月扇堂手帖

観能備忘録
あの頃は、番組の読み方さえ知らなかったのに…。
今じゃいっぱしのお能中毒。怖。

「夢幻にあそぶ 能楽ことはじめ」淡交社より出版されました。

2019年06月09日 | 能楽関連書
このほど、当ブログの内容を元に編集いたしました書籍が刊行のはこびとなりました♪



松村栄子
『夢幻にあそぶ 能楽ことはじめ』
淡交社刊
1400円(税別)
2019/5/1発売

これに伴い、当ブログにおける「観能記録」の公開を終了させていただきます。

長くご愛顧いただき、誠にありがとうございました。

新刊には、無知だったわたくしがいつしかお能中毒になっていく過程と、その中で感じたことなどを綴っております。お能を観たことのない方にも読んでいただけたら嬉しく存じます。

なお、著者松村栄子のHPはこちらです。
DESERT VIOLET

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これからも、どうぞよろしく♪

おまけにCDが!

2012年10月24日 | 能楽関連書



「花もよ」4号が送られてきて、封筒を開けたらパサッとCDが落ちたのでびっくりしました。

1959年にアメリカで発売されたLPレコード「邯鄲」をデジタル化したものでした。特別付録です。

シテ:観世寿夫、ワキ:宝生弥一 アイ:野村万作 地頭:観世静夫
笛:寺井政数 小鼓:三須錦吾 大鼓:安福春雄 太鼓:観世元信

なんだかすごそうです。心して聴きます(_||_)

「花もよ」「宝生」「Toriino」*9/23追記

2012年09月20日 | 能楽関連書

宝生能楽能の売店に「花もよ」3号があったので買おうとしたら、「宝生」という雑誌の特集も面白そうだったので一緒に。

「花もよ」は薄いのに情報ぎっしりで読みごたえあり。

特にこの号では、三宅晶子氏の「能の現代」という連載に触れられていた〈隅田川〉の公演とその考察が面白かった。

6月に日経能楽鑑賞会で催された、〈隅田川〉の2演出立合いについてだ。

子方を出さない演出には母親の救いはなく、たとえ夜が明けても彼女は狂乱の道をひた走るより他はない。

一方、子方を出す演出ではその一瞬の幻影に母親は救われ、おそらく夜明けに希望が見える。

同じストーリー、同じシーンにまったく異なる存在を描き出すことができるというお能の度量の広さ。

「宝生」の表紙にあった「特集 謡曲鳥類図鑑」の文字にひかれた。お能の中に出てくる鳥を解説している。

鴨川でよくみかけるゴイサギ(五位鷺)の名の由来がわかったのは収穫。

能曲「鷺」によれば、ある夏、帝が神泉苑の池にいた鷺を捕らえさせようとするが、鷺はすばしこく蔵人は何度も取り逃がしてしまう。そこで、これは帝の仰せだと言いきかせると鷺はおとなしく捕らえられた。帝はこれを喜び、鷺に〈五位〉を賜ったとのこと。

なぜかスタンドには「日本野鳥の会」の冊子「Toriino」もあった。こちらはまた、贅沢で美しい冊子。

沖ノ島(一般人は入れない)の写真を添えた藤原新也の「禁忌の島」と、瀬戸内寂聴のエッセイ「蓮の声」がよかった。

追)「宝生」に12/26乱能のご案内。往復葉書で申し込んで抽選のようだ。

9/23追記)

「宝生」9・10月号について書き落としていたが、数年前に「源氏供養」を見たときに抱いた疑問の答がp26にあって感激したのだった。

疑問というのは、「紫式部の罪とは何ですか?」というものだ。お能の中で、紫式部が成仏できずにいるのは何故だったのか。

「虚構を弄んだ」罪を問われているのか、『源氏物語』の中で光源氏の死がうやむやにされていることが問われているのか。

そのヒントが、三浦裕子氏の『 能〈源氏供養〉と仏事「源氏供養」 』という記事に書かれていた。

ここで、〈源氏供養〉は能曲を指し、「源氏供養」は本来の仏事を指す。

その仏事としての「源氏供養」にも二系統あり…という内容で、まだ何度か読み直さないとしっかり理解できそうにもないのだけれども、これはわたしにとってとてもとても大きな収穫で、今回宝生能楽堂に行ってよかったなーとつくづく思ったのだった。


京都薪能パンフレット

2012年06月30日 | 能楽関連書
第63回京都薪能-源平盛衰-



今年は5/31、6/1に催された京都薪能、都合が悪くて行けなかったのだけど、先日観世会館に行ったらパンフレットをまだ売っていたので今さらながら購入。

表紙がまずかっこいい。ちょっと見「船弁慶」かと思ったけれど、よく見たら大きな碇を掲げていて、これは「碇潜」なのだった。
舞台でこんな大きな碇、見たことあったかなぁと思って解説を読むと、昨今は省略型が多くて、碇の代わりに扇を使うらしい。今回は碇も出れば船も出る、安徳天皇の子方まで出るというスペクタクルだったようだ。

この表紙、よく見るとブルーの地に、蝶と笹竜胆の紋が並んでいる。細かい。
表紙には「大丸」、裏表紙には「高島屋」のロゴが載っているところも、なんだかかわいい(^_^;)

パンフレットを買っておこうと思ったのは、真ん中に源平の年表とお能作品との対応表があって便利そうだと思ったから。←永久保存版かも



人物関係図もあって、NHK「清盛」を見るのにも便利そうだ。
こういうのをたまに眺めていると、断片的だった知識がふっとつながって「ああ、そうだったのか」みたいな発見もときどきあったり。

他にも、先生方のエッセイや各曲解説がどれも過不足なくわかりやすく、しかも丁寧で、なにやら読みごたえたっぷりだった。

ちなみに、今年の京都薪能の演目は、下記の通り。どれも面白そうで、見られず残念だった。

第一日 吉野静(観世)
    清経-披講之出端(金剛)
     口真似(大蔵)
    鞍馬天狗-白頭(観世)

第二日 安宅-延年之舞、瀧流(金剛)
    二人静-立出之一声(観世)
     柑子(大蔵)
    碇潜-船出之習(観世)

種田道一『能と茶の湯』

2010年11月13日 | 能楽関連書
淡交社

お能の趣向で茶席をしつらえてみたいと思うお茶人さん向けの本。お能を2、3回は見たことがあるといった方が読むとよいのではないだろうか。

お茶に興味あるお能ファンにはあまり意味がないかも…

巻末にお茶席に使えそうな演目の概略を記した一覧表があり、これは季節や留守文様のヒントにもなって使いでがありそうだ。

だけど、さほどお能好きでもないひとが、一覧表をヒントにお能の趣向の席を作っても仕方ないような気はしないでもない。微妙。

坂東玉三郎 すべては舞台の美のために

2010年09月07日 | 能楽関連書
 
坂東玉三郎 すべては舞台の美のために (和樂ムック) 小学館 2009/4/5

先日、南座売店で購入。

巻頭に玉三郎のお化粧を移したものが載っている。50万円の写真集『五代目坂東玉三郎 特別愛蔵版』には絹の本物がついているのだけれど、こちらはもちろん印刷。いや、充分です(v_v)。

ここ数年「和樂」で扱った玉三郎の連載などをまとめたものなので、舞台写真は最盛期のものよりも、近年の老け役や能曲もの、そして昆劇などが主体。

しかし、その分、舞台裏や役者の内面性についての情報がぎっしり詰まっていて、思いがけない拾い物だった。丸二日かけて読破しました。

たとえば、子供時代守田家へ養子に入った頃の雰囲気とか、田中佐太郎さんとは幼なじみでよく能楽堂へ一緒に通った仲だとか、小道具ひとつへのこだわり、装束復元のため織機から作り直す情熱、楽屋の化粧台の作りやしつらい、鼓堂や昆劇との関わりなどなど。

一観客としての好みや満足度とはまた別の観点から、半端ではないその役者魂にひたすら敬服。

なにより驚きだったのは、最終ページが、青い海の底へ潜っていく玉三郎の姿だったこと。「月刊ダイバー」提供写真って…。そんなことまで本格派だったとは…。

『能を彩る扇の世界』

2010年06月28日 | 能楽関連書
檜書店

妙にわかりにくさを感じる本ではあるけれども、扇についていろいろな切り口で扱っているので、何かしら役に立つ部分はありそう。

メモ:〈五流のきまり扇の柄〉

観世流:観世水、槍雲
宝生流:五雲
金春流:五星(金春団子)、金春雲
金剛流:九曜星、金剛雲
喜多流:三つ雲

五流の扇には上記のようなきまり模様があることは、なんとなく知っていたけれども、骨の断面の形まで違うことは知らなかった(p105)。
要の部分を横から見ると、お尻の部分がフラットだったり丸かったり末広がりだったりするらしい。

野村四郎・北村哲郎『能を彩る文様の世界』

2010年05月04日 | 能楽関連書

檜書店

能装束によく使われている文様について、あっさりわかりやすく説明されていて、入門用にgoodだった。

遠目に見て、何かの顔みたいだな、ひょうきんな文様だなと思っていた図柄は〈雲版(うんぱん)〉だったことがわかりました。

翁装束の蜀江文は八角形で、亀甲は六角形。前者は八卦(八方位)を元とした天の意匠、後者は亀の甲羅を象る地の意匠。杉浦康平氏はそんなふうに解説していて、面白かった。

コート紙が重たいのと、本文で指し示している図版がどれなのかわかりにくいこと、色を見たい図版がモノクロだったりすることなどはちょっと残念。

雪の王祇祭 黒川能

2010年02月18日 | 能楽関連書
DVD 株式会社汎企画 カラー47分

1980(昭和55)年の王祇祭の模様を、準備段階から収めている。

座狩りのシーンやお豆腐を焼くシーン(異様に長い)なども。

尋常事は飛ばされているのでお祭りの盛り上がるところはわからないのだけれども、お能の流れについてはだいたいわかる。

この間、黒川に行ったばかりなので、そこでお見かけした方々の30年前のお姿を拝見できるわけで、意味もなく「うわ、若っ!」とひとりでウケてしまう。

一番の発見は、翁の面の掛け方が今(扇に載せたまま翁は手を触れない)とはちがって、五流と同じこと。
扇に載せるのは、ここ三十年の間のどこかから始まったことなのかも。

黒川の若衆はイケメン揃いで、普通に今風の顔立ちをしているのだけど、30年前の〈今風〉はパンチパーマだったんだなということもわかって、変わりつつ変わらない構造が妙に面白かった。

しかし《構想から完成まで7年。》というコピーは大袈裟だと思います(^_^;)

もとよさんにいただきました。ありがとー(^0^)

ps)ところで、こんなわかりやすいサイトがあったことに今、気づきました。

能のみかたくらぶ会報 067

2010年01月26日 | 能楽関連書
2020.02.01 テアトル・ノウ事務局発行

味方玄主催〈能のみかたくらぶ〉会報が届いた。

昨年下半期にシテを演じた公演について、ご本人による感想や内輪話などが記されていて、ほんの数頁のものなのに、みっしり読みごたえがある。

チケット購入の関係で登録しただけだったのだけれど、思わぬ余禄でありました。