私的サマリー:呼吸器系重症患者(09年5月)
~~栄養士としてできること~~
◎高脂質・低炭水化物の栄養剤は使わない。
◎アルジニンなど免疫系の入った栄養剤も試してみる(敗血症の時は注意)。でも長期使用への問題視、量や組成の問題などあるみたい。
◎食物繊維は使わない、または微量のものがベターかも(呼吸器系に限ったことではないが)。
◎カロリー投与は目標値の50%以上。でも70%以下くらいを目安に。
◎静脈・経腸栄養の両方で、グルコースの過剰投与に注意。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・呼吸器系向けの栄養剤(pulmonary formula)は高脂質、低炭水化物であるが、その効果をサポートするエビデンスはない。2009年のASPEN会議でも、ICUでのpulmonary formulaは支持されていない(1,2)。
・2009年のASPEN会議では、major elective surgery, trauma, burns, heand and neck cancer, and critically ill patients on mechanical ventilation(ARDS:急性呼吸窮迫症候群 and ALI:急性肺障害とか)の患者に対して(severe sepsisの患者は注意しながら)、immune modulating(arginine, glutamine, nucleic acid, omega-3 fatty acids, and anti-oxidentsなど)の高濃度栄養剤(水分調整のため:いつも必要とは限らない)の使用、少なくとも50-60%の必要カロリー量の投与を勧めたようだ。
・一部のRDはICUでPaO2/FiO2 ratioの計算をしているようです。多くの論文等では <200はARDS、<300はALIらしい。でもPulmonogistsによって基準は違う。
・栄養投与の目標は、十分なたんぱく質投与、栄養の過剰摂取避けて過剰二酸化炭素の生産を避ける(VENTをWEANする間)、そして高血糖を避けること(3)。
・呼吸不全(respiratory failure)の場合に一番大切なのは、過剰栄養投与を避けること。過剰投与は二酸化炭素を溜め込んでしまう。特に、高炭水化物の経腸栄養剤、デキストロースベースのTPNで重要。グルコースが酸化されるとエンドプロダクトは炭水化物と水なので。特に重症なARDSの患者はOxepaのようなスペシャリティー栄養剤を短期間使うと効果的かも。
・免疫アップを期待してICUで使われている栄養剤にarginineなどが含まれているものがあるが、過剰使用も懸念されているとのこと。量の問題、それとも種類の問題?!短期間ってのがポイントなのかな?!。これからのリサーチで解明が進むかな。まだまだ分からないことが沢山ですね。
・集中治療室での食物繊維投与は注意が必要。食物繊維はいつでも素晴らしいと思いがちだがいつもそうではない。重症患者の場合は、腸管内のperfusionが十分でないこともあるので、低食物繊維のフォーミュラを使うべき(クリティカルケアの市販フォーミュラは低食物繊維になっている場合がほとんどだけど、スペシャリティー栄養剤は値段が高い!)。
・ventilatorをweaning offするときは、isocaloric, standard polymeric formulaがいいって教科書には書いてあるよう(2)。2009年も同じかな?
・すかさずAbbottのrepさんなどが "recommendations for the use of oxepa"を配布している。。とクラスメートが話していました。body temp, heart rate, resp. rate, PaCo2, diagnosis, ALI/ARDS, PaO2/FiO2などなどのっているそうです。さすがです。今年のASPENのステートメントを受けて、免疫サポート系が入っている栄養剤は、これからもっとICUに入ってくるだろうし、クラスメートも使っている人が増えているようです(ちょっと前まではあんまり効果無いって言われていたような。毎年変わりますね)(4)。
1. Parrish, C. Nutrition Support for the Mechanically Ventilated Patient. Critical Care Nurse 2003;23:77-80.
2. ASPEN Nutrition Support Core Curriculum: A case based approach-The Adult Patient.
3. Jeejeebhoy, K. Permissive underfeeding in the critically ill. Nutrition in Clinical Practice 2204;19(5):477-480.
4. Pontes-Arruda A, DeMichele S, Seth A, Singer P. The use of an inflammation-modulating diet in patients with acute lung injury or acute respiratory distress syndrome: a meta-analysis of outcome data. Journal of Parenteral and Enteral Nutrition. Volume 32, Number 6. Nov-Dec 2008. pp 596-605
~~栄養士としてできること~~
◎高脂質・低炭水化物の栄養剤は使わない。
◎アルジニンなど免疫系の入った栄養剤も試してみる(敗血症の時は注意)。でも長期使用への問題視、量や組成の問題などあるみたい。
◎食物繊維は使わない、または微量のものがベターかも(呼吸器系に限ったことではないが)。
◎カロリー投与は目標値の50%以上。でも70%以下くらいを目安に。
◎静脈・経腸栄養の両方で、グルコースの過剰投与に注意。
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・呼吸器系向けの栄養剤(pulmonary formula)は高脂質、低炭水化物であるが、その効果をサポートするエビデンスはない。2009年のASPEN会議でも、ICUでのpulmonary formulaは支持されていない(1,2)。
・2009年のASPEN会議では、major elective surgery, trauma, burns, heand and neck cancer, and critically ill patients on mechanical ventilation(ARDS:急性呼吸窮迫症候群 and ALI:急性肺障害とか)の患者に対して(severe sepsisの患者は注意しながら)、immune modulating(arginine, glutamine, nucleic acid, omega-3 fatty acids, and anti-oxidentsなど)の高濃度栄養剤(水分調整のため:いつも必要とは限らない)の使用、少なくとも50-60%の必要カロリー量の投与を勧めたようだ。
・一部のRDはICUでPaO2/FiO2 ratioの計算をしているようです。多くの論文等では <200はARDS、<300はALIらしい。でもPulmonogistsによって基準は違う。
・栄養投与の目標は、十分なたんぱく質投与、栄養の過剰摂取避けて過剰二酸化炭素の生産を避ける(VENTをWEANする間)、そして高血糖を避けること(3)。
・呼吸不全(respiratory failure)の場合に一番大切なのは、過剰栄養投与を避けること。過剰投与は二酸化炭素を溜め込んでしまう。特に、高炭水化物の経腸栄養剤、デキストロースベースのTPNで重要。グルコースが酸化されるとエンドプロダクトは炭水化物と水なので。特に重症なARDSの患者はOxepaのようなスペシャリティー栄養剤を短期間使うと効果的かも。
・免疫アップを期待してICUで使われている栄養剤にarginineなどが含まれているものがあるが、過剰使用も懸念されているとのこと。量の問題、それとも種類の問題?!短期間ってのがポイントなのかな?!。これからのリサーチで解明が進むかな。まだまだ分からないことが沢山ですね。
・集中治療室での食物繊維投与は注意が必要。食物繊維はいつでも素晴らしいと思いがちだがいつもそうではない。重症患者の場合は、腸管内のperfusionが十分でないこともあるので、低食物繊維のフォーミュラを使うべき(クリティカルケアの市販フォーミュラは低食物繊維になっている場合がほとんどだけど、スペシャリティー栄養剤は値段が高い!)。
・ventilatorをweaning offするときは、isocaloric, standard polymeric formulaがいいって教科書には書いてあるよう(2)。2009年も同じかな?
・すかさずAbbottのrepさんなどが "recommendations for the use of oxepa"を配布している。。とクラスメートが話していました。body temp, heart rate, resp. rate, PaCo2, diagnosis, ALI/ARDS, PaO2/FiO2などなどのっているそうです。さすがです。今年のASPENのステートメントを受けて、免疫サポート系が入っている栄養剤は、これからもっとICUに入ってくるだろうし、クラスメートも使っている人が増えているようです(ちょっと前まではあんまり効果無いって言われていたような。毎年変わりますね)(4)。
1. Parrish, C. Nutrition Support for the Mechanically Ventilated Patient. Critical Care Nurse 2003;23:77-80.
2. ASPEN Nutrition Support Core Curriculum: A case based approach-The Adult Patient.
3. Jeejeebhoy, K. Permissive underfeeding in the critically ill. Nutrition in Clinical Practice 2204;19(5):477-480.
4. Pontes-Arruda A, DeMichele S, Seth A, Singer P. The use of an inflammation-modulating diet in patients with acute lung injury or acute respiratory distress syndrome: a meta-analysis of outcome data. Journal of Parenteral and Enteral Nutrition. Volume 32, Number 6. Nov-Dec 2008. pp 596-605