伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

3/29 「浜矩子さん講演会」 市民ネットワーク千葉県

2014-03-31 10:56:06 | 政治
3月29日 市民ネットワーク千葉県主催の講演会
「お金のはなし 政治のはなし」と題して浜矩子 同志社大学教授の話を伺った。
さすがに浜矩子さんの講演会はいつも満員御礼。
ずいぶん前からチケット完売となってストップがかかっていたが、前日に東京新聞のお知らせに載ったため、たくさんの問い合わせ、当日の来場もあって、てんてこ舞い。
私たちスタッフの席はもちろん返上となった。




浜さんの後ろのポスターは、今回デビューの市民ネットワーク千葉県のキャラクター「ねっとリン」
どうぞよろしく。

東京新聞の記事から****************************

アベノミクスを語る 千葉市 浜矩子さん講演会
2014年3月30日

アベノミクスの問題点について語る浜矩子さん=千葉市文化センターで


 本紙でコラム「時代を読む」を連載中の浜矩子同志社大教授が二十九日、千葉市中央区の市文化センターで、アベノミクスにまつわる金と政治について語り、市民百四十人が耳を傾けた。
講演会は市民ネットワーク千葉県が主催した。

 浜教授はアベノミクスについて「アホノミクスで何のミクスと呼ぶに値しない」と言い放った。
その理由を「経済活動は、人間が幸せになることを追求するものだが、アベノミクスは人間が不在だ」と説明。

 さらに日本経済を出来の悪いホットプレートにたとえ「熱の伝わり方に差がある。
経済の恩恵を受ける人が限られている」と述べた。

 浜教授は今後の日本経済が目指すべき方向として「シェアからシェアへ」を挙げた。
「市場の奪い合いから分かち合いへと変えなければいけない」。
「成長戦略でなく成熟戦略が必要。貧困率を下げる政策をとるべきだ」と指摘した。 (砂上麻子)

転載おわり*******************************

さて、新聞記事はエッセンスが凝縮しているが、講演会内容を書き留めたのでぜひご一読ください。
すばらしい話術で笑いあり、安倍政権の問題点をわかりやすく掘りおこして、経済問題から鋭くついてくれました。


「浜矩子が斬る!アベノミクスお金のはなし 政治のはなし」講演会から************

グローバル時代と親和性がない。アベノミクスは何のミクスにも値しない。
人間不在のアホノミクスである。

人間不在問題
経済活動は人間活動である。
他の生き物と行動様式を共有するが、経済活動は人間固有の活動である。
人間による活動は人間を幸せにするための活動でなければならないが、日常社会に人間をひっこめる事が増えてくる。
人間がないがしろにされ、経済と人間が対立する日常があってはならない。

ブラック企業について
大きな問題を一言で言い表しているが、ブラックな行為をしている人々を企業として認知してしまう言葉である。
経済活動はブラックを前面に出して認めることはまずい。
企業と認知することは避けるべきであり、「あいつらブラックだ」でいい。
経済活動だからしようがないと考えては、本源的なことを外してしまう。
人間の本源を踏みにじる行為は経済活動と認めてはいけない。

何とかのミクスと言ってはならない。
これを出発点にしたい。
アベノミクスとはいかなることで人間不在なのか。
安倍政権の成長戦略は3本目の矢のことだった。
首相官邸のHPにアップされている成長戦略スピーチには、人間という言葉が一回しか出てこない。
人間の不在性を現している。
それも、1970年大阪万博の件の中で、「万博会場の中に人間洗濯機がありましたね」と出てきただけ。
人間が直面している問題点に言及していない。
「格差」も「非正規雇用」も「雇用」も「貧困」もすべてなし。
豊かさの中の貧困問題が現代日本の問題であるはず。
デンマークの貧困率は5%
日本の貧困率はデンマークの3倍以上。
これでは、デフレからの脱却はあり得ない。
これは、出来の悪いホットプレートの様だ。
熱の伝わり方に差がありすぎる。
熱して熱が伝わりやすい人と格差の中にある人との差がありすぎる。
まともにすることこそが人間に目を向けた経済活動である。
反面「世界」という言葉が37回、「成長」41回と同じ頻度で登場した。
成長戦略を語る場であったが、「世界」がどういう脈略で使われたかというと、「世界をリードする」「世界の中心に躍り出る」「世界で席巻する」といった具合である。
世界制覇戦略を現しているが、グローバル時代とは親和性がない。
安倍政権が目指している成長戦成略政策は、富国強兵。
強兵は憲法改正が難しいため裏口から忍び寄るやり方、実態的な憲法改正を目指している。
解釈改憲などという言葉があるかのごとくブラック企業の言葉のように認知させるわけには行かない。

グローバルジャングル
我々はグローバルジャングルの住人である。
つまり、弱肉強食の世界。
人物・金が国境を越えていく。情け容赦なく。
世界大競争があることはその通りだが、共生の生態系もある。
強いものしか生き残れないのか?そんなことはない。
いろんな大きさの生き物が共生してこそジャングルが存在する。
バクテリアもいない世界は砂漠化する。
グローバルジャングルの中でも一人では生きていけない。
グローバルサプライチェーン、グローバル経済活動の寄せ集めで製品が世に出ていく。
淘汰の論理に目が行っていると誤解してしまう。
20世紀の最後の年代。グローバルジャングルが分かっていなかった時は誰もが一人で生きていかなければならないと理解したが、だれも一人では生きていけないのが本来のグローバルジャングルである。
3.11が起こってしばらくしてから話題になったことがある。
福島の片隅の部品工場が操業停止に陥った。
結果グローバルジャングルの中、世界中で自動車メーカーの生産が止まってしまった。
それほど誰も一人では生きていけないことがひしひしとわかった。
最大のものでも最弱のものがなければ生きていけない。
つまり、土台を形成するものがなければトータルの論理も成り立たないのである。
「ぼくちゃんだけが一番になるんだもん」は誰もが迷惑をする。
しかし、生態系を乱すこと、どんどん破壊的な行動が広がって行くことが怖い。
一人よがり行動が、1930年代の世界がどうなったか。
共生の生態系を乱す者が現れると、問題行動の伝染力が強いのが問題となる。

グローバルジャングルの中で誰もが誰かから借りて生きていく貸し借りの対象物は何か?
1にふんどし、2に土俵。
人のふんどしを借りて生きていく典型は、ルクセンブルグ人。
人口52万人ながら、リッチな国で大いなる富を持っている。
ヨーロッパの中にはグローバルジャングルを生き抜いている国がある。
アジアではシンガポール。
ギリシャは悪い例。借金を重ねて財政活動のショック死にまで行ってしまった。
怖いのはふんどし返せと言われたとき。
土俵を貸してうまくいっているのは、出稼ぎ天国と言われるフィリピン。
リスクは大きいが、人を世界の土俵に送り出し、相撲を取る。
日本は、自国の金を世界の土俵に出している。
ジャパンマネーをよその土俵に出している、つまり資本の輸出大国になっている。
物量的に世界を引っ張っていく、資本輸出大国は自国通貨が強いほうがいいことになる。
しかし、円安を追及したため経常収支が赤字になってしまっている。
現在、日本は輸入大国であるため、生活コストが上がってしまっている。
アベノミクスは「浦島太郎の経済学」
日本の経済活動は人様の土俵を拝借して相撲を取っている。

特区構想とは。
人のふんどしで相撲を取るのが特区政策。
邪悪な政策であるというものではない。
経済的に弱い国では納得がいく。小さな国、自力では経済を回すことができない国ではありうる。
日本のように成熟度が高くなった国で特区政策をやるとはどうなのか?
人のふんどし、土俵を借りながら、「ぼくちゃん一番になるんだもん」は受け入れてもらえるものではない。
砂漠化の後押しを許していくわけにはいかない。
「ぼくちゃん一番イズム」の最悪な住人となってしまってはいけない

グローバルジャングル基本心得とは、二つの切り口で考えてみよう。
その一 掲げるべき合言葉
「シェアからシェアへ」
市場占有率=奪い合いのシェアから分かち合いのシェアへ。
その二 目指すべき場所
多様性と包摂性=包容力(いだきとめる力)
縦軸を包摂性とする、下に行くほど排除の論理、上に行くほどいだきとめる力
横軸を多様性とすると、左に行くほど均一化の論理、道に行くほど多様性
めざすべきは右上

今までの日本は左上
いだきとめる力があり、落ちこぼすことはなかった。終身雇用、護送船団方式。
それには条件があって、人と違う事をやっていけない、横並びを意識すれば良しとする社会だった。
多様性はあるがいだきとめる力がないのは現代のヨーロッパ、例えばウクライナ、ユーロ圏。
支援するのはドイツだが、支援受ける南ヨーロッパはドイツをうるさがる。
左下は排除と均一化の論理。イメージとしてはウクライナに対するロシア、北朝鮮。
日本の中に暗黒空間はないのか?
あるとすれば、均一性排除性のハシズム帝国、橋下の存在感がなくなってきたが。

「ぼくちゃん一番主義を理想郷に引き寄せていこう」

質疑応答
○ 民主党の方が良かったのか?
浜 民主党の当初は新しいフェースに入っていくにはどうするかということで、所信表明の演説は良かった。
書き込まれていた認識は、新しい公共の在り方、成熟した国家論、提示していた政策を忠実にやっていけば良かった。

○国債大暴落、金利急騰はあり得るか?
浜 回避するのは難しい。
黒田日銀 異次元緩和、特大の緩和を止められるか。
異次元から帰ってこられないとわかった時、単に日本国債を買い支えているとわかってしまう。
日銀は専任金貸し業者に成り下がってしまった。
2%の物価上昇の目標を達成できれば、直ちに帰って来なければならない。
インフレ目標じゃなく買い支えだから、日銀しか日本国債を買うのはいない、と分かれば大暴落が起こる。
資本輸出大国が暴落起こることはないのだが、信用が無くなった時。

○デフレ脱却だけでは経済が成長できないので、どうしたらいいのか?
浜 安倍政権はデフレ脱却ではなく富国強兵をめざしているもの。
成長戦略は必要ない。
これだけ規模が大きくなり、豊かになった日本は成長する必要がない。
成熟戦略が必要だ。豊かさの中の貧困をどうするか。
分配政策である。
貧困をなくすには、金持ち増税があってもいい。
最高税率が低い。累進課税が低くなっているのが問題。
企業の内部留保に課税する。
銀行でもないのにあれだけ金をためる必要がない。分配すべき。
地域により大きな力を与えていく。
地域共同体の中で貧困対策、救済政策を行う。
中央集権ではなく、地方分権。

成長しないと経済は成り立たないわけではない。
最貧国で豊かにならなければならない国は成長が不可欠だが、日本では死に至らない。

○消費税が上がるが、輸出する企業は大儲けになる。消費税法が間違っているのでは?
輸出企業は還付を受ける。
浜 国内で活動している外国企業からは消費税は徴収することができる。
グローバル時代 間接税で取るのは間違いない。
租税体系は戦後に作られたもの。日本国籍対象、個人所得税を作った。
日本国内にいれば消費行動に租税政策をもっと早くやればよかった
軽減税率も先送りせず、ぜいたく品を高くするなどやってしかるべきだ。
まともな取り組みがなされていない。
輸出企業についても考え直していかないといけない。
輸出先で消費税を払わなければならないというが、日本国内への一部還元もありか。
消費増税を行い企業減税を行うへんてこさ。
消費税8%で駆け込みのスケールが大きい。
生活圧迫部分への工夫が必要だ。駆け込み現象は災害時の様だ。
災害に対しては政策を行わなければならないはずだが、何もなされていない。

○原発問題は?
浜 原発撲滅すべき。
日本経済は成長し続けなければならないことを前提としている。
そのためには原発を使わなくてはならない、という論理。
原発ゼロならどのような生活パターンを取ればいいかと考えていけばいい。
いかにして原発ゼロにして生活をしていくか。

満員御礼
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