10年後の1846年、
旧約聖書の預言者エリアの
生涯を題材に
「エリアス」を作曲。
いずれも聖書の読み込みの
深さに圧倒されます。
1847年、38歳で
世を去りましたが
オラトリオ「キリスト」
が未完で残されました。
オラトリオ「パウルス」より
ソプラノアリア
「エルサレム」