伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
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「がれきの広域化広がる疑惑」青木泰さん(環境ジャーナリスト)No.1

2012-07-11 17:50:39 | ガレキ広域処理問題
拡散希望ということで下記のレポートが届いた。
青木泰さんはブログでも震災ガレキの問題点を追及されている。
今回のレポートは長文のため3回に分けて御紹介します。

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宮城県では、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の震災がれきについては、鹿島JVに委託し、民間ベースで中間処理、最終処分を進めようとしていました。
北九州と同様東京都には、もって来るがれきはなくなっていたのに、なぜ東京に運んできたのか?
宮城県、東京都の怪しい連携の背景を探ってみました。

―がれきの広域化広がる疑惑―      2012年7月5日
東京を特別扱いした宮城県の怪しい事情    

                          環境ジャーナリスト    青木泰

1)民間ベースの処理に、東京は何故チョッカイが可能だったのか?

 東京都が広域化で動き出したときには、宮城県内では、民間に委託し処理が始まっていた。
東京都は、女川町のがれきを、宮城県を通して10万トン受け入れる準備に入ったのは、昨年2011年の11月24日。
宮城県、東京都、東京都環境整備公社が、「災害廃棄物の処理基本協定」を締結している。(注1)

しかし宮城県では、県内を4つのブロック(気仙沼、石巻、宮城東部、亘理・名取)に分け、各ブロックごとに大手ゼネコンによる特定建設工事共同事業体(JV)が、がれきの処理を請負っている。
女川町が区分けされた石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)は、3市町のがれき発生量826.4万トンの内、宮城県が処理を受託した量は685万トン。
その全量を昨年の7月29日に告示を行い、(注2)プロポーザル審査で9月16日には、鹿島JV(注3)と契約していた。(注4)

 この時点で、 石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)のがれきの全量の行き先は、鹿島JVと決まっていた。
確かに東京都がこの問題で動き出したのは、早く、昨年6月の補正予算時である。
東京都石原知事は、東京都の環境整備公社に災害廃棄物の処理を受託させることを目的に、70億円の貸付金を計上し、同年7月1日の都議会で議決している。(注1)
しかしその後宮城県では、民間ベースでがれきの処理策が、決定していた。
本来ならば、宮城県はこの段階で、宮城県には、東京都や他の自治体に中間処理や最終処分を頼むがれきがないことを内外に宣言する必要があった。
少なくとも石巻ブロックに関しては、鹿島JVに委託したがれき以外は、無かった。

 時間的な経過を考えると、国の第三次復興予算が決定したのは、昨年11月であり、環境省の広域化政策はここから出発した。

 東京都が宮城県との交渉に本格的に動き出すのは、その後である。
しかしその時には、東京都が受け入れに「割り込む」余地はなかったはずである。
そもそも広域化の必要すらなくなっていた。
ではなぜ、宮城県は女川町のがれきを、改めて東京都に依頼する必要があったのか?
宮城県に聞くと「一刻も早く処理したいということがあった」という。
しかし鹿島JVとの契約にあたっての告示でも業務内容を「災害廃棄物について、選別、破砕、焼却等の中間処理を経て、再資源化及び最終処分を行うものである。」と記載され、H26年3月25日までに処理することが謳われている。
その時点ではまだ契約すら結んでいない東京云々することは、処理を遅らせることはあっても、処理促進のためというのは、理由にならない理由である。


環境省の広域化も、東京都への依頼も、すべてがれきの処理策が民間ベースで進められることが決定してからの動きである。
民間ベースといっても、この処理には、国の交付金が手当てされる。
そのがれきを広域化名目に持ち出し、しかも遠方に運ぶというのは、同じがれきの処理に2重3重に交付金を使うことになる。
これは明らかに交付金の詐取にあたる。
中心になって差配していた宮城県がこの事実を知らないとはいえないが、では環境省や東京都は何処まで知っていたのか?
国の広域化政策に答え、東京都に持ってきた女川町のがれきは、一体何処から出てきたのだろうか。

<経過>
2011年
6月都議会  東京都環境公社への70億円の貸付金 補正予算提案
7月1日   同上補正予算議決
7月29日  宮城県 石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)のプロポーザル  審査告示。
9月16日  石巻ブロックの685万トン 鹿島JVが中間処理&最終処分の業務委託契約締結。
11月21日 国の第3次復興予算決定。-広域化予算面で裏付け。
11月24日 宮城県、東京都、東京環境整備公社が「災害廃棄物の基本協定」を締結。
12月1日  試験焼却について東京都環境整備公社と東京23区清掃一部事務組合委託契約。
2012年
2月23日  本格焼却についての東京都環境整備公社と東京23区清掃一部事務組合委託契約 3月2日から実施分。


注1: がれき問題で区民が東京都に提出した東京都職員監査請求(いわゆる住民監査請求)

注2: 宮城県による「業務番号 平成23年度環災第3-261号」の技術提案書の提出を招請する告示。
    鹿島JVの他に大成JVが参加。
    http://www.pref.miyagi.jp/haitai/nyusatsu/ishinomaki/koukoku(teiseigo).pdf H

注3: 鹿島JV(特定建設工事共同事業体)。
    鹿島建設、清水建設、西松建設、佐藤工業、飛島建設、竹中土木、若築建設、橋本店、遠藤興業いずれも株式会社で構成。

注4: 廃棄物処理法上は、市町村の家庭や小規模事業者から排出される廃棄物、一般廃棄物は、市町村の責任で処理することになっている。(廃棄物処理法第6条の2)
    今回の震災がれきも第1義的には、市町村の責任で行い、財政的には、国からの交付金でまかなわれる。
    市町村でできないがれきは、県に委託する形をとっている。

つづく******************************************





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