アメリカで働く臨床栄養士のブログ

内科ICU栄養士。食が大好きな一男一女のママ。日本と異なる医療・栄養事情、過去に書いた情報は既に古いことも…あしからず。

高齢者の栄養アセスメントの宿題。 超むずかしい…。

2009年03月24日 | 大学院
75歳女性の大腸がん患者で心臓病、高血圧、関節炎、骨粗しょう症、ウツあり。高血圧、骨粗しょう症、ウツ、関節炎、血液凝固に関する薬を服用。そして、急激な体重低下、低体重、低栄養。味覚変化、口腔内異常、腕の紫斑症、足の浮腫、ドライマウス、脳神経の損傷を疑う舌・よだれ等の問題あり。宿題は、この患者のアセスメントとプラン。実際によくあるパターンなのに、よく考えてみるととっても難しい…うぐ。

まずは、何が問題なのかを探らないといけないが、う・・・複雑だ。そしてもちろんエネルギー量も求めないといけないが、どの公式を使うべきか…。Mifflin-St.JoerとOwen公式は健康で肥満でない人向け、ハリスベネディクトの公式なら白人の男性16-63歳&女性15-75歳をもとにしてるから、年齢だけはギリギリでOK。World Health Organization/Food and Agriculture Organization/United Nations University公式は若い軍人と警察官をもとにしているからもちろんダメ。アメリカ栄養士協会(ADA)のエビデンスライブラリーによると、高齢者向けの有効な公式は無いとのこと。Luhrmann et al が高齢者向けの公式(:RMR (kJ/d=3169 + 50∙body weight (kg)-15.3∙age (y) + 746∙sex (female=0, male=1).)を発表したようだが、どうかな~。 でもやっぱりADAは、急性期ケアにおいて、Mifflin-St.Jeor公式を推奨してるから、これで計算かな。

ADAエビデンスライブラリーによると、高齢者向けの公式は確立されていないが、急性期ケアにおいてはMifflin-St.Jeorを推奨している。ハリスベネディクトは女性の場合は75歳まで考慮されているが、ADAは急性期ケアにおけるハリスベネギクト公式の利用を勧めていない。 よって、栄養開始時には、Mifflin-St.Jeor公式の値を用いてREEをカバーする。リフィーデングシンドロームを予防するために、急激な栄養提供は避けるべきである。その後、カヘキシアのみられるがん患者に対し、ASPENが推奨する~35kcal/kgが適当であるかを再検討する。残り9問できるかな~。