月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

坂東玉三郎特別公演

2012年06月22日 | 歌舞伎・舞踊・文楽
(京都・南座)



「壇浦兜軍記-阿古屋」

//悪七兵衛景清の行方を追う源氏方は、景清の愛人阿古屋からそれを聞き出そうと詮議の場に引き立ててくる。何も知らないという阿古屋を岩永は拷問しようとするが、重忠は音曲を奏でさせて真偽を見極めようと言う。阿古屋は命ぜられるまま、琴、三味線、胡弓を弾き、美しい音色ゆえに無実と信じられて解放される。//

玉三郎による楽器演奏が生で聴けるという、ちょっと変わった演目。

お琴も三味線も胡弓もまったく危なげがないけれども、お囃子連中のサポートはついていて、こちらはこちらで「いつ何が起こっても対応しまっせ」みたいな緊張感も感じられた。

この役は音色で語らなければならないのだそうで、すると、胡弓の震えるようなあの音は、阿古屋の張り詰めた心情表現なのだろう。

愛之助演じる重忠はほとんど座っているだけなのだけれども、その居姿、長袴の片足を階に流した姿も、凛としてほんとうに美しい。

赤ら顔の岩永左衛門の役は、黒子二人を従えて、まるで浄瑠璃の人形のように演じられる。
その人形ぶりの細やかさに、最初、あれ、人間なのかな人形なのかなとしばらく判断がつきかねた。
コミカルな三枚目だけれど、終始一貫見事な芸だ。

「傾城」

花魁道中を終えた美貌の傾城をしっとりと舞いあげていた。花魁の下駄は三ツ歯なのだなといまさら気づく。



再び「玉三郎”美”の世界展」で、喜の字6歳の舞台ビデオに見入ってくる。ほんとに可愛い。そして、尊い。

*****
「壇浦兜軍記-阿古屋」
遊君阿古屋:坂東玉三郎 岩永左衛門:坂東薪車 榛沢六郎:坂東功一 
秩父庄司重忠:片岡愛之助
「傾城」
坂東玉三郎

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